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せめて世界観だけでも楽しみます  作者: けけけのけ
3/3

トコ

 水面の女性が泣いている。

 そっと目の下に触れてみると、濡れていた。

 見知らぬ人に成り代わっている……という事実を改めて思い知る。

 ええい! 泣いている場合じゃない、二和! まずはこの人は誰なのか、ここはどこなのか調べないと……!!


「ここにいたのか!!」


 私に駆け寄って来たのは、先ほどの男の人。

 そうだ、彼なら、この女性について知っているはず!


「な、泣いているのか?! どこか痛むんだな! さぁ、家に帰ろう!」


「あ、あの……」


「ん? どうした?」


「私は……誰なんでしょう?」



◆◇◆



 トコ。それが成り代わった女性の名前。

 田舎の村で兄と二人暮らしをしている。

 兄というのは、私の介抱をしていた男の人、サルビさんのこと。

 今朝、トコは村のパン屋へ、サルビさんは隣町の工事現場へと……それぞれの勤務先に出かけた。

 しかし、仕事中、トコは足を滑らせ、頭を強く打ち、気を失ってしまった。

 そのことを聞きつけたサルビさんは仕事を早退して、トコを家に連れ帰った。

 そして、目が覚めた時、どういうわけか、私がトコになっていたのだった。


「トコさんについてはわかった……だけど……」


 ちらりと、サルビさんをみる。

 先ほどから、彼は頭を抱えて、同じ言葉を何度も呟いている。


「トコが記憶喪失になったなんて……」


 情報の代価は大きかった。


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