#1 ペンギンは見ていた。
友人のアイデアを元に私が文章に表しました。
未熟ですが完結まで書き切りたいと思います。
藤野と蒼の活躍をお楽しみくださいな。
藤野は激怒した。必ず、かの暴君共を除かねばならぬと誓った。
しかし藤野には彼らに真っ向から対決する術はない。彼らの出鱈目な力に敗北を悟った藤野は、ひとつ出直して戦局を立て直すことにした。
気分転換に立ち寄ったコンビニでヨーグルト味の天然水なる物を買い、お気に入りの川べりに座る。
時刻は夕暮れ。緋色に照らされる水面が揺れる様はまるで炎が立ち上っているかのような錯覚を藤野に与える。
「嗚呼………綺麗ね」
藤野は感嘆の声を漏らすとすくりと立ち上がる。
そしてーー迷いなく、その中に飛び込んだ。
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「ひぃっ…………!?」
蒼の引き攣った悲鳴が、派手な水音に被さり掻き消される。
ーー自殺?
蒼はただ、オッドアイに眼鏡をかけ、頭にペンギンの被り物をしている奇抜な女を眺めていただけだ。それだけの事なのに、何故か彼女の飛び込み自殺に立ち会う結果になろうとは誰が予想するだろう?
助けた方が良いのか、とおろおろしながら河川敷に降りる。するとそのタイミングで、水面に何かが浮かび上がってきた。
目を凝らすと、それは先刻の女が被っていたペンギンのフードだと分かった。
ぷかぷかと水面を漂うペンギンの、円らな両の瞳が蒼を捉えたーーーような気がした。
瞬間、言いようのない怖気に襲われ、本能にも近い衝動に突き動かされるまま、蒼は上着を脱ぎ捨て、夕暮れの川に飛び込んだ。