第六話
「じゃあな、来週の日曜日、バイクで迎えに来るから。」
いつも通りの、デートの帰り。
やっぱり指輪は渡さなかった。まだ鞄の中。
なんか特別な雰囲気がほしーよなぁー、うん。
「どこいくの?」
「まぁまぁ、行ってのお楽しみー。」
「なにそれー。」
って、ごめん。
まだ決めてない。
別にどこでもいいんだけどー、やっぱり一周年記念も込めて?…なーんて。
「またな。」
いつもみたいに、それだけ言って別れる。
名残惜しむでもなく、手を振るでもなく。
いつも通りの 終り。
思ってなかった このときは。
もう会えないかもしれないって、一瞬でも考えてたら、もっと特別な別れ方も出来たかなぁ。
…あぁ、もう、信号が長い。
いつも通りのその帰り道を、いつも通りバイクで帰る。
信号を待ちながら辺りを見渡した。
あ、ここ、前に耕介と裕弥と海行ったときに通ったなー。
あん時はー裕弥が落ち込んでてー、励ますために…。
あり?裕弥何で落ち込んでたんだっけ?
…まぁいっかぁ、ナイーブだしな、あいつ。色々あんだ、うん。
つーか励ますために行ったのに結局俺が一番はしゃいじゃったんだっけ?
そーいえば耕介が怒ってたよーな。
ぷっ、懐かしー。
…ん?うみ?
…海!!そーだよ海じゃん!海海!!雰囲気と言ったら海だよな!おお!!
俺って天才?
そーだ下見しとくか?確か右折だ、ここ。
信号が青に変わる。
とっさに決めた右折。
対向車がいなくなって、走り出す。
トラックの陰。
スピードに乗った乗用車。
……右直事故っ!
「ッ!!」
キィイイイイイッ
痛くて痛くて 薄れていく意識の中、なぁ?
死ぬかって思った瞬間 お前だけが俺の視界を占拠してた。
おかしいよな。




