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国盗り狂騒曲~下剋上☆戦国浪漫譚~  作者: 由木 ひろ
風林火山編
33/54

第三十三死合い 盗賊団ー3

 幸村に襲い掛かる盗賊二人組。

 幸村を中心に前と後ろに立ち幸村を挟み撃ちにする。


 行村は槍を頭上に掲げ、間合いを探る・・・・・・。

 幸村の後ろを取っていた男が先に切りかかってくる。

 幸村は目の端でその姿をとらえその刀を受ける。

 その刹那、今度は死角の成った後ろからもう一人の男が幸村のがら空きの背中目掛けて切りかかる。


 幸村は槍で受けていた刀を腕力をもって跳ね上げる。

 その勢いに押されて男は後ろによろめく。


 間髪入れづに幸村は槍先を後ろに向けて突きたてる。

 幸村の隙を突こうと切りかかっていた男は、刀を振り下ろす前に腹に幸村の槍を受ける。


「ぐはっ!!」



 男の腹に突き刺さった槍を素早く引き抜きもう一人の男に備え構え直す、盗賊の男は。


「やりやがったなー!! クソーーーーーー!!!」



 仲間がやられた事に逆上して直線的に幸村に切りかかる。

 幸村は冷静にその刀の切っ先をかわす。

 刀をかわされた男は勢いを抑えきれずにそのままつんのめる。

 そこにすかさず幸村の槍の柄が首元を強打して、男は前向きに地面に倒れ込む。

 倒れた男の背中に容赦無い幸村の槍が突き刺さった、


「ぐっ、ぐはっ!!」



 男はそのまま息絶えた・・・・・・



 幸村は消えたレンジの方をみつめて、


「レンジ・・・・・・」




 幸村が死闘を終えた頃、レンジはお頭を追っていた。

 お頭は廃墟と化した無人と思われる民家に逃げ込んだ。

 それを確認したレンジはその後を追って民家に飛び込んで行く。

 レンジが追ってきた事にお頭は、


「ちっ!! 何やってんだあいつら?

 ネズミ一匹取り逃がすとは・・・・・・

 仕えねー奴らだ!!」



 民家の中は盗賊達がアジトに使っていたのだろう、あちこちに食べ散らかした肉の骨や酒瓶が散乱していた。

 レンジは、


「逃がさねーぞ!! 千代を返せ!!」


「鬱陶しい小僧だ!!

 お前一人で俺に勝てるとでも思ってるのか?」



 千代を脇に抱えたお頭はレンジに凄みを効かす。

 刀を構えたレンジは、


「お前か? 太一を切ったのは!!!」


「何を言ってるんだ小僧?」


「権平さんにいた、腕に抱えてるその子の兄貴の事だ!!」


「ああ! あのガキの事か。あいつなら俺が切ったさ!!」


「何であんな子供を切った? 太一はまだ十歳の子供だぞ!!

 お前には、人の心ってもんがねーのかよ!!」


「あのガキが悪いんだ! 歯向かわなければ怪我する事も無かったものを・・・・・・

 お前も刀を捨ててここから消えろ!!」


「きーさーーまーーーーー!!」



 レンジは怒りに震えた、全身の毛が逆立つ感覚を覚える。

 レンジの構える刀には薄っすらだが火の力がレンジの腕から伝わり刀身全体を赤い炎が包み込む。


「お前、【火の者】か!!」


「だったら何だ!?」


「おっと動くなよ小僧、それ以上近寄ったらこの小娘の命はないぜ!!」



 そう言って持ってる刀を千代の首筋に当ててレンジをけん制するお頭。


「兄ちゃん!! 怖いよーーーー!!」


「待ってろ、今助けてやるからな!!」


「動くなと言っているだろ小僧!!

 刀を捨てろ!! そしたらお前も小娘も無傷だ!!

 無駄な血を見たくないだろ?」



 千代を人質に取ったお頭の言葉に躊躇するレンジ。

 その時、お頭の後ろから獲物を狙うかの様な姿勢でギンが忍び寄っているのが見えた。

 レンジは、


「分かったよ!! 刀を置けばいいんだろ! 約束だかんな、千代には指一本触れるなよ!!」



 レンジは刀を床に置いた。

 それを見たお頭は一瞬気を緩めた、その時。


(ガブリ!!)



 ギンがお頭の足首にかじり付く。


「いてててて、なんだ? この犬っころ!! 放しやがれ!!」



 お頭は刀を振り上げギンを切ろうとした時、


「がぶっ!!」



 今度は千代がお頭の腕に噛みついた。


「いでーーーー!!」



 お頭はたまらず千代を後ろに放り投げる。

 千代はそのまま壁際に逃げようとする。

 お頭は頭に来て千代を切ろうと刀を振り上げる、その刹那・・・


 レンジは刀を拾い、お頭の横腹を切り払った・・・・・・


「こ、小僧・・・・・・」



 お頭はその言葉を残して前向きに倒れた。

 切られた傷跡からは炎が立ち上っていた・・・・・・


 レンジは暫く放心状態になっていた。手は太一を抱き起した時に着いた血と、お頭を切った時の返り血を浴びて真っ赤に染まり、刀からは血がしたたり落ちていた。

 動かないレンジ。動かないのでは無く動けないのだ。

 レンジは血に酔っていたのだ・・・・・・



「お兄ちゃん!! 怖かったよーーーーー」



 千代がレンジの足に抱きついて来た。

 レンジはようやく自分を取り戻して、


「千代!! ケガはないか? 怖かったな、もう大丈夫だから・・・・・・」



 千代を抱きかかえて強く抱きしめた。


「千代、お兄ちゃんが待ってる。帰ろ!!」


「うん!!」



 二人は盗賊のアジトを後にする、アジトはお頭から立ち上った炎が建物に燃え移り、大きな火柱を上げ燃え上がっていた・・・・・・












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