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僕は、ここで生きていく。  作者: 沙羅時雨
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第一話:迷い人”シオン”

ずいぶん遅れましたすいません。最近学校のネットが、一回切れたんですよ。ほんとに落ち込んでしまいました。

 では、そんな話は置いといて記念すべき第一話です。

sideシオン: 

「ねぇ、シオン君。魔術やってみない?私が教えてあげるからさぁ。」

 目の前で、アヤが言った。その隣で、スリクさんも

「いいかもしれないな。ただし剣術は、俺が教えるからな。」

「えー。魔術と一緒なら私が教えるよ。」

 平然と会話をしている二人を未だ現状が理解できないまま、僕は見つめる。・・・何でこんなことになっているのかというと、それは30分くらい前に遡る。

   ・・・

 目が覚めてまず目に入ったのは、見たことの無い天井だった。どうやら地面との高さを見る限り、ベットに寝かされているらしい。

 時間は、もうお昼に近いらしく、窓から入ってくる日差しが容赦なく僕の顔を照らしている。少し身をよじって部屋を見回してみると、お客様用の部屋だからなのか僕の寝ているベットと、机、そして椅子しかなかった。

 そしてその椅子に、中学生ぐらいの女の子が座っていた。(本当は、僕は小5だから女の子じゃなくて、お姉ちゃんと言わなければいけないのかもしれないが、見ず知らずの人をお姉ちゃん呼ばわりするのは少し気が引ける。)しばらくその女の子を見ていると(見ているというか観察していたという方が正しいかもしれない。)女の子が、こちらを向いた。

「あ!気がついたんだ。大丈夫?」

「はい。・・・あのここは?」

「ここは私の家だよ。」

 僕の期待・・・と言うか望んでいる回答とは違う返答を女の子がしてくれたとき。女の子の後ろにある扉が開いて30代くらいの男の人が入ってきて女の子にあきれた口調で

「誰がこの家は誰の家ですか?ってきいたんだよ。そこの坊主がいってんのは、ここがなんていう地名か。て言うことだろうが。」

「え!?そうなの?」

 ・・・どうやらさっきの回答は、真剣に驚いているところを見るとおふざけでもなんでもなく、いたって真面目に答えたつもりだったらしい。

「お前なぁ、もう少し会話の流れを理解しろよ。・・・ここは、ラグドって言う国だ。って言っても知らないんだろうなぁ。だってお前この世界の人間じゃ無いんだろうから。」

「「え?」」

 僕と女の子は言葉を理解できず首を傾げた。

「いやいや、坊主は首を傾げる理由は大いにあるが、アヤお前が首を傾げる理由がさっきの会話のどこにあった!!」

「あるよ。私はてっきり転移魔法に失敗して、おまけに魔力の使いすぎで力尽きたただの魔術師の男の子だと思ってたんだもん。」

「じゃあ、坊主のもってたこの訳の分からないもんを見ても何も思わなかったんだな?・・・ったくほんとに観察能力の無いやつだなぁ。」

 男の人はそういって、青色の携帯電話を取り出した。・・・僕のだった。

「それ何?」

「坊主の持ってたもんだよ。こんなもん見たことあるか?」

「・・・。」

 返事をしなかったところを見ると、どうやら知らないらしい。

「ちょっとすいません。」

 僕は男の人のから携帯を貰い、画面を見た。ここが僕の知っている世界でなければ当然起こっているであろう事態をかくにんするためだ。予想どうり携帯の斜め上の画面には<圏外>字が表示されていた。無論これだけで判別するのはどうかと思うが、窓から外をのぞくと町が見えるあたりからしてもここが僕の知っている<日本>という国であれば、ここが<圏外>であることはありえない。とすると考えられる可能性は、ここが外国のどこかである。という事、もしくは僕の知らないどこか違う世界である。ということだが、前者は否定していいと思う。仮に僕が外国にいるとして、日本語がしゃべれて携帯の存在を知らない人がいるという可能性は、・・・何万分の一かの確率でかは、あるだろうがそんなことは考えずらい。それに、この二人のさっきの会話を聞く限りこの世界には魔法が存在するらしい。ということは・・・。そこまで考えて、僕は認めた。

「確かに、ここは僕の知っている世界じゃないみたいですね。」

「おっ。小さいわりに随分納得するのが速いじゃないか。もう少し慌てふためくのかと思ったぞ。」

「慌てても仕方ないでしょう。」

「それもそうだが・・・。」

 自分で言っておいてなんだが、可愛げが無いなと思う。僕ぐらいの年なら本当は、大人にどうなのか真実を聞いてあげるほうが本当はいいのだろう。分かってはいる。でも僕はそれができるほど純粋無垢な子供ではない。

「まぁいい。それが分かってるなら話が早い。お前さんみたいなやつらを俺たちは”迷い人”と言っているんだが・・・。」

 男の人はそこで口を閉ざした。そして、酷な事かもしれないが。と言って口を開いた。

「昔、聞いたことのある話では”迷い人”でもとの世界に戻れた人間はいない。という事らしいんだ。」

 ・・・なんだそんな事か。内心、僕は安堵の息を漏らしていた。てっきり異端なものと見なされてこの世界では殺されるのかと思った。それに戻れないほうがむしろ都合がいい。帰っても、のたれじぬだけだ。

「・・・この世界では何歳から働けるんですか?」

「働けるなら何歳からでも働けるが・・・。それがどうかしたのか?」

 男の人の質問には答えず僕は、さらに質問を重ねた。

「僕みたいな子ができる仕事って、どれくらいありますか?」

「・・・家政婦、執事、宿屋の仕事ぐらいのもんじゃないか?・・・まさか坊主、おまえ。」

 聞きたいことは分かっている。でも僕はそれを聞き流した。

「そうですか。では失礼します。」

「え?どこに行くの?」

 まだ状況が理解できていないらしい女の子は、首をかしげている。

「これ以上はお世話になる訳にもいかないかな。と思って。一人で暮らしていけるならそれが一番いいでしょう?」

「元の世界に変える努力はしないの?。」

「帰りたくないんです。」

 即答した。冗談じゃない戻りたいなんて、爪の先も思わない。

「どうして?家族がいるでしょう?」

「・・・。当たり前のように言いますね。家族がいて当然。とでも言うような言い方を。」

「当然じゃないの?」

 僕は苦笑を浮かべた。当然だここまで言われて、臆すること無く当然だという人がいるとは思わなかった。・・・当たり前なんかじゃない。少なくとも僕にとっては。

「考えてみてください。親がいる僕が何で倒れていたと思いますか?魔力って言うもの使いすぎ?そんなのありえませんよねぇ?僕は、そもそも魔法を知らないんだから。」

「・・・。」

 女の子は、何も答えない。僕は、さらに畳み掛けた。・・・先に言っておくが僕はそこまで人に皮肉を言うような人間ではない。普段は大人し過ぎると言われていたくらいだ。

「分からないなら言いましょうか?僕の父さんと母さんは、死んだんです。僕がここに来るほんの何日か前にね。」

「!!」

 女の子が息を呑む声が聞こえた。・・・言い過ぎただろうか?気まずさが漂っている。でも本当のことなのだから仕方が無い。父さんと母さんは、交通事故でつい先日死んだのだ。僕はベットから立ち上がった。

「それじゃあ、お世話になりました。生活が出来るようになったら、お礼のほうをしにくるので・・・!?」

 そう言いながらドアノブに手をかけたときだった。不意に一陣の風が吹き、僕をベットに押し戻した。

「・・・お父さん。」

「なんだ?」

「この家ってさぁ、確か空いてる部屋があったよねぇ?」

「有るなぁ。」

 男の人の返答を聞くや否や、女の子は僕の前に立ちはだかった。

「あなた、名前なんていうの?」

「神山、紫音。」

「そう、シオンって言うんだ。今度からシオン君って言うね。私の名前は、フィルトルット=アヤ。アヤって呼んで。それと、シオン君今日から私たちと暮らしなさい。これは、決定事項。」

「・・・な!!」

一体何を言っているんだこの人は。僕の話を聞いていなかったのだろうか?

「シオン君、今から町に行って、はいそうですか。って仕事もらえると思ってるの?」

「っう。」

 痛いところをついてきた。当然そんなこと一切考えていない。自暴自棄になっているのだから、当たり前だ。隣でアヤのお父さんが苦笑して、

「諦めろ。こいつは一度言い始めたら聞かないから素直に従ったほうがいいぞ。・・・こうなったらてこでもこいつは動かないからな。俺はスリクって言うんだ。上の名前はアヤの親だから同じだ。」

 ・・・どうやら拒否権は一切無いらしい。アヤは、勝ち誇ったえみをうかべて一言

「決まりだねシオン君。これで家族が出来たね。」

 と、満面の笑みを浮かべていったのだった。

                  ・・・

 そして今に至る。二人の話を聞いていると、どうやらアヤは、現役の冒険者で魔術師をして、(ちなみに、ここで言う冒険者とは、迷宮などに入って、宝を取ってきたり、どこかの町を荒らしたりする魔物を倒したりする仕事らしい。)王級魔術師という結構地位で(この世界では、見習い、下級、中級、上級、王級、帝級、国級となっているとか。)名前が知られているらしい。おまけに剣も使えて、上級剣士まで極めているらしい、(一般人なら中級までしかいけないと、後にスリクさんに聞いた。)

 これだけでもすごいのに、スリクさんは、現役冒険者ではないし、魔法こそ使えないが、剣術は凄腕らしく帝級剣士で、冒険者を引退したいまでも、この国ラグドの王国に出向いて城を守る騎士達に指導しているのだとか。

 そんな訳でアヤとスリクさんは、僕を冒険者にしよう。と二人で決めたらしく、(これも決定事項で、僕に拒否権は無い。)魔法はアヤが教えることになったのだが、剣術をどちらが教えるのか。と言う事で、二人はもめているらしい。何故もめているのか?と、聞いてみたところ、アヤが言うには、

「剣術は、大まかに4つに分けれるの、その中で、お父さんは冒険者の使うシャナク剣術を、私は魔術師が使うマカイ剣術を使っているの。つまり、ここでどっちに剣術を教えてもらうかによって、シオン君のこれからの冒険者人生が大きく変わってくるんだよ。」

 と言うように、とても重要な問題らしい。30分の討議の末、

「お前より、俺の方が剣術をしっかり極めてるんだから俺が教えたほうがいいだろう?」

 スリクさんの、この言葉でアヤはしぶしぶと言った感じだったが一度口を閉ざし、話題を変えた。

「まぁ、剣術の話はいいとしてシオン君の服どうするの?今デグニだし、当分寒いんじゃない?」

「デグニ?」

「この寒い季節のことだよ。付け足しておくと、この後の季節をフォレス、レクオ、イッシュって続くんだ。」

 どうやら僕たちの感覚で言うところの、春、夏、秋、冬という感じらしい。そして、今は冬と言ったところだろうか。僕のいた世界は季節は、夏だった。・・・つまり、半袖なのだ。室内なのでそこまで寒さを感じなかったが、この格好のまま外に出ていたら酷い目にあっていただろう。・・・引き止めてくれたアヤに感謝しよう。

「とりあえず買い物行こうよ。シオン君つれてさ。」

「えっ?でもこの格好じゃ寒いんだけど・・・。」

「魔法があるから大丈夫!!」

大丈夫と言われても、はいそうですか。と言えるほどもの分かりがいいわけじゃない。

「あー!!信用して無いんでしょ!!」

 僕は全力で頷いた。

「もー。」

 アヤは、不服そうに頬を膨らませて仁王立ちになり、人差し指を軽く振った。すると指が赤色の淡い光をまとった。アヤはその指で僕の額を軽く突いた。一体何が起きたのだろうか?呆然としている僕にアヤは、

「部屋から出てみると分かるよ。」

 と言って、僕を廊下に連れ出した。

「ちょっ、そんなことしたら寒い。・・・あれ?」

 寒くなかった。彼女の方を見ると、

「寒くないでしょ?」

 と、何が嬉しいのかわからなかったが、嬉しそうに笑っていた。少し子どもっぽいんだな、と、自分が子供であることを差し置いてそんなことを思いながら僕はうなずいた。・・・もしかしたら、僕も笑っていたかも知れない。

「うん。寒くない。」

 僕の反応を見て、アヤは満足そうに頷いて、

「それじゃあいこうか。お父さんアクア連れてきて。」

「お前が連れて来い。何で俺が連れてこなきゃいけないんだ。」

「むー!!私があの子に好かれてないの知ってるでしょ。」

 アヤが不服そうにスリクさんを睨んだ。

「魔法が使えるようになってすぐに冒険者になって、うちに帰ってこなかったからだろう。」

「分かってるなら言ってきてよ。またしばらくしたら私、行かなきゃ行けないんだから!」

「だからこそ一回くらい話しかけておいてやれっていてるんだろう?馬だっていても、家族なんだから。」

「うー。分かったわよ。」

 アヤはしぶしぶながら頷いて、外につながっているのであろう扉に消えていった。

「まったく。」

 スリクさんは、軽くため息をついて、

「服を着替えてくるから待っててくれ。」

 と言って、僕たちの出てきた部屋の隣の部屋に入っていった。取り残された僕は、着替えをしているスリクさんを邪魔するわけにも行かないので、アヤの後を追いかけたのだが・・・。

「ちょっと!アクア大人しくしてよ!もーなんで言うこと聞いてくれないのー!」

 ・・・悪戦苦闘していた。馬の綱をアヤは、きちんと綱を持っているんだけど、どうやら相当嫌われているらしく振り回されていた。

「あ!!ちょうどよかった。シオン君ちょっと手伝って。」

「・・・いやって言ったら?」

 出来れば関わりたくない。自ら危ないところに身を投じるほど、僕も馬鹿じゃない。しかし、次のアヤの答えでぼくは手伝わないという選択を選べなくなってしまった。

「今シオン君にかけてる呪文をとく。」

「手伝わせていただきます。いや、手伝わせてください。」

 この魔法を解かれてしまったら、おそらく氷づけにされたような思いをしなければいけなくなるだろう。そんなのはごめんだ。

「・・・で?何をしたらいいの?」

「ちょっと頭撫でてあげて。それで落ち着いてくれると思うから。」

「それって、僕の安全を配慮して言ってる?」

「してない。・・・けど私の方が危ない。」

 それはそうだけど、少しくらい僕の安全も配慮して欲しいものだ。この僕より大きい暴れアクアに蹴られるなんてごめんだ。

「早くしてー。」

「・・・あぁー、もう分かったよ。怪我したら責任とってよ!!」

「まかせとけ。」

 ・・・ぜんぜん信用が出来ない。でもそんなこと心配していても始まらないから、とりあえず頭を撫でてみた。すると、どういう理屈かは知らないけどアクアは急に大人しくなった。そのとき、ちょうど着替えが終わって部屋を出てきたスリクさんが、

「おー。こいつが他人に撫でられて大人しくなるなんて、めずらしいなー。」

「僕、そんな危ないことをしてたんですか?」

「いや、そうでもない。悪くても顔面を蹴られるだけだ。」

「・・・。」

 十分危ないじゃないか。

「普通撫でる前に止めるんじゃないんですか?」

「面白そうだから見てた。」

 当然だろと、スリクさんは満面の笑みを浮かべた。・・・急にこの人に、剣術を教えてもらうのが不安になってきた。

「まぁ、何とかなったみたいだからいいじゃないか。」

 スリクさんは、何が面白いのかくすくす笑いながら、アクアの背に飛び乗った。

「ぐずぐずしてっと、置いてくぞ。アヤお前の買い物じゃないんだからな。」

「そんな言い方しないでくれる?お父さんのほうこそ別に来なくてもいいんだよ?シオン君に魔法をかけてるのは、私なんだから。」

「お前、偉そうに言うがな、金は持ってんのか?」

「もってるよここに。・・・あれ?」

 服のポケットに得意げに手を突っ込んだがすぐに顔を曇らせた。スリクさんは、何かを知っているようで、先ほどとは違う、いたずらが成功した子供のような顔をしてアヤを見ている。その視線に気付いたアヤは、

「お父さんまた私のお金すったでしょ!!」

「だって、お前の反応がいつもワンパターンで面白いから。」

「速く返しなさい!!」

 怒りと間抜けなところを僕に見られたのが嫌だったのか、顔を真っ赤にして怒鳴るアヤだったがスリクさんは、そんなのどこ吹く風。平然とした顔で、

「まぁまぁ。そんなに怒らなくてもいいだろ。ほら。」

「全くもう。行こうシオン君。」

 アヤは、頬を膨らませてスリクさんを見た。さっきの怒ったところといい、今の子供じみたところといい喜怒哀楽が激しいというか、表情が豊かというか、年上という感じがしない。そんな僕の考えなど一切知らないアヤは、怒った顔をしたまま僕の腕を引いてアクアの上に乗せた。・・・今度は暴れなかった。アクアは、何の合図もしていないのに、そのまま町のほうへ歩き出した。(暴れ馬の癖に意外に賢いらしい。)

「ほんとに、何で私のことだけ拒絶するのかなあ?」

「日ごろの行いが悪いからじゃないか?」

「お父さんよりましだよ。」

 ・・・この親子は、静かにするということを知らないのだろうか?僕は、うんざりしながら二人を見ていたが、いい合いが治まる気配はなく、結局町につくまで続いたのだった。

いかがだったでしょうか。7月にパソコンを買う予定なのでそれまでは、投稿が遅いのはご了承頂けたらと、思います。

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