表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】聖女と結婚ですか? どうぞご自由に 〜婚約破棄後の私は魔王の溺愛を受ける〜  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

192/237

第190話 懐かしい会話が生む余談

 出かけたきり、国王である息子が帰ってこない。魔王に嫁ぐ娘も一緒で、そのうえ可愛い未来の嫁もついていってしまった。


「お茶の相手がいないわ」


 むっとした顔で、カサンドラはハーブを摘む。指に力が入って乱暴な千切り方になってしまい、大きく溜め息を吐いた。ハーブティで気持ちを落ち着けようと思ったのに、これでは逆効果ね。そう呟いた彼女の肩に、淡い水色のショールが掛けられた。


「俺でよければ付き合うぞ」


「そうね」


 毎日付き合わせている夫アウグストだが、彼も国王代理で忙しい。クリスタ国はやっと立ち上がったばかり、まだ土台が固まっておらず磐石には程遠かった。ベルンハルトを呼び戻した方がいいかしら。


 考え事をしながらお茶の用意をする。東屋よりオープンスペースを好むカサンドラは、丸く敷き詰められた石造りのサークルの上を選んだ。手早くハーブを入れてお茶を注いでいく。


「ベルを呼び戻さないといけないわ」


「まあ……そうだな。少し留守が長い」


 反論しない夫を援護と判断し、カサンドラは通信用のブレスレットを撫でた。その指先を、アウグストが掴む。引き寄せて唇を押し当てた。


「アウグスト?」


「良い。あいつも役目はわかっているさ。自由にさせてやろう……それにカサンドラと2人きりの時間も楽しみたい」


「まあっ!」


 嬉しがらせを口にした夫に、くすくすと笑う。椅子の端からこぼれた狐尻尾が機嫌良く揺れた。確かにそう考えれば、息子達の留守も悪くない。彼らが帰って来れば、婚礼の準備に忙しくなるのは確実だった。夫婦でのんびりできるのはかなり先になるだろう。


「あなたはまだ私を愛している?」


「もちろんだ。君以外を愛することはないよ」


 これは懐かしい会話の再現だった。一目惚れで求婚したアウグストは、ルベウスの王女だったカサンドラの父王と約束した竜を倒した。戻ってきた彼に、まだ私と結婚したいのかと問うたのは、カサンドラなりの気遣いだった。


 褒美はなんでも望むままに――それが先代ルベウス王の言葉だ。ならば別の女性であっても、それ以外の黄金や宝石であっても望むまま与えられる。珍しい魔道具もあるし、可愛い獣人女性もたくさんいた。きっと目移りするに違いない。そう考えたカサンドラは、竜殺しの英雄に問いかけた。


 出会った頃と変わらぬ真っ直ぐな眼差しでカサンドラを射抜き、アウグストは片膝をついて王女の手に口付けた。返答は先程と同じ、他の誰も欲しくないと言い放つ。その覚悟と強さに、カサンドラは自らの意思で嫁ぐことを決めた。


 人間ばかりの国で、常に耳や尻尾を魔法で隠さなくてはならない。知らない作法やルールを覚え、人間の妻として振る舞った。ユーグレース国の宰相夫人に相応しい女性であるために。


「うふふ……だったら、ベルやアゼリアに弟妹をプレゼントできるかしら」


「もちろん! 君が望む全てを叶えるのは、俺の権利だ」


 お茶をゆっくり楽しんでから、アウグストは妻カサンドラを抱き上げて屋敷に戻る。その数時間後、戻ってこない国王代理を探して、執事や執務官が屋敷中を探し回ることになった。

*********************************

新連載『✴︎私と結婚しない王太子あなたに存在価値はありませんのよ?【改訂版】』もよろしくお願いします(o´-ω-)o)ペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ