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第2章 〜乙女ゲームでの再会〜
またもや脳内で響き渡るナレーション。
しかも第1章、いつの間にか終わったらしい。
ここは私立なんちゃら学園のテラス。
美少女の努力が実を結んだのだろう、私の周りには誰もいなかった。
けれど、足元をじゃれ付くこのコだけは常に私の近くにいた。
全身真っ黒の子猫。
瞳の色は黒と金を溶かし込んだかのような色味。
ふと私と似てる瞳だわ、なんて思ったりしてた。
確かに似てるよね。似てるっつーか、同じ?
その理由は後で判明したんだけどね。
そんな自分の記憶力の欠如というか、お間抜け加減というか頭を抱えたくなった。
まぁ、そう思ったのももう少し先の話し。
今は授業も終わった放課後。
みんなは部活動やら友達と寄り道だの楽しそうに教室から去って行った。
誰にも誘われる事のなかった私は真っ直ぐ家に帰るのもつまらなかったので、こうして学園のテラスで優雅にティータイムと洒落込んでいた。
男爵家の紅茶も美味しかったけど、ここのも美味しいわぁ。
学校のものって侮ってたけど間違えてたわ。
香りと味わいを楽しみながら、なんちゃって貴族令嬢ごっこを1人楽しむ私。
別にいいのよ。攻略対象の姿が見えなくても。
こうやって1人優雅に貴族令嬢ごっこが楽しめれば。
(1人ではないぞ?)
脳内に響く声。
思わず辺りを見回すけど誰もいない。
ふと、視線を感じて下を見遣れば、子猫がこちらを見上げていた。
まさか、ね、、、。
ありえない現実が頭をよぎったけど、ありえないと自ら否定する。
すでにありえない自分の事は棚に上げて。
「おー!
いたいた!
久しぶり!コーラル、元気だったか?」
向こうからキラキラしい容姿をしたイケメンが右手を挙げながらやってくる。
あ、あれ?
なんか覚えがあるなぁ、と思いながら目を細める。
「あー!
ゆ、ゆうしゃさま!」
そう、向こうからやってくるイケメンは勇者さまだった。(詳しくは、あーるぴーじーシリーズの、以下略をよろしくどうぞ!)
勇者さまはこちらがビックリしているのもお構いなしに話し続けている。
「コーラルって悪役令嬢なんだってな!
なら、俺は光の令嬢の方に付いたほうがいいか?」
「はっ?」
悪役だの令嬢に付くだのまた訳の分からん事を言われた。
「だって、ほら、ヒロインイビリ倒して最後は断罪イベントで学園追放とか、ヘタしたら国外追放とかになるんだろ?
それが悪役令嬢のセオリーじゃないの?
ならオレはやっぱり光の令嬢側に付くべきなんじゃないかなーって思ってさ。」
「そんな事は私がさせん。」
散々耳元で聞かされた無駄に美声が久しぶりにまた耳元で聞こえた。
そこには、やっぱり、、、。