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国盗り狂騒曲~下剋上☆戦国浪漫譚~  作者: 由木 ひろ
風林火山編
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第十死合い 見回り

朝食を終え、見回りに出かける支度を済ませた二人は屋敷の門を出る。


「なあなあ、幸村! 俺サムライみたいじゃね!」


幸村の子供の頃の服と刀を借りたレンジは、自分の姿が時代劇のサムライみたいになってる事にテンションが上がり幸村に自慢していた。


「お前、剣術の心得があるのにサムライじゃないのか?」


幸村の問いかけに、


「あっ、俺。本職は高校生なんだ!」


「高校生? なんだそれは?」


「う~ん、何て説明すればいいんだろうか・・・

あっ、そうだ! 勉学が仕事みたいな!!」


「ふ~ん、お前みたいな短気な奴が勉学か?

人は見かけによらないものだな・・・

しかし、俺の子供の頃の服、お前にぴったりだな!

もう少しお前が大きければ、着るものがなかったな!!」


「それは俺が小さいとでも言いたいのかね? 幸村君よ~!!

今度俺に小さいなんて言ったら、お尻ぺんぺんだからな!!」


「お前が小さいのは俺のせいではない!」


「てめ~、又言いやがったな!!」


レンジは幸村の前で自分のお尻を叩いて舌を出し、幸村をからかった。

幸村はそんなレンジを鼻で笑い、シカトして村へ向かった。




村の様子を見て回る二人、レンジは観光気分だが、幸村の目は通り過ぎる通行人、一人一人に注意深く向けられていた。


「なあ、幸村。見回りって一体、何を見てるんだ?」


「この村々に出没する野盗や落ち武者、敵方の間者などを見つけるんだ!」


「見つけたら?」


「捕らえる! 敵の間者なら情報を聞き出す。それが無理ならヤル(殺す)だけだ。


「物騒だな、おい!」


村の住人は幸村の姿を見かけるとみな頭を下げ挨拶をしてくる。

村の若い娘達は、幸村を見かけると黄色い声援を送ってくる。

その声援が耳に入らないのか、まるで気にしない幸村。


(なんだよ幸村、村人に大人気だな・・・

なにが幸村様~、こっち向いて~だよ!

アイドルかって~の!)


幸村の人気をひがんでいるレンジだったが、次の村へ行く道中に何やら甘い匂いがレンジの鼻先をかすめる。


(なんだろう?この美味しそうなニオイ)


しばらく歩くと団子屋ののぼりと店が見えて来た。

お腹が空いて来たレンジは、


「なあ、幸村! 団子屋があるぜ!」


「で?」


「うまそうじゃん! 行こうぜ!!」


「俺はいい」


「なんだよ、付き合い悪いな~」


「一人で行ってこい! 俺はそこの木の木陰で休んでいる」


そう言って幸村は木陰に腰を下ろし竹の水筒から水を飲んでいた。

レンジはニオイにつられ団子屋の椅子に腰かけ、


「おばちゃん、団子二本!!」


「はいよ!」


運ばれて来た団子とお茶で空腹を満たす。


「おばちゃんいくら?」


「二枚だよ!」


レンジは財布から千円札を取り出し店の女性にわたすと、


「なんだいこりゃあ? こんな紙切れもらっても硬くて鼻紙にもなりゃしない!!」


レンジは気づいた。時代が違うので、使用されているお金が違う事を。


「おばちゃんごめん! すぐにお金持ってくるから、ほらあそこで休んでいるつれが払うから!!」


そう言って木陰で休んでいる幸村を指さし、幸村の元に急いで向かうレンジ。

慌てて戻って来たレンジを見て幸村は、


「もういいのか? そんなに急ぐ旅では無いが・・・」


「たのむ!! 幸村。いや、幸村様。幸村大明神!」


「なんだ? 気持ち悪い・・・」


「お願いだ! お金貸してくれ・・・いや、貸してください!!」


「お前、お金も持たずに店に行ってたのか?

で? いくらだ?」


「なんか、店の人は二枚だって言ってた!」


幸村は呆れた顔をして懐から銅貨二枚を取り出しレンジに渡した。

それを拝むように押し頂き、すぐに店に戻って支払いを済ませて戻ってくるレンジ。


「お前はホントにバカだな!」


幸村の言葉にレンジは、


「バカって言うな・・・・・・」


いつも威勢の良いレンジだったが、この時ばかりはごにょごにょと返す言葉に元気がなかった。




その後も見回りを続ける二人だが、レンジと幸村が出会った場所へ幸村の案内で行ってレンジが倒れていた古寺を見て回ったが、なにも帰る手がかりを見つける事が出来なかった。

その日は何の成果も無く帰る事になる二人であった・・・・・・

















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