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僕は、ここで生きていく。  作者: 沙羅時雨
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第四話:訓練を始めるそうです。

ようやく、できた。・・・ガク。


side:シオン 

フェレニカルについた僕達は思い思いに欲しいものを注文して雑談をしていた。(スリクさんの言うとおり、『ご飯』になるものはあまり無かった。)

「さて、武器も買った、防具も買ったあとは・・・。」

 スリクさんはそう言って僕を見据えた。言いたいことがわかった僕は、答えだと思われる言葉を口にする。

「本人の実力っと言うことですね?」

 スリクさんは、頷き話を続けた。

「そういうことだ。どんなに立派な剣を持っていても、それを使いこなせる実力がなければ木の棒を持っているのとさほど代わりは無い。」

 たとえとして持ち出したのか、それとも実際にあったことから言っているのかは分からなかったが、スリクさんの言いたいことをまとめると、

「今回買ったものを扱えるだけの実力をつけなければいけない。と言うことですね?」

「そういうことだ。ほんとお前は聡い奴だな。一を聞いて十を知るって言うのはお前みたいな奴に使うんだろうな。」

「ちょっと!魔法も忘れないでね?私が教えてあげるんだから。」

「わかってるよ。・・・これからお願いします。」

 僕は改めて自分を拾ってくれた命の恩人である二人に頭を下げた。いきなりの行動で驚いたのかアヤは、

「そっそんなに改まらなくてもいいよ。こちらこそよろしく。」

 両手を小さく振りながらそういい、僕に頭を下げてきた。そんなアヤの後ろから、

「厳しい練習だからくたばらないようにな?」

 いじわるな笑みを浮かべてスリクさんは言う。だがそんな事は二人のさっきのけんか(?)を見て見当がつく。二人ともきっと努力をしたんだろう。それこそ「努力した」という言葉ではすまないほどの。だから、僕はスリクさんにこうやって返す。

「わかっています。がんばります。」

 返事に安心してくれたのか二人とも安心したように頷いてくれた。ちょうどその時、ぼくたちの目の前に頼んでいた料理が置かれた。

「よし、そんじゃあこれを食べて精力つけて早速午後から修行するか!」

え?午後からやるの?マジか。と内心冷や汗を流すが確かにこの世界で生きていくためには、少しでも早く力をつけておいたほうがいいだろう。そう考えるとするなら、スリクさんの言うとおりにしたほうがいいだろう。

「分かりました。では今日からお願いします。」

「おう・・・、ってこんな話してるといつまでたっても食えないな。さっさと食って帰るぞ!」

「うん。」「はい。」

 僕とアヤはスリクさんの言葉にそれぞれ頷いて、ご飯時に食べるとは思えないデザートに手をつけ始めた。

                      ・・・・・

 店を出てやること無くなった僕達は帰ることにしたんだけど・・・。

「だーかーらー、今日は私が教えるって言ってるじゃん!」

「あの流れから考えてどう考えても俺が教えるところだろうが!?」

 ・・・どうしてこうなった!!僕の目の前二人はまたけんかをし始めたのだ。だが、理由が理由なだけあってあまり止めろと僕は強くはいえない。ちなみに、けんかしている原因は察してもらえているとは思うがどちらが、午後の訓練をつけてくれるのか。と言う事でけんかしているのだ。・・・子供だ。一つ提案として・・・というより、当たり前のことを提示してみる。

「今日は買い物とか色々して体力使ったし、どちらかといえば魔法の方がいいと思うんだけど・・・。スリクさんどうでしょう?」

「・・・そうだな。じゃあ剣術は明日の朝から午後は魔法で交互にやっていくことにしよう。二人ともそれでいいか?」

「僕は構いません。」

「私も今日から教えれるんだから異議なしだよ。」

 満足げに答えるアヤの横顔を見て、僕は思った。・・・アヤ、子供だ。

「?・・・シオン君何か言った?」

「イエ、ナニモイッテマセン。」

 何で分かったの?この人エスパーか何か?迂闊にいらないことも考えれないのか?内心あせっている僕に、

「・・・ほんとかなー?」

 っと一瞬疑いの目を向けたアヤだったがすぐに笑顔を浮かべ、

「まぁいいや、そうと決まれば早く帰らないとね。お父さんのせいで遅くなっちゃった。」

「・・・。」

 横でスリクさんは、お前とけんかしてたんだからお前のせいでもあるだろ!!っと言うようなかをしていたが、今のぼくがとやかく言えることではないだろう。・・・って言うか何か言ってアヤに呪文なんてぶつけられたら大変だし・・・。今回は、僕の胸のうちをアヤは察すことができなかったようで、(まぁ、そんないつも分かられても怖いんだけど・・・。)鼻歌を歌いながらアクアの頭を撫でようとして・・・。

「ヒヒィーーーン。」

 ・・・今度こそ蹴られた。地面に倒れたアヤを見てアクアは満足そうに僕の元へやってきた。・・・ほんと、何でぼくには懐いたんだろうか?

                     ・・・・・

 家に帰ってアヤはまず、僕の部屋を作ってくれた。いや、正確に言うと物置になる予定だった部屋を空けてくれただけで、作ってくれたと言うのには御幣があるのだが。(ちなみに、アクアに蹴られなれているアヤはその後すぐに立ち上がることができた。・・・こうなるとどれくらい蹴られると気絶するのかも気になるのだが・・・。)とりあえず買った荷物をそこにおき、アヤに連れられて家のリビングに案内してもらった。(フィルトルット家は、リビングが一番奥にあるみたいだ。)理由はもう言わずと知れるだろう。そう、魔法の練習だ。

「簡単に説明するね。」

 部屋の机に向かい合って座ったぼくに、そういい魔法の解説を改めてしてくれた。アヤの話を簡単に説明すると階級は7段階に分けられていて(これは剣術も同じだそうだ。)下から見習い、下級、中級、上級、王宮、帝級、召喚という分け方をされるらしい。ここまでは、さっき街にいく時に聞いていた話だ。大事なのはここからで、階級を上げるためには、上級魔術師までは、王宮魔術師と手合わせをしてある程度の成果を出せばいいらしい。まぁ、簡単に言うと攻撃を当てることが何回できるかで測定する。とのことだ。これも剣術と一緒らしい。

 あと二つ大事なことがある。そう言ってアヤは話を続けた。魔法自体、契約魔法と自在魔法に分かれるらしく、契約魔法はこの世界に存在する妖精たちに力を借りて膨大な力を使うことができる。というものだ。しかし、これは妖精から実力を認めてもらうか、それに耐えられるだけの魔力を所持していて直接妖精に会いに行って契約するしかない。要は、誰でも使うことができるということではないのだ。アヤは、水の妖精と契約しているとの事だ。一方自在魔法は、自分の持っている魔力だけで魔法を使うことができ、これは魔力さえ持っていれば特訓すれば誰にでもできるそうだ。

 そして、大事な話二つ目が、属性のことだ。一般的には火、水(氷も含む)、風、土(木も含む)、治癒(解毒も含む)を中心とするらしいが、例外もあり召喚魔術師の中には空間魔法、時間魔法、光魔法を持つ人もいて、それぞれ司るものと呼ばれているらしい。

「・・・っと、こんな感じだけど理解できた?いっぺんに話しちゃったけど。」

「うん大丈夫だよ。むしろ分かりやすかったよ。」

 自分の生きていた世界とはぜんぜん違うことには確かに戸惑いはするが、それ以外は何の問題も無い。

「?シオン君どうしたの?一人で頷いて。」

「あ・・・。」

 どうやら納得していたのが動作に出てしまったようだ。昔からの癖だ。考え事をしていて何か分かった時には急に顔を挙げたりするものだから、母さんにも驚かれたことがあった。

「なんでもないよ。頭の中で内容を整理していただけだよ。」

「到底その年でやることだとは思えないんだけどな・・・。」

「そうなの?」

「少なくとも私が小さい頃はシオン君の年のころはそんな事はして無かったよ。」

 そんなに珍しいことなんだろうか?まぁ周りの友達にもお前は変わってる。とよく面と向かって言われてはいたけど。

「まぁ、取り合えずシオン君に魔力がどれくらいあるか確かめてみようか?」

「確かめる?」

「言ったでしょ?魔力は誰にもあるわけではないし、その人によって持ってる魔力も違うの。妖精と契約はできてるみたいだからそれなりの魔力はあるんだろうけど。」

「確か、僕は水妖精だったけ?」

 武器屋のおばさんが言っていた言葉を思い出しアヤに聞く。

「うん。それともう一つっていてたけど、それは一回試してみたら分かるんじゃないかな?」

「そうだね。」

 指摘されて思い出したがそうだった。もう一つあったんだった。

「じゃあ外に出てやってみようか?一回手本を見せてあげるから私が唱えたとおりの呪文を復唱して、魔法を使ってみてくれる?」

「分かった。」

 外に出る途中、玄関でスリクさんとすれちがったのだが、

「ほんと、魔法が使えるっていいよな。空は飛べるし、遠くの敵も攻撃できるしいいことばかりじゃないか。」

 そうぐちるスリクさんに、アヤは白い目を向けて、

「その代わりお父さんは乗馬に優れてるし、剣だって剣技の『波動』を使えば遠くの敵もいっそうできるじゃないの。」

 そう言って玄関を出て行ってしまった。

「まぁ、無いものを無いって言っても仕方が無いか・・・。」

 自分を納得させようとスリクさんは独り言を言っている。

「・・・スリクさんは、魔力が無いんですか?」

「からきしってわけじゃないんだがな。でもアヤの打てる呪文を一発打ったらその日は動けないだろうな。魔力が無くなったら魔法ってのは膨大な体力を消費することになるからな。・・・魔法があるってのは今後そんにはならないさ。しっかり学んで来い。自分の娘だからというわけじゃないがアヤは魔法使いとしてはこの辺ではトップクラスだ。間違えなく力はつけられるさ。」

「はい。がんばってきます。」

 最初からそうだが、こんなことを言ってもらったり、拾っただけの僕にここまでしてもらっているのだ。手を抜くわけにはいかない。僕は自分で気を引き締めなおしてアヤの待つ外へ出て行った。

                      ・・・・・・

「遅かったね。」

 もう準備ができていたらしく、あやの目の前にはスリクさんが技を見せてくれる時に使った無数の岩が作られていた。

「ちょっと、スリクさんに喝を入れてもらってた。」

「お父さんがそんなことを?珍しいこともあるもんだね。明日は槍でも降るのかな?」

「アヤはスリクさんから何か言ってもらったこと無いの?」

「無い。むしろさっきみたいにお前は魔法が使えるんだからわがまま言うんじゃない。って昔から言われてたよ。」

「・・・・。」

 スリクさんあなたは一体何をやっているんですか?しかしアヤは、でも・・・。と続けた。

「お父さんがああいってるのも無理は無いんだよね。」

「・・・・・。そんなに魔法がないのって辛いものなの?」

「そりゃ、剣技は誰でも才能が無くても努力しだいでどうにでもなるし、よっぽどの実力がなければ魔法と剣技が使える人とやったら負けちゃうんだよね。それでもお父さんは、冒険者になることを諦めなかったし、冒険者にちゃんとなった。今では少しからだが思いどうりに昔みたいに動かなくなったからって、お城の兵たちに剣技を教えてるけど今まで戦って負けたことなんて私の知ってる限りでは一回しかないみたいだよ?」

「一回?」

「うん。昔自分の仲間と一回だけやったことがあったんだって。その人剣は、お父さんより少し劣ってたけど、魔法の方が強くてね。でもほんと、それだけだと思う。ただ、無理して魔物に返り討ちにされるって言うのはよくあったみたいだけどね。」

 まんざらでもない顔でアヤは言った。

「そうなんだ。」

 以外だ。剣を振ったとき、相当この人は強いんだろうな。とこの世界を何も知らないぼくにでもわかったが、そこまで強かったなんて。・・・ほんと。僕はなんて人達に拾われたんだ。アヤはよし。とつぶやき、

「だいぶ時間を取っちゃったね。そろそろやろうか?」

「うん。」

「・・・先に聞いておくけど、安全な魔法と少し危険な魔法どっちからやる?」

「あ、安全なほうで。」

 何でそんなこと聞いたのだろうか?わざわざ危ない魔法から試す人なんているはず無いだろうに・・・。

「そっか。私は危ないほうから行ったけどね。」

 ・・・ここにいた。得意げに言うアヤに半ば呆れさせられたが、次の瞬間僕はそんな呆れなど忘れてしまう光景を見せられることになった。

「・・・それじゃあ行くよ。初級呪文だからすぐに使えるようになると思うけど。」

 そういって、アヤは自分の杖(リヴァイァステッキというらしい。)を自分の胸の前で構えた。

「敵を止める枷となれ。『ガンレ・レイス』」

 そういった瞬間、アヤの手元から20を越える水の球が岩に飛んでいき、半分ほどの岩を粉々にしてしまった。

「・・・まぁ、杖を使ったらこうなるか。この杖魔力5倍にしてくれるし。」

 アヤが何気ない顔でそういったが、僕は言いたい。これ本当に初級魔法なのか?・・・そんなこんなで僕の訓練は幕を開けることになった。

次回は来週かもしれません。

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