第四話 アルビノの少女 後編
またまた、昨日の分です。なんか毎回遅れている気がする。
お通や気分で食事を終えた後、部屋に戻った俺はクリスタにどう話し掛ければいいか分から無かった。互いに無言のままそのまま時間だけが過ぎていく。
「なあ「いいんです。私の事なんか気にしなくて。」
「でもそれは……」
「白い髪に生まれてきた私に、生きる価値なんて無いんです。何故、ご主人様が私に優しくして下さるのかは分かりませんが、いいんです。自分はこう扱われるべきなんです。」
彼女は、人々からただひたすら嫌われてきたせいで、感覚がおかしくなってしまったのだろうか?その瞳からは、怒りや悲しみなどの感情は一切感じられず、ただひたすら虚無であった。俺は、彼女の力になれない事に自分の無力さを感じていた。
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翌、早朝。いつもよりも数時間早く目が覚めた俺は、隣で寝ているクリスタを起こさないようにそっとベットから出る。階段を下りて食堂へ向かうと、幾人の冒険者と思わしき人がすでに朝食をとっていた。基本的にこの手の冒険者が利用する宿は、朝早く出かける冒険者の為に作り置きが置かれているのだ。昨日の事が有ったので、女将が起きて食堂に来る前にとって来て正解であった。さっと、二人分を取って食堂をでる。それから階段を上がっていると、
「それは、あのアルビノの奴隷の分かい?」
女の声がしたので思わず、ビビッて腰を抜かしそうになった。振り向いてみると、そこにいたのは女将では無なく、赤い髪をしたおそらく私より少し年上の女の人であった。
「ああ、すまない別にとがめている訳じゃないんだ。」
改めて、冷静に声を聴くと全然違った。
「いや、彼女の事を随分とかばっていたから声をかけたんだが……。君はもしかして、遠くの外国から来たのかい?」
「まあそうですが。え、えっとあなたは?」
正直、突然声を掛けられた事で未だかなり混乱している。
「すまない、興味の方が先走ってね。私は、レティシア・ラムシャーロだ。」
「エミールです。」
珍しい。苗字をもっているみたいだ。あれ?余計情報が増えたせいで疑問が増え、混乱してきたぞ。
「実は名字のラムシャーロは、母の代にとある貴族からもらった物なんだ。別に偉い人ではないからそう身構える必要はないさ。
それでなのだが、もしかして君がこの帝国ではアルビノが差別されているのを知らなかったのかと思ってね。」
「いや、彼女を買ったときに聞いたんだが、まさかここまで酷い物だと思わなくて。」
「この国は、魔王に直接侵略されていたから、その遺恨はそれだけ大きいのさ。私もこの国に初めて来たときはここまでかと驚いたよ。」
話を聞いているとどうやらラムシャーロは、だいぶ遠くの別の大陸にある南方の国で生まれたらしい。そのおかげもあってか、アルビノに対してはこの国の人間のように差別的感情は無い様だ。そんな中で、彼女が俺に興味を抱いたのは、アルビノに優しくしている人を初めて見つけたからだと言っていた。
「まあ折角なんだ。その子に合わせてくれないか?女同士だと話しやすい事もあるだろうし。」
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「ここだな。」
部屋のドアを開けると、何故かしくしくとクリスタが泣いていた。
「どうした!何かあったのか?」
「あれご主人様?」
こちらに気づいたクリスタは、涙を拭いながら先程までの悲しげな表情から一転し、きょとんとしていた。
「起きたら、部屋に誰も居なかったので、失望されててっきり捨てられた物かとばかり思っていたので。」
「そんな訳無いだろ。ちょっと下に行って朝食を持って来ただけだ。ほら。」
「そんな……ありがとうございます。」
彼女の表情が少しずつ柔らかくなる。
「なんだ。昨日と違って、もうすっかり元気じゃないか。」
様子を後ろで見ていたラムシャーロが声を掛けてきた。
「ああ、良かった。」
なんだかんだ少しは立ち直れたみたいだ。自分もクリスタがの心が少し柔らかくなったのを見てほっとした。
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