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明日学人の未来視推理  作者: 都 新太
3/3

No,02

 翌日。

いつものように一週間先の未来を見た俺は、早めに登校する。


 玄関ドアを静かに開けようとした時、俺の右頬を消しゴムがかすめた。 


「まなとー 今日なんでそんな早いの? 日直かなー?」


 この一文は、いろいろとやばい。まず一つ目、いつもはお兄ちゃんと呼ぶ妹だが、怒ってるときはお兄ちゃんとは呼ばず、呼び捨てにするのだ。二つ目はない。空気がやばいだけ。消しゴム投げる時点でもうおかしいもんね。ヤンデレ属性なのかな?


 無視して玄関のドアに再び手をかけると、妹は背後に立っていて後ろから鍵を閉められた。


「おい、まなと。リビングで話は聞いてやる。」


「はい。」


 妹は深く腰を下ろし、足を組み、今日から6日後の俺の行動についてわけを聞いた。


「来週の月曜日は出雲(いずも)と、買い物に行く予定だったよね?」


「はい。」


「なんで出雲、一時間も待たされてるわけ?」


「はい。」


「はい、じゃなくてさ。」


 こうなった妹には逆らえない。これで今年通算五回目くらいだろうか、未来のことについて説教が始まるのは。いや、口が滑っても、友達としゃべってたなんて言えない。


 出雲は俺と同様、未来を見ることができる。しかし、一週間後ではなく、6日後の未来を見ることができる。見れる未来はほんの少し違い、兄である俺は、妹が見る未来の少し前を見ることができるが、妹が見る未来の最後は見ることができず、妹の出雲は、俺が見る未来の少し後を見ることができるが、俺が見る未来の最初は見れないのだ。


 今回の件で、表すと、

出雲は一時間待たされたのがわかるが、出雲は待った理由がわからない。

俺は、友達としゃべってたというのがわかるが、俺はどれくらい待たせたのかがわからない。

といったところだ。絶対言えねえ。


「友達としゃべってたんでしょ」


 俺のすることはわかってるかの如く、出雲は、遅れた理由を言い当てた。妹超怖い。いや、未来視か。


「もうさ、言い逃れなんかできないんだからさ、素直に言えばいいのに。」


「いやワンちゃんあるかなと思って」


「まぁ、そのフレーズまで未来視してたけどさ」


「俺は操人形か何かですか?」


「本当はその言葉までわかってたよお兄ちゃん。」


「……」


 世間から見たらこのやり取りどうなんだろう。兄弟のいない奴らから見ればこのやり取りは、うらやましいのかもしれない。妹に(もてあそ)ばれるってすごいムカつくからね。可愛いとかそういいう感情一切なしにただただムカつく。。


「まぁご飯作るからしっかり食べってってね。あと、出雲を学校まで送っててね」


 やっぱ訂正。少しは可愛い


「えー出雲の中学反対なんだよ。」


「誰のせいで遅れると思ってんの?」


「しっかりお届けします」


「よろしい。」


 そうして、朝食を食べ、妹を学校まで送り、学校についた。


 いつも通り、席に座り廊下のほうが騒がしいなと、窓側の席から廊下のほうを見つめていると


「おーう、学人!」


 後ろから、変な奴に声をかけられたので、無視をした。小さいころ習ったもんね。知らない人に話しかけられても気づかないふりをしてなさいって。まぁ変な人も知らない人と同じ扱いでいいよな。


「おーい 紺……」


 俺は必死で守の口をふさいだ。もうそのまま窒息死させてやるくらいに。そして、めぐりのほうを向きいづいてないことを確認して手から口を離した。いや離さなくてもよかったんだけどね。


「てかお前国語のノートに何書いてんだよ。」


「あー見ちゃった?学人の観察日記」


 いやその言い方だと今後も連載するみたいな勢いだからやめろよ。しかも、毎時間、俺のこと見てるんでしょ。いやもうただのストーカーだろ。警察に相談しようかな。


「おい、気持ち悪いからやめろ。あとそんな見てないし。」


「私のノート貸してあげたのに……守ショック」


 守は昨日同様、雌声で言った。このネタ自分がやられるとむかつくな。今度やってやろうか。


「あと合計数間違ってたぞ。算数もできねえのかよ」


「あーそれ書き直したんだよ。俺が話しかける前に誰にノート借りるか探してた時見てたからさ」


と言ったところでホームルーム開始チャイムが鳴り、守は席に戻った。くっそ、守に一本取られた。超馬鹿にしてやろうと思ってたのに。ただめちゃ恥ずかしいだけじゃねえか。出雲といい守といい、計算高いやつばっかじゃねえか。いつか馬鹿にしてやる。


***


 今日も現代文の授業があった。ボケーっと窓の外を眺めてた。そういえば明日も早く家を出なきゃなと考えてた矢先、教科書が降ってきた。今日は未来視してなかったため、よけられず、当たってしまった。


「痛って!」


 と痛がっていると先生はみんなからは見えないところで、ガッツポーズをしてた。どんだけ生徒にあてたかったんだよこの教師。


「先生も腕を上げましたね」


「お前はいつになったらちゃんと授業を受けるんだ」


 と一連のやり取りを終え、まわりがどっと笑う。みんなが笑うからこの先もぼーっと窓の外を見なければならないという使命感が生まれる。だから、今後もみんなのために、窓の外を見ようと強く決意したのだった。あくまでみんなのためであり、ただ、現代文の授業がつまらないからとか、白井の顔がきもいからとかそういう私的な理由は一切挟んでない。みんなのためだ。と心の中で肯定しといた。


 いやそういうことじゃないよね。あと意外と痛いのでもう勘弁。



 




三話目の投稿です。

こんな感じでマイペースでやっていきたいと思います。

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