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国盗り狂騒曲~下剋上☆戦国浪漫譚~  作者: 由木 ひろ
風林火山編
44/54

第四十四死合い 招かれざる客ー1

 四人は信玄の居城のある手前の城下町に着いた。

 活気のある町を見てベニマルは、


「うひょー! 流石信玄公のお膝元、活気がありますな~。

 おっ、いい匂い! くーーー!! たまりませんなー。

 レンジはん、あそこの店どないですやろ? 入ってみませんか?」


「おいベニマル、観光に来たんじゃねーぞ!

 お前はお上りさんか!!」



 偉そうにベニマルを諭すレンジに対し幸村は、


「お前が言うな!! お前だってこの前来た時、ベニマルと同じ反応してただろ!」


「しーっ! 余計な事言うな!!」


「あれっ! レンジはんもでっか!!」


「ばか! 俺はそんな恥ずかしいまねするかよ・・・・・・」



 カレンは色んな店に売っている品物を珍しそうに眺めていた。


「おい、カレン! 行くぞ、はぐれても知らねーからな!」



 レンジの言葉に、


「今行くでつ!」



 かくして四人は無事信玄の居城に到着した。

 城の中に通された四人、部屋に案内されるとそこには既に多くの家臣達が広い部屋に居並んでいた。

 レンジ達四人は広間の後ろのほうに座って信玄の登場を待つ。

 レンジは幸村に向かい、


「すげー人の数だな! 何人いるんだ?」


「そりゃそうだろ! 今回の城の増築には信玄様のほとんどの家臣が関わっている。

 真田家からも何人も人を出したんだ」


「へー、そうなんだ!」


「おい! 殿がおいでだぞ、ひかえろ!!」



 居並ぶ信玄の家臣たちの前に城の主、武田信玄が姿を現すと一斉に頭を下げる家臣達。

 信玄は一段高い場所にどかっと座った。

 傍に控えていた武田家の軍師山本勘助が、


「一同、おもてをあげられよ!!」



 その言葉に一斉に信玄を見つめる家臣達。

 信玄の話が始まった、


「この度の城の増築、誠にあっぱれじゃ! みなの強力に感謝する」


「「ははー」」


「して、今回はみなの助力に報いるために宴の席を用意した。

 存分に楽しんで行ってくれ!」



 そう言い残し信玄はその場を後にした。

 信玄が言ったように、宴の席が別の部屋に用意されていた。

 全員場所を移し、宴が始まる。

 目の前には豪華な食事が用意してあった。


「なあなあ! 幸村、めちゃくちゃうまそうだな、おい!」


「がっつくな、恥ずかしい!!」



 幸村は周囲を見渡していた。レンジは、


「なんだ? 食わないのか? 食わないのなら、俺がくってやるぞ!!」


「ん、ああ・・・・・・」


「どうした?」


「いや、知らない顔が多いと思ってな」


「そうなの?」


「たぶん、前に勘助様がおっしゃっていた様に上杉との戦に備えているからじゃないか?

 だから真田家同様、代わりの者を使わせたんだろう・・・・・・」


「そうなんだ! ・・・・・・」



 幸村の予想通り、宴が終わると多くの者達はすぐさま城を後にした。

 上杉の動向がおかしい情報が入ってきており、国境の警備に神経を使っているからだった。

 日も傾いて来ており、レンジ達四人は明日の朝帰る為にその日は城に泊まる事にした。


 予想より帰る人が多かったので、城の部屋が余っており各自部屋があてがわれた。

 城の部屋と言っても敷地内にある大きな宿泊施設ではあるのだが。

 レンジと幸村には各一部屋、ベニマルとカレンは一緒に一部屋だ。

 食事を終え、大きな風呂で疲れを癒した四人は明日の出発に備えて眠りに付く。



 その夜の事、みんなが寝静まった深夜に覆面姿の二人組が城の中を音も無く行動していた。

 二人組は周囲を伺いながら、何処かを目指していた。

 見張りの者を警戒しつつ月夜の下を行く。


 見張りの者が交代交代行き来する城の入り口。

 覆面姿の二人組は物陰に身を隠しながら様子を伺う。

 二人組の一人が物陰から顔をのぞかせて落ちてる石を拾い入り口から少し離れた所に投げつける。


(カツン!)



 見張りの者はその物音を聞いて、音のした方へ歩き出す。

 見張りの者が離れたすきに二人組は城の中に音も無く入り込んだ。

 二人組は城の中を何かを探して動き回る。

 人の気配がするとすぐさま物陰や部屋に身を隠してやり過ごす。



 二人は厳重に警備された部屋を見つける。部屋の前には寝ずの番が二人立っていた。

 覆面姿の二人組はお互い見つめ合い頷いて何かを確かめ合った。

 その場から離れる二人組。

 別の部屋に忍び込んだ二人。周囲を警戒しつつ一人は部屋の上の天井の板を外して屋根裏に消えて行った。

 残された一人は外の様子を伺いながら息をころして待機していた。


 一体何が起きようとしているのだろうか・・・・・・








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