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第7話 『寂しがりやはいつでも人と関わる妄想をしている』

初めて評価が付きました。

泣くほど嬉しかったです。

すんません

「まず、私はこの世界に来てもう二度死んでる」


「死んで? えっ!?」


突然の告白に戸惑いを隠せないスグル。


「召喚されたと思われる場所が木のてっぺんでね。気がついたら地面に真っ逆さまよ」


「よくそれで生きてたね…。え? あ、いや、死んだんだ…っけ…?」


「うむ。次に気がついた時は私は宙に浮いていた。飛べるようになったとはしゃいでいたら、自分の遺体を見つけて一気にどん底の気分だった…」


「どん底の気分で済むのなかなかすごいと思うけどね…。っていうか、死ぬと宙に浮くんだね…」


「そこで私は初めて自分のステータスを見たんだ。状態が死亡(幽体)になってて、そこを異常なしに変えたってわけ」


「もう規格外過ぎて何が何だか…」


スグルはもう突っ込むのをやめた。


「そのあと、人里を探しながらこのステータス表示のことを調べてたんだよ。レベルは好きに書き換えられるから9999って入れたんだけど、そしたら私の体が吹き飛んでね。いやー、木っ端微塵になってさ。慌てて状態を異常なしにしたんだけど、一瞬で私の身体が再生されてね!そしたらまた吹っ飛んでさ。レベルを戻さないとダメだってなって。いやー、本当に危険な力だよ」


「そんな危険な力を初対面の僕で試したんだね…」


「まあまあ、男子たるもの三日会わざればレベル999ってね」


「なんなのそれ…」


「自分以外を書き換えるって発想がなかったからねー。スグルくんに何かお礼したいなって思って思いついたから」


「そ、そうなんだ。気持ちは嬉しい、かな…」


ニコッと笑う夢子が可愛くて、スグルは顔を赤くしてしまう。

自分の名前は知られてしまったが、異世界から来たのであれば自分の正体は知られないだろう。

夢子も困っているようだし、力になれることは力になってあげたい。

スグルがそんな事を考えている時だった。


「スグルパイセンこの世界のキーパーソンじゃないっすか!!!」


「ええええええ!?」


夢子が驚いたがスグルも驚く。

スグルのおおよその事情も夢子のスキルに書かれていたのであった。


◇◇◇


「っいう訳でさ…。自分の研究を使って、戦争が起きたりするのが嫌なんだ。生活が便利になればいいと思って開発しても、それを軍事利用されてさ…。嫌になってここに来たんだ」


「パイセンも大変なんですね…」


「幸い、転移装置があるから買い物は困らないしね。お金にも今の所困ってないし。成果を欲しがってゴマをすりにくる大人もいないし、研究データを盗もうとする美女もいないし、金持ってんだろ?奢ってよ!っていう自称友達もいないし、ここは最高だよ!」


「パイセン…」


夢子はちょっとだけ寂しい気持ちになった。

そんなに他人が嫌なら、今ここで自分と話しているのはおかしい事だ。

人に見つかりたくなくて生活しているのに、態々自分から扉をあけてやってきたのだ。

それは『泣いている夢子を放っておけない』というのもあるだろうが、それ以上にきっと孤独だったのだ。

うんざりする関わりから逃げるために、全て置いてきた。

何気無い挨拶も、見知らぬ他人が過ごす風景も、自分の発明で喜ぶ人の笑顔も…。


「スグルパイセン、夢子をここに置いてくれないかい?」


「え!? だ、ダメでしょ!? いい歳の男女がそんな2人で暮らすなんて!?」


夢子の突然の申し出に、スグルは顔を真っ赤にして拒否をする。


「アッシはこの小屋で構わねえでさあ…。部屋が別々なら問題ないよね?」


「お、女の子をこんなボロボロの小屋に住まわせられないよ!」


「地下に空いてる部屋があるのでは…?」


「あ、あるけど…。それもスキルに書いてあったの?」


「ううん。でも、絶対に客間があると思ったから!」


そう言うと、夢子はこの世界に来てから一番の笑顔で笑うのだった。

読んでくださってありがとうございます。

本当にすんません

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