表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/35

X.ステラ:20年前

 先の戦いで頭部を破壊された。


 たとえいくら再生能力が高かろうと、脳に保存されている記憶まで再生することはできないので、頭部を破壊されれば死に至る。

 だが、私は生きていた。

 顔は元通りに治り、記憶もちゃんと保持している。

 他の皆は、霊獣能力の『格』が高いからだと理解したみたいだが、違う。


 私の本体はこの右手にある刻印なのだろう。

 右手を切断したことはないが、もし切断されたら右手から体が生えてきて、元の体は動かなくなるのだと思う。


 そう思うと、悔やむ、悔やみ、悔やみきれない。


 それはつまり、最初の段階で右手を切断していたら、右手から私が再生され、動かなくなった体は、ステラの記憶によって動き出したのではないのだろうか?

 もちろんそれは可能性の域だ。

 通常、再生能力者が右手を切断したところで、また刻印がある右手が生えてくる。

 刻印は魂に刻まれるもの。だがら物理的に分断しても意味がないかもしれない。


 だが、どれだけ小さな可能性であったとしても、やっておくべきだった。

 中央界で、唯一心を許せる存在、ステラ。

 もう君はどこにもいない。


 頭部を破壊されてからというもの、ステラの過去を思い出すことができなくなってしまった。

 知識は私自身の魂に還元されているので、生活には支障がないが、もうステラを感じることはできない。


 この頭は空っぽだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ