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【旧作】ノームの終わりなき道程  作者: 山鳥はむ
【第三章 幸福への道標】
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見知らぬ故郷


 ここではない、どこか遠くへ行きたかった。

 なぜ自分はここにいるのか、どうしてこんな苦しい境遇で毎日を送っているのか。

 自分が居るべき場所は、ここではないような気がする。

 いっそのこと『異界』へと消えてしまいたかった。


 ――異界。

 ……そう、ここではない別の世界。

 そこにこそ、自分の居場所があるのではないか。

 いつしかその思い込みは確信へと変わり、目指すべき目標となっていた。

 異界へと渡る、そんな大それた目標が。


 一歩一歩進んできた。嫌なことも我慢して、つらいことも我慢して。

 やるべきことをやってきた、そのはずだった。

 だというのに、研究は思うように進まず、成果を出せずに伸び悩んでいた。


 そんな中で彼がやってきたのだ。

 私がこれまで抱いてきた常識を、瞬く間に無価値なものへと貶める思想の持ち主が。


 急成長を遂げる学士達を見て、彼の教育方針が効果的なことはすぐに理解できた。

 だが、それを認めることは今までの自分の努力が、ほとんど無駄であったことを認めることになる。

 それでも、悪魔に魂を売る覚悟を決めてでも、目標を達成したいと考えるならば。


 認めなければいけないのかもしれない。

 時として危険を冒してでも、常識を打ち破って前に進むことを。

 不本意ながら――。


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