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第二話 ダンジョンの闇の中で 後編


 こんな目に会うのならば、転生なんぞせずに成仏すれば良かった。などと、俺はこの世界に魔力を持たず生まれて来た事を後悔していた。


 この世界にエミールとして生を受けてから15年と幾らか、魔法や人間以外の種族、魔物。どれも前世では考えられない事を経験してきた。その中でも、このダンジョンと言われる、いわゆる魔物の巣着く迷宮やフィールド、洞窟は非常に不思議で有った。

 世界中に存在するダンジョンは一部を除いて階層に分かれており、下もしくは上の層に行けば行く程難易度が上がる。95%のダンジョンは1〜20層前後の造りだが、このダンジョンは超大型ダンジョンと呼ばれるだけあり、以前行われた大規模音響魔法による調査により、68階層という規格外の大きさを叩き出している。


 そんな巨大ダンジョンも、数年に及ぶ目まぐるしい努力に依って67階層まで到達した。


 俺はダンジョンの薄灰色の石レンガに背を預け、ここまでの道のりを感傷的になりながら振り返っていた。街から追放されてから、この長い月日の間で俺の心は疲れ切っていた。


 しばらくすると、


 ウォォォン


 と低い犬の鳴き声の様な音がダンジョン内に響きわたる。恐らくコボルトでだろう。


 コボルトは厄介だ。ただ、襲いかかる魔物と違いなまじ知恵を持っているのに、一撃で仕留めないと仲間を呼ぶので、まとめて来ると囲まれてしまい危険極まりない。それに低階層ならまだしもこの階層にもなってくると、大抵の敵は青銅製の武器や防具を身に纏ったりしてくる為大抵戦闘は避けるようにしている。


 しかし、今回は敵さんはそうさせてくれないらしい。腐っても敵は犬だ。鼻が効く為、索敵能力だけはゴブリンやオークと比べてもずば抜けて高い。それがコボルトをさらに厄介にさせている。


 俺は、立ち上がり音を立てぬように忍び足で歩く。ダンジョンの通路を利用してそーっとコボルトの背後に回り短剣を構える。


 スパッー


 音速の6分の1という凄まじい速度で突き出された刃は、首を刈り取るかの様に動き、脊髄を破壊する。一瞬で行動不能になったコボルトは、悲鳴を上げることすら許されず絶命する。


 コボルトをサッと確認し、仲間が来ないうちに去ろうとしたその時だった。一瞬キラッと金属が光った様に見えた。よく見ると手に真鍮製の鍵の様な物が握られていた。この近くにコボルトの巣でも有るのだろうか。有るとすると、宝物庫か何かの鍵でだろう。


 俺は予定を変更して、仲間が死体を嗅ぎつけてくるのを待つことにした。





数分後 ……




 あれか暫し近くの通路に隠れていると、一匹のコボルトが仲間の死体を見つけ、それを聞いた仲間たちがぞろぞろやって来た。恐らく、この階層まで人間が来た事が無いのだろう。初めて見る死に方をした仲間の死体に動揺している様だ。普段人が入り込んでいるダンジョンの表層なら、警戒して少数人で素早く死体を回収していく筈だ。


 五分程してようやく、コボルトの上位種で有るエルダーコボルトが来て、死体を回収していった。これが上層だったら、近くにいる冒険者同士で即興パーティー組まれて全滅してるぞ。まあ今回は、宝物庫が目的なので殺さ無いが。



 さて、それから三十分程無警戒なコボルトたちの跡をつけて行ったところ、今まで石レンガで覆われていた壁がゴツゴツとして整備されていない剥き出しの岩肌へと変わっていった。

 ここがコボルトの巣だろう、見た限りかなり大規模な様だ。蓄えている物も多いだろう。久しぶりの大きな収穫に胸が鳴る。


 コボルト達に気づかれ無い様、全身の神経を張り巡らせ巣の中を探索する。途中、バッタリコボルトと遭遇してしまったが、叫ばれる前に気絶させられたので事なきを得た。


 しばらく探索をしていると、入り口に鉄の装備を着たハイコボルトが二人と、やけに警備の固い道を見つけた。恐らく、宝物庫に繋がっているのだろう。


 そうとなれば、まず退路を確保すべく巣の入口付近まで所々に赤く塗装されたワイヤーやトラバサミを仕掛けて通路の前まで戻ってくる。

 此処からは、時間との勝負だ。少し緊張してしまい一度呼吸を整える。

 持ってきた投げナイフを構え、曲がり角の死角から二匹のハイコボルトまで、五メートルまで近づくと一方に勢いよく脳天目掛けて投擲する。相方がいきなり倒れた事に驚いている内に一方近づきもうの首を刈り取る。

 そして、そのまま勢いよく道に駆け込み、宝物庫の扉を見つける。


 が……鍵穴が二つある?!


 だが俺は今一つしか鍵を持っていない。そもそもセキュリティ意識の低い奴らが鍵を二個かけるという事を予想していなかった。今思えば油断だったのだろう。

 しかし、今はこの巣から一刻も早く出なければならない。何故ならそれは、この巣にそれだけの知能と経験を持てるコボルト最強クラスの上位種がいるという事に他ならな


 


 冷や汗をかきながら、振り変えり走り出そうとするが……すでにそこには、コボルト・キングーー いや、悪魔がいた。






本日2話目です。



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