-2- お天気変化
今朝は、よく晴れたな…と、パジャマ姿の芋皮は、焼きあがった焼き芋のような美味そうな顔で空を見上げ、欠伸をした。こんな天気がいい日に家の中で燻っているというのも、いかがなものか…と、芋皮は政治家の答弁のように偉そうに思った。そのときである。急にドカァ~ン! ズシィ~ン! と家の外から響くような騒音がした。ご近所迷惑もいいものだっ! と芋皮は怒れてきた。すると、妙なことに今まで晴れていた空に雲が広がり始め、瞬く間に全天を覆ったのである。嘘だろ? と芋皮は焼けた芋が冷えた、余り美味そうでない顔つきで思った。しばらくの間、その音は続き、芋皮は、ついに頭にきた。いったいなにごとだっ!? とばかりに、芋皮は窓から家の外下を垣間見た。すると、どうも工事のようで、業者が地面を掘り返しているではないか。芋皮はついに頭にきた。すると、それに合わせたかのように雨が降り出し、やがてそれは豪雨となった。すると、雨でその日の工事が中止となったのか、音は間もなくすると止まった。
「それでいいんだよ、それでっ!」
なにがそれでいいのか? 芋皮自身にも分からなかったが、ともかく芋皮は得心した。すると、雨がまた了解したかのように小降りとなり、やがて止んだ。芋皮は、すっかり腹が空いている自分に、ふと気づいた。おそらくは偶然に過ぎない自然現象に、芋皮はこういうお天気変化って、よくあるよな? と、自分を無理に得心させながら、冷えた芋を電子レンジでチン! したような火照り顔で思った。
完




