第5話 『常識が死んだ!!』
すいません
「なーんかいっぱいあってよくわからないや。文字ばっかでわからん」
夢子はやれやれと首を振る。
「そ、それは本当に鑑定なのかな…。そうだ! 夢子を鑑定してみればわかる!『鑑定』」
しかし何も起きなかった。
「えっ…。『鑑定!』 あれ…?『鑑定!!』 どうして…」
どんなに頑張っても夢子に関する情報は何も表示されなかった。
「どうしたどうした? 何を困っているのかな?」
「夢子の情報が表示されないんだ…。こんなこと今までなかったんだけど…」
「それはそうだわ!」
「えっ!? なんで!?」
「私が止めてるからね!」
ふん!と胸を張る夢子。
「と、止めてる…?」
「情報を開示しますか? って聞かれるから『いいえ』を選んだのよ! 乙女の秘密を探ろうなんて、パイセンはいけない人ね!」
「なにそれ!?」
鑑定とは強制的に情報を開示する。
特にスキル鑑定は防ぐ術がない。
相手に許可を求めるなんて、聞いたこともない。
「鑑定って乙女の秘密がいっぱいじゃない! こんなの開示できないよ!ぷんぷん!」
「乙女の秘密…?」
「体重よぉ! 182cmで89kgかー。鍛えてるねぇ。腕にぶら下がっていい?」
スグルは次々と起こる常識外の出来事に、もはや何も言えなくなってしまった。
「ちなみに私のスキルは●●●●だけでなにも付いてないよ。やっぱり鑑定とは違う?」
「もはや僕には判断がつかないよ…」
「んー、鑑定つけられるかな? 今までなにも出なかったんだけど…。あ!でた!つけられるよ!鑑定!」
スグルの目からは夢子が空中で何かをツンツンしているようにしか見えない。
「なにしてるの…?」
「鑑定つけてみたよ!スグルくんみたいにすればいいのかな?『鑑定!』 うわー! ホントだ! こっちは全然情報がない!!」
「鑑定をつけた…?」
スグルの常識は次々と壊れていくのだった。
本当にすいません