大学卒業までまだちょっと
大学の卒論発表の日
「とにかく、発表して単位がもらえればいい。賞とかを欲しているわけではないんだから!」
俺はスーツ姿で大学に行った。
スーツ…市販のはサイズが合わなくて、オートクチュールになったから1着でかなり高い。首は太いし、肩幅あるし、そこらに筋肉ついてるからまったく市販のでは対応できなかった。
「莉子!んー?なんかいつもと違う感じ。あっ、化粧!いつもと違うね!唇とか色っぽい」莉子赤面。
「そういう司のスーツ姿久しぶりー」
「それがさー。市販のスーツだとサイズ合わなくて、これオートクチュールなんだよー。高くついた」
と、つい愚痴を漏らしてしまった。
「論文発表する場所バラバラだけど、頑張ろうな!」
発表後
「なんか疲れた…親父と組手よりも疲れる…」
「莉子!どうだった?なんか賞もらったけど…鏡月の力かな?私の力じゃないよ」
「うちでパーティーするんだけど、来る?」
「お邪魔しようかな?鏡月の方でもパーティーの話あったんだけど、司のうちの方にする!」
「いいの?」
「いいの!」
――なんかあったのかなぁ?
早坂家
「莉子さん、受賞おめでとー!」
「見て?剛、最近拍手できるようになったのよ?」
「ありがとう、剛君」
「ねぇ?俺は?」
「莉子さん、今日のメイクきれいねー」
「自分じゃできないです」
「でも道具はある?」
「今持ってます」
「それじゃ、化粧直ししましょ!」
おふくろが強引に莉子を連れて行った。
「親父、剛も空手やらせるのか?」
「当然だ。少なくとも黒帯は持っててもらう。お前は師範代まで登り詰めろ!」
「莉子ばっかりおめでとー言って。俺だって卒論発表したのに…」
「すねるなよ、ガキかよ」
「あれ?ルリは?」
「お泊まりデート♪」
「いいのかよ。親父。イメージ的に『うちの娘はやらん』なんだけど?」
「うちに莉子さんが来てくれればいいもーん!」
「できたわよ。ほら、恥ずかしがってないで。莉子さん完成形ー!」
おふくろ、美魔女と言われるだけのことはあって、メイクもうまい。莉子が大学にいる時よりもキラキラしてる。
「ほーら、司君なんて見惚れて言葉も出てないわよ?」
「司!一言言わんかー」
「ああ、うん。いや、あの、すごくきれいになっててビックリした」
「「普段汚いみたいじゃない?」」親父&おふくろからの攻撃。
「いつもと違うから驚いて言葉が出ない。いつも美人だよ。それは確かなんだけど」
「今日は司の部屋が役に立つかな?あと数日で卒業だし」
――親父、煽るなよ。自分との闘いなんだから
「司、大丈夫だよ。お風呂いただいたらメイク落とすから」
そういうことじゃないんだよなぁ。キラキラしてたという事実が残るんだよなぁ。




