序章プロローグ 追放
10/4 大幅改稿しました。前より良くなってると嬉しい。(+_+)
コモラルニーサ大公国
首都ダンジョン都市ハーリン
忘れもしないあの日の事だった。朝から晴天だったその日は、北方のヴァーミリオン湖から吹いてくる湿った風によってジメジメとした暑さが街を満たしていた。そして、だいぶ日が傾いて来た頃だった。
「ふー、だいぶ涼しくなってたな」
暑さを避けるため、年中気温が変わらない地下のダンジョンにに居た俺たちだが、外が涼しくなる頃を見計らい外に出てきたのであった。
「しかし冒険者をやっていた事が、こんな感じでメリットになるとはな。」
「でも、この調子だと熱い内は外でやるクエストは受けられないわね。うちのパーティにも魔法使いがいれば、冷気の魔法とかかけて貰えて、少しは楽なのだけど。」
生憎、俺たちのパーティーには魔法使いは居なかった。
「それなら、いっそメンバーの内一人が魔法使いになるのはどうか?火力持ちが増えるし、悪くは無いと思う。」
「それじゃあ、パーティー全員で魔法の適性検査でも受けるのか?そんなに、今持ってないぞ。」
魔力に適性検査は、ギルドで受けられるのだが、少々お値段が張る。パーティー全員が受けるとなると手元の資金が苦しい奴もいるはずだ。
「それはまあ、将来への投資何だし、パーティーの資産から出すことにするわ。」
「分かった。それなら良い。」
こうして、魔力検査を受ける流れになり反対する理由もなかった俺は、その案に同意することにした。
ーーーー
さて、俺たちが適性検査を受けることを誰かが漏らしたのか、ギルドに中にはちょっとした人だかりが周りに出来て盛り上がった。
なかなか見ない、魔力検査用の水晶がギルドの奥から久々に出てくると、観衆は盛り上がっていく。ちょっとしたお祭り騒ぎになった魔力検査だが、その期待に反し結果は惨敗であった。
魔力検査は、魔力の量や属性によって様々な色に光る水晶によって行われるのだが、パーティーメンバーが一人また一人触れても淡くほんのりと光るだけで、『ほんのちょっぴり火属性に適性がある』とか『土属性の弱い魔法がかろうじて一回使える』など酷い物だった。
悲し気な雰囲気の中で「お前が最後の望みだ」といった感じの視線をパーティーメンバーから向けられ渋々触る。
透明だった水晶が色がつくどころか見る見るうちに灰色、そして最後には真っ黒になってしまった。
周りが一瞬で静まりかえる。あれw俺また何かやらかしました?と思ったのもつかの間。周りにいた者の内、魔法使いやギルド職員から急に嫌悪、いや敵対的な視線を向けられる。
「貴様!」
その内一人が、腰から剣を抜き俺に切りかかる。
間一髪でそれを避けた俺は、最初一体何が起きたのか理解できなかった。
「何をする!」
「とぼけるな、貴様アンデットだろ!」
周りにいる冒険者らが、何だ何だと騒ぎだす。
アンデットは人類に敵対する、七百年前に魔王を作り出した存在。嫌悪の対象の為、間違えても人の事をアンデット呼ばわりするのは侮辱と受け取られる。冗談で人の事をアンデットなどと言うことはあり得ない。
つまり、こいつは本気で俺の事をアンデットだと思っているのだ。
「嘘だ、俺がアンデットな訳な「水晶が真っ黒になったのが何よりの証拠だろうが!」
問答無用、といったようにまた切りかかってくる。
俺がアンデットであるその事実は向けられた視線を驚異、恐れに変える。しまいには、信頼していた筈の仲間のパーティーメンバーにすら同じ目線を向けられる。
暫し、時が止まったかの様に静まり返った後、誰かの悲鳴、叫び声とをきっかけににギルドは混乱に陥った。そこにある物、酒瓶や椅子、すべてが化け物などの罵倒と共に俺に投げ付けられる。
俺は、気づくとキルドを飛び出し、走っって逃げた。今思えば、それが裏目に出たのだろう。しかしその時は、街の人間全てが敵意を向けている様に思えたのだ。
最終的に俺はその後、追い詰められる様にして、ダンジョンへ向かいその奥へと逃げ込んだ。
もしよろしければ何卒、感想や評価・ブックマークをおねがします。( ;∀;)