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プロローグ

　家出をした。父さんと母さんが家からいなくなっちゃたから。理由？・・・分からない。でもよく知らない人が家に入ってきて、出て行けって言ったんだ。あれ？これ、よく考えたら・・・いや考えなくてもだけど、僕、家出したんじゃなくて・・・追い出されたんだ。家には帰れないし、追い出される時に持ってたお金も二日くらい前に無くなっちゃった。もう丸一日以上何も食べてない。

　僕みたいな小学生くらいの子は、（高校生の子もだけど）夜になると警察に捕まるっていうのをほかの子を見て知ったから、今は、ビルとビルの間に隠れて街を見ている。スーパーでお菓子を買ってもらえなくて落ち込んでいる子、レストランでお母さんと楽しそうにご飯を食べている子・・・。視線に映る子供の中にほんの少し、・・・ほんの２週間前まであったであろう僕の姿は・・・ない。

おそらく、空腹のせいなのだろう。見えている景色がだんだんとぼやけてきた。「あぁ、死ぬのかな？」薄らぼんやりそんなことを考えたが、もう何か食べる物を探す気力もない。目を瞑るとすぐに急な眠気に襲われた。

・・・もう、どうにでもなれ。そう思い、おそらく死と言うものを含んだ眠気に身を任せようとした、その時、

「君、大丈夫？」

警察にでも見つかったのかそんな声が聞こえたが、もう返事も返せない。心配そうな声を子守唄に、僕は眠りに落ちていった。