表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/22

19

第5章 〜唯一の光属性〜



「離れてください。

それとも力は敵わないと見せつけたいんですか?」


久しぶりすぎてすっかり忘れていた脳内ナレーションを聞きながら黒いオーラが吹き荒れる(大げさ)


「え?」

戸惑いを見せる勇者さま。

その表情に私の黒いオーラはナリを潜めた。

そしてツキんと胸が疼いた事は気にしないでおこう。

何か嫌な予感しかしない。


「勇者、多分ソレじゃ駄目だ。

もっと率直にいかないと。」

「え?

結構ストレートなつもりだったんだけど。」

「何をごちゃごちゃと。

とにかく、そういう事はやめてくださいね。

力の性差見せつけられちゃうとイラっとしちゃいますから。どうやったって男性には敵わないんですから。

それはそうと、魔王、おはよう。

珍しいわね、アナタがこんな朝早くから学園に来てるなんて。」


「コーラルおはよう。

今日は授業を受けに来たんじゃないんだ。

勇者、一緒に国へ来てくれないか。

お前の属性の力を借りたい。」

「珍しいな、お前がオレに何か頼み事するなんて。」


属性って事は光属性よね。

なら、令嬢に頼んだ方がいいんじゃないかしら?

確か唯一の光属性持ちよね。

性格はアレでも。


「性格はアレなんで、多分本来の力を発揮できないかな。

現状はオレの方が上だと思う。

魔王、いつ行く?

こちらはいつでも大丈夫だ。」


「ああ、突然悪いな。

こちらも大丈夫だ。

なら校庭に行こうか。

転移するならある程度の広さは必要だろう。」


かつて2人は敵対していたけど、今はこんなに自然体な2人。

突然の願いにも気負わず受ける勇者さま。

願いを口にしても変なプライドを見せずに感謝の意を素直に表す魔王。

いいわねー。

なんてボケっと考えていたら、


「コーラル、一緒に行く?」


「行く?」

という言葉と共に私の腰をガッチリ捕らえる勇者さま。

「面倒だからこのまま転移するぞ。」


え?は?

転移?

どこへ?





私命名の強制転移。

この世界では相手の返事を聞く前に転移させるのが当たり前なのか。


なんて思いながら辺りを見回すと、そこは灰色の世界、、、ではなく花々が咲き乱れ、色とりどりの世界が眼下に広がっていた。


「コーラルの好みに作り変えたんだ。

好きだろう?

彩り豊かな世界は。」

さらっと言う魔王。


え?

私好みって?

作り変えたって何?


「魔王、アレか?」

私の動揺をよそに魔王に問う勇者さま。


「ああ、そうだ。

だが勇者よ、たまには私の話しも聞くがいい。」

「ムリ、同じ色持ちってだけでお前に負けてるんだから少しでも点数稼がないと。」


また私には通じない事を言いながら向こうへ指を指す勇者さま。


そこには、、、。



花は千々に乱れ、風吹き荒ぶ灰色の世界が広がっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ