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タイム銭湯~タイムマシン  作者: satomi


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28/30

キスマークは突然に

「司!師匠‼司を借りますね」

 俺は親父からちょっと離されたところに連れていかれた。

「結論から言うと、体のあっちこっちについてた…」

「マジで?ゴメン」

「うなじとかにもついてるのかなぁ?ちょっと見てくれる?」

 色っぽいんですけど…

「なかったよ」

「うーん、パーティードレスでも背中空いてるのはNGだなぁ。あと、髪型も気をつけないとなぁ」

「すいません。ってパーティー?俺も参加!だってフィアンセだぜ?エスコートしてなんぼだろ?」

「そこの若人二人。莉子さんのキスマークの話かい?」

――正解

「メイク道具でなんとかなるんじゃないのかな?マナー!」

「呼んだ?莉子さんについてるキスマークなんだけど」

「もう、司君ってば独占欲強すぎ!で?」

「メイクでどうにかできないもんかとマナに相談」

「うーん、コンシーラーで誤魔化すって手でいけるんじゃないかなぁ?あ、コンシーラーってシミを隠したりするやつね」

 おふくろが試した。

「莉子さん、肌きれー。羨ましいわ」

「マナさんも若々しくって年齢わかりませんよ」

 と、莉子の背中をおふくろが見た。

「あー、司君。無意識にこんなにつけちゃって…。若いわねー」と言いながら、コンシーラーで消していく。

「出来た‼見てー‼」莉子の背中はごく普通のというか、きれいな背中になっていた。

「司君、ひどいのよ!背中いっぱいにキスマーク。コンシーラーよりファンデーションの方が速くないって感じだった」

――そこまで言う?


「莉子さんの家には莉子さんのキスマークを容認する人いる?」

「フィアンセがつけたんだからOKじゃないですか?」と、莉子。

「マナみたいに化粧できる人は?」

「マナさんの方が正直上手ですけど、専属で一応います」

「女性だよな?」俺が突っ込む。

「男にそうそう触らせません」

「司、お前のその独占欲がキスマークの山を作ったんだ」

「親父はおふくろに独占欲ないのかよ?」

「マナは独占しなくても俺のところに来るもん」大した自信だな。

 そうか、俺は自分に自信がないんだな。空手、頑張ろう。

「マナさんを‘専属’って連れて行ってもいいんですけど、剛君が…」

「俺はこないだ卒論の時に着たスーツ姿でパーティーに出ればいいんだな?」

「剛の面倒は俺が看ておくよ。そのパーティーはいつだ?」

「今夜です」


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