3/30
学園のアイドル
あぁ、俺が撒いた種って感じだけど、親父まで?
「今日も美人だなー。莉子さん」とモブが言う。
莉子さんとは、ここらの企業のトップの財閥令嬢だ。で、何故だろう?その財閥のトップが空手大好きらしい。
「早坂君」
――名前を呼ばれただけで、周りに緊張感が走る。
「早坂君のうちの道場に今日もお邪魔していいかな?」
――今日もだとぉ?俺の留守中に美人令嬢がうちのビンボー道場に来ていただと?聞いてねー!
「ぜひ、うちで良ければどうぞ」
「うちで良ければ…なんて早坂君のうち空手強いじゃない?早坂君も?」
「俺は…。とりあえず、放課後うちで!」
――いやっほぅ。うまくすれば就職すら決まるって美味しい話だ
ここは一つ、銭湯でじっくり体をほぐして実家に向かおう!
そううまくいかないのが人生。またお湯が光り出した。
――マジでー?今度は俺が何歳の時に行くの?