7/15
第七話
気が付いたら、何か体が自分のもんじゃないみたいだった。
力、入らねー。
動かない。
駄目だ。
何 これ。
「…ず…し……?」
誰。
何 怖い。
「和俊…?和俊、…ッ和俊!?」
何回も呼ばなくても聞こえてるって…ああ、母さんだ。
あれ…?父さんもいる。
あ、視界がぼやけ…。
ああ、誰だ?もう一人…ん?二人?
ボーっとしてる。
痛い!頭…腕も、足も…全部痛い!!
「三村和俊くん?分かるかな?」
だれ…知らねー声…。
白い。
ああ…医者?
看護士もいる。
何だこの緑っぽい部屋。
「…。」
体中に、何かついてる。
気持ち悪い。重い。
取って なに 嫌だ。
「和俊!良かった…分かるのね!?ねぇ!」
「和俊…!」
母さん 父さん。
おれ 俺…。
ああ、事故ったん…だっけ…。
運わりー。
…、…違う か。
バカだ、俺。偶然事故にあったわけじゃねーよな。
今まで 偶然 事故にあわなかっただけなんだ。
いつ死んだっておかしくなかったのかな。
そう思うとちょっと ゾッとするけど。
あの日 お前を想いながら 海に気を取られて。
死ぬと思った瞬間に それでもやっぱりお前を想えたこと。
名誉だって言ったら 怒るかな。