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第3章 〜悪役令嬢の座〜


3回目ともなればいい加減ナレーションには慣れた。



「ここで会ったが100年目!

覚悟しやがれ!」

そう言い放ちながら何もない腰に手をやり、、、


光輝く剣を抜きはなった!


やけに大振りなその剣にはさっぱり読めない文字がビッシリ並んでおり、剣身からはこれまた光が明滅していた。


あまりのビックリ展開に口を開けたままの私はいつの間にか元子猫の美形の腕の中にいた。


激しく動揺している私はそんな事に気付かずに、光輝く剣から目を離せずにいる。

見えない何かに囚われそうになっている私は身体が震えている事に気づいたけれど止める事はできないでいた。

アレは、ダメ。


「大丈夫だ。

アレはお前を傷つけたりはしない。

そうだとしても私がさせない。」


耳元で囁くその声に動揺は治っていき、同時に身体の震えも止まる。


そして、気づく。



瞳の意味を。



なぜ、この世界に来てまで縛りがあるのかは謎だったけど、この際その事については無視する事に決めた。

そう、スルーするのだ!


「ちょっと!勇者さま!

その剣しまってください!

勇者の剣って私の精神衛生上よろしくないみたいなので、今後は私がいるところで抜くのは止めてくださいね。」


「コーラル、久方ぶりの逢瀬だ。

お前からは抱きしめてくれないのか?

あれか?人目があると駄目なのか?」

相変わらず人の会話の流れを無視するそのスタンスに少し懐かしさを感じた。


以前の私はどうだったか忘れたけどね、今回の私は違うのよ!

1人のオトコに絞らないのよ!


口に出すのは憚られたので脳内で宣言してみた。

それでもやっぱり恥ずかしい、、、。

顔が赤くなる。


「そうか、なら私も光側へ付いた方がいいだろうな。」

そうぽつりと零すのは元子猫、かつて苦難を共にし、それ以前は敵対勢力の頂点だった彼、魔王は、ここでも敵対する側に回ると宣言した。


ふと離れる腕、失われていく温もりに愛惜を感じなくもなかったけど、やっぱりスルーした。


と、同時に美形顔に靄がかかった。



「ワタクシのシモベがドンドン増えていきます事ね!」

そんな幻聴が聞こえた気がした。



「んーオレはどうすっかなー。

多分このまんまじゃ、コーラル完全に孤立しちゃうだろ?

いくら悪役令嬢っつったてなー。それじゃあまりにも辛いだろ?

もう少し様子見て決めるわ。」

勇者の剣をどこかにしまいながらそう言ってくれた勇者さま。

ほんの少しだけ視界が汗で曇ったのはヒミツだ。


「卑怯だぞ。

なら、私もまずは中立から、、、

む、戻れない?

なぜだ?」

魔王、焦る。


一度立ち位置を決めちゃうと戻れないのね。

1つ賢くなったわ。

ありがとう。


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