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第1章〜乙女ゲームの王道は学園生活でしょ〜
そんなナレーションが脳内で響き渡った。
ここは私立なんちゃら学園。
例によって例により名前は聞こえなかった。
そのなんちゃら学園、貴族の子女が通う学園らしい。
と、いう事で急遽美少女2のお家と養子縁組の手続きが取られた。私が学園に通うためだけに。
私の気持ちとしては何がと、いう事なのかは相変わらずさっぱりな展開が繰り広げられている。
そんな今だってほら、
「まぁ、なぜアナタがこの学園にいらっしゃるのかしら?
ワタクシ言いましたわよね?
ワタクシの前に姿を見せるな、と。
どういう事かご説明願えますか?」
もうすっかり美少女の面影を失った表情でまくし立てる。
黙っていれば紛れもなく美少女なのになぁ。
そんな事をボケっと考えながらボケっと美少女の顔をボケっと眺めていた。もちろん美少女の話しはスルーで。
ここは私立なんちゃら学園の体育館ウラ。
職員室に向かおうとしていたところにいきなり目の前の風景が変わるという少し前に体験したアレが再現されていた。
そしてそこにはやっぱりというかなんというか、正直あまり再会したくない相手が腕を組み、足を肩幅に広げ、いわゆる仁王立ちをしながら私を睨め付けていた。
1人で。
「あー、もしかして、アナタ1人だと素が出るってヤツ?それともオトコとオンナで変わるヒト?」
私は得心顔で半分決めつけた。
「な!
失礼な!
ワタクシそんなイヤなヒトではありません事よ!」
仁王像か般若かと言わんばかりの表情で全く説得力のない事を言い放つ。
「そんな事仰るというなら分かりましたわ!
ある事ない事でっち上げて断罪して差し上げますわ!
ワタクシの言う事を聞かないとどれだけ恐ろしい事になるか身を以て感じさせてあげましょう。」
完全に美少女ではなくなっていた。
「あー、はいはい。
お好きにどうぞ。
別にココにいられなくなってもいいから。」
だんだん戸惑い続けるのも面倒になってきた私はとりあえず遅刻はイカンという事で職員室に向かう事にした。
美少女を振り返る事なく手をヒラヒラと振って去っていく。
美少女の基本情報全く知らないけど、光の属性持ちってイメージが違うんだけどなぁ。
なんていうか、こう、、、
と、ここまで考えて気づいたけど、別に何もイメージ湧かせてなかったわ。