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国盗り狂騒曲~下剋上☆戦国浪漫譚~  作者: 由木 ひろ
風林火山編
12/54

第十二死合い 馬上の人

 村の見回りを終え幸村のうちに向かう途中での事、


「お~い! 幸村~~」


 遠くから幸村を呼ぶ声が聞こえて来る。

 幸村は声のする方へてをかざして見つめる。

 そこには馬上の人物と武田菱たけだびしの旗指物を付けた、お供と思われる十名程の一団がいた。

 幸村はその方向に走って行って、馬上の人物の前で片膝を付き、ひかえていた。

 レンジは意味が分からず、のそのそと幸村の後を追い、馬上の男の前に立って幸村に尋ねた、


「誰だこの人?」


「ばか!! ひかえろ! 殿の御前だぞ!!」


 そう言ってレンジの服を引っ張った。

 馬上の男は、


「久しぶりじゃの幸村! 暫く見んうちに逞しくなったの!」


「はっ!」


「わしは今、領内の見回りの最中でのう!

 先程、昌行まさゆきの城にも行って来た所じゃ」


「父上にお会いなされましたか?」


「うむ。お前の事もくれぐれにと、お願いされた所じゃ!

 幸村! そなたも、もう元服であろう。

 わしの領内での見回りが済む三日後、わしの城へ訪ねてまいれ」


「はっ! 必ず!!」


 幸村と馬上の男のやり取りを突っ立って聞いていたレンジ。

 馬上の男は夕日を背に受け、顔が良く見えない。レンジは顔を確認しようと眉をしかめて見つめていた。

 その姿はまるで馬上の男にガンを飛ばしている様だった。

 その事に気付いた馬上の男は、


「なんじゃ、幸村? つれは家来か?」


 その言葉に、幸村が答えるより早くレンジは、


「なんだよ、家来って? 俺は幸村の家来に成った事など一度もねえよ!」


「ばか!! 」


 幸村は馬上の男の逆鱗に触れないか心配そうにレンジの脇を肘で突く。


「いてーな、幸村、何するんだよ!」


 レンジと幸村のやり取りを怪訝な顔で見ていた馬上の男はレンジに向かい。


「そのほう、幸村の家来じゃなくばなんだ?」


 レンジは少し考え、


「ダチかな!!

 今は幸村の所で居候してるけど・・・」


「ハハ。面白い奴。お前も幸村と共に我が元へ訪ねて来るがよい!!」


 男はそう言い残して去って行った。

 幸村は暫く片膝を付いたまま動かないでいた。


「なあ! 幸村? 誰だよあいつ?」


 幸村は立ち上がり、すぐにレンジの頭にげんこつを食らわせた。


「いて~な! 何するんだよ!!」


「お前って奴は・・・・・・

 今のお方は武田信玄様だ!!

 信玄様を怒らせていたら、お前の命もなかったんだぞ!!」


 幸村の言葉にレンジは、


(うそ~~~~ん! 武田信玄? 真田幸村ってもしかして・・・・・・

 俺がいるのは戦国時代なのか~~~~~~~~

 よりにもよって、なんてデンジャラスな時代に来てしまったもんだな、おい!!)



 ようやく自分の居場所を悟ったレンジは肩の力が抜け幸村の肩に手を置き、


「なんかごめん! お前ってかなり凄い奴だよな!!」


 突然しおらしく謝ってくるレンジに首を傾げながら、


「変な奴だな!!」


「所でさっき、げんぷくがどうとか言ってたけど?」


「ああ! 元服な!

お前にはまだ早いがサムライは十六歳になると大人として振舞うんだ!」


「幸村って十六歳なの?」


「そうだ!」


「俺も十六歳なんだけど!!」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「レンジが十六歳だと!! そんなに小さいのにか?」


「うるさい! ちっこくても十六歳なもんは十六歳なんだよ!

クソ~なんだよ。幸村って俺とタメだったのか~。

今まで、気使って損した~!!」


「お前、あれでも気を使っていたのか?」


「当たり前だろ!!」


急にレンジは幸村に対し余計になれなれしくなり、


「帰ろうぜ!!」


と、元々タメ口だったが、よりフレンドリーになったのだった・・・・・・







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