旅立ちの前に
「つまり、あたしはサクが死なないように見張ってないといけない、ってことよね」
「そうだなぁ」
「カシュールカは、あたしに諸国漫遊、食い倒れツアーを堪能させてくれるっていう約束を守らなくちゃいけないしね」
「そうだな」
それはつまり、これからもミイはふたりと一緒にいないといけないということだ。
「これからもよろしくね」
「まあ、そうなるな」
カシュールカは気の抜けた様な返事ばかりを繰り返しながら、頭をぽりぽりと掻いた。
「やる気が感じられない! あたしがルミナじゃなかったからって、まさかがっかりしてるんじゃないでしょうね!?」
「そんなことないさ。だいたい俺、ルミナのことあまり覚えてなかったしさ」
「でも、あたしがルミナの名前を出した時、あからさまに心当たりがあるって顔してたわよ」
「それは、死んだって聞いてたから……」
カシュールカの首には小袋のついたネックレスがかけられている。
ミイから渡された、あのネックレスだ。
袋の中に入っていたのは、ルミナの遺髪だった。
ルミナは死の間際、カシュールカに自分の気持ちを伝えて欲しいと、そうミイに頼んだ。
ミイはそのためにカシュールカを探していたのだ。
――宝剣探しをカモフラージュにして。
「言い訳は結構」
ミイは、自分を迎えに来てくれた時の真剣さをすっかり失ってしまった、やる気のないカシュールカの様子に腹を立てつつ、冷たく言い放った。




