表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/30

こんなん考えたシリーズ・「クラス丸ごと転移したけど別に争う必要は無いと思う」

「はい、どーもー。私は皆大好き超かっこいい神様でーす。あ、名前はあのー、ちょっと名出しあれなんでカンベンしてくださいね! 名出し事務所NGなんで! ねっ! はい!」


学校の教室に居たら、突然変な人が入ってきてそう言い出した

教室に居た生徒達はきょとんとした顔で、その人物を見守っている

だが、その人物が言っている事はガチだと思えた

というか、「そうなのだと理解できた」


「はい、皆さんにはね。ちょっと説明が早いように私が言ってる事がガチだってわかるようになってまーす。で、ねっ! じゃあ、せつめいしていくんですけどー。皆さんはですね! ちょっと世界中の不幸をより集めてどんっ! って感じでアレするために死んでもらいましたー。世間一般では、皆さんの学校には流れ星が衝突していい感じになってまーす」


神と名乗る、というか神様がそういって指を鳴らすと、教室に備え付けのテレビが独りでについた

写っているのは、自分たちの学校、が、真っ二つになっているところだ


「皆さんはそんな感じでね、まあイロイロフクザツなアレはあるんですが、人間に説明してもなんのこっちゃわからんと思うのでぶっ飛ばしますけれどね、しんじゃいましたー。ここまでで質問あるひとー?」


神が挙手を求めるが、神的な力で完全に事実だと理解させられている彼等に疑問があるはずも無い


「というわけでね、東京という日本の首都の学校が破壊されて、ガチ洒落にならない人数が死んだわけなんですけども。それによってね、世界中の不幸が良い感じにあれしますので。皆さんは尊い犠牲って感じにあれします。まあ、だからね! あのー、サービスってことで! 皆さんにはね、能力を持ってもらって異世界に行ってもらいまーす。まあ、それも含めてね! 実はあのー、他の世界の神様に君たちを提供する事も含めてちょっと、良い感じに不幸ポイント肩代わりしてもらう感じで手を打ってもらってるんですけどね。いやー、もうまっじ、現代地球の人類超罪だらけ! ソドムとゴモラの比じゃないよね!」


「あのー」


テンション上げ上げで喋り続ける神様に、生徒の一人が手を上げた


「はい、そこのきっみ! 質問あるの? なになに?」


「あのー、学校が潰れて、すごく沢山死ぬから、いいかんじ? になるんですよね?」


「そうそう!」


「でもあの、なんつーか。沢山死んだ、っていうのはその、まちがいじゃねぇーのかなぁーって」


「はっはっは! ここは東京の学校だよ? 超沢山生徒居る あれ?」


教室の中は、閑散としたものだった

死んだ生徒と教師全員がこの場に居るはずなのだが、実際に居るのは生徒数人だけだ

正確には生徒六人


「え、なにこれ。ここ東京だよね?」


「あのー。東京ではありますけど。うちの高校ってその…」


「高校って言うか。離島の学校なんで…」


全校生徒六人の学校

いくつかの離島から生徒が集まり高校としての体をかろうじて成している学校だ

というか、来月廃校が決まっていた


「うっそ。え、これ全校生徒? え、っていうか、東京の高校…まじかー!!」


神は頭を抱えた

日本の神様は割りとうっかりミスが多い

神話を読み解くとこの程度のうっかりはかわいいものだと分かるはずだ


「うっそー! じゃあ、あれなの!? 能力を授けて異世界に行って貰うんだけどさ! これから! みんなに一つ能力を上げるんだけどさ! 他の生徒殺すと奪えるのよ! 能力! ちょっと殺したい生徒とかいない!?」


六人は完全に冷め切った顔をしていた

復讐とかそういうのでクラスメイトを殺すとか論外だ

人数が少ないうえに、幼馴染である彼等はとてつもなく仲が良い

環境が環境だけに、絆も強い

神もあわてて調べて状況に気が付いたのか、絶望的な顔をしている


「まじかー! 殺し合いとか血みどろな感じでやって、ちーとはーれむだぁー! とかいってるヤツをさげすんで楽しむってアッチの世界の神たのしみにしてたのになぁー!」


「ロクなもんじゃないですねその神…」


「世界に干渉力が弱いから、超そういうの見てすっきりしたいみたいでさぁー! どーしよぉー!」


頭を抱える神に、最年長と思しき生徒が囁く


「知らなかった事にしちゃえばいいんじゃありませんか」


「へ?」


「気が付かなかったことにして送っちゃえば良いんじゃありませんか。どうせぼく等生き返れないんでしょうし。ささっと強い能力つけて、ぜぇーんぶ取引を終えてから気が付いた振りしちゃえば良いんじゃありませんか」


さりげなく強い能力をつけて、とか言っている辺り策士である

神はしばらく考えた後、教卓に何枚かのプリントを並べた

そして、生徒達に手招きをする


「えーと、これが今回の目玉のスキルで努力ってやつで、効果は努力只管に努力が出来るようになるってやつなんだけど、向こうの世界人間の限界がすげぇーたっかいから、最終的に最強になれるって奴でね? まあ、一見最弱なんだけど実は強いってヤツなのよ。っつっても途中で「強奪」ってスキルを体得して他の連中のスキルを奪ったら、って条件付なんだけど」


「その時点でぼく等にはいりませんよ。ぼくこの植物操作っていうのがいいなぁ」


「おっけー。他の君等は?」


「あたしこれが良い。魔法剣士」


「魔法剣を自在に操れるってやつだね。低級の武器なら、炎や氷で自分で作ることも出来るし、近距離遠距離もいける。でも身体能力が無いと…」


「うちは漁師の家系ですから」


「なにそれ謎の説得力」


そんな感じで、六人はそれぞれに能力を取得した




この後、神はなんやかんやうやむやにして、良い感じに異世界の神に色々押し付け、六人を異世界へと送った

異世界の神が予定との差異に気が付いたときには、後の祭り

異世界の神は地団太を踏んだが、その神は基本的に自分の世界を見下ろすことしか出来ない

一応ある程度干渉は出来るが、その影響は雀の涙だ

異世界の神は結局六人から興味を失い、新しい取引相手を探してアチコチの世界の神に連絡をとるのだった




「くそっ! なんなんだよこの世界はっ! なんで俺ばっかりこんな目にっ! お前だってそう思ってるんだろ!? なのになんで俺を殺そうとするんだよっ!」


「先に攻撃してきたのはお前だ。今更命乞いするなよ。死ね!」


「うわぁあああああ!」


「ちょっとあんたたちなに遊んでんのよ! んなことしてないで木の実拾いなさいよボケッ!!」


「「はーい」」


教室転移定番展開ごっこをしていた男子二人は、女子に凄まれて大人しく仕事にもどった

異世界に転移してそうそう、六人はお腹が空いていたので食料を集めることにしていた

実は給食直前で、先生はじゃんけんに負けて配膳室に給食をとりに行っていたのだ

この中に生徒しか居ないのは、そのためだ


「っていうか、この後どうするのよ」


「とりあえず人里目指すでしょ。言葉は神様にサービスで分かるようにしてもらったし」


「この世界の言葉全て分かるんだって。それだけで食っていける感はんぱねぇよな」


「人里行ってどーするの?」


「お前らホントなんもきいてねぇな。冒険者になれとか狩人になれとか、色々言ってただろ! 神様!」


「あたし、モンスター殺すの楽しみで全然きいてなかったわ」


「わたしもぉー!」


「だよねぇー!」


「なにもう、この人たち怖い」


「諦めろ。うちの女衆はそんなだ」


「まあ、さいあくぼく等がもらった能力だけで、森でもどこでも暮らせるでしょ」


「それもそうだな。そのために能力選んだんだし」


「贅沢いうなら、離島にいきたいねぇ」


「なにそれ。男子そんなこと考えて能力とってたの?」


「キモイ。戦闘力を考えなさいよね」


「なに、うちの島ってアマゾネスの島だったの?」


「なにそれこわい」


こうして、男子三人、女子三人のクラスごと転移in異世界生活ははじまったのであった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ