第四話
「ヒーローとか好きなの?」
俺の前には映画のパンフレット。香澄は本を読んでる。
パンフレットのキャッチフレーズを心の中で読んだ。
『世界中が絶望の声に溢れていても 君のためだけに戦い続ける』
…だって。笑える。
ヒーローって世界中のために戦うんだと思ってたけど、違うんだ?
「んー、嫌いじゃないよ。」
映画みよう!って話から、ヒーローの話になった。
なんか反応してたから。
「意外!ヒーローとか王子様とか大ッ好きなんだ!」
「そこまで言ってないよ!」
あはは!意外すぎて笑える!
だって冷めてるしー。
そんなん苦手そうなのに、嫌いじゃないって!嫌いじゃないって!
でも俺は、お前が望むなら何にだってなれるんじゃねーかと思った。
だから。
「じゃあ俺は、ヒーローになる。」
だから、嘘じゃねーよ?
ほんとにほんとに、やっぱりみっともないところなんて見せたくないって思ったんだ。
俺はお前にとって、いつでもかっこいいヒーローでいたい。
なんて、どっかのベタな恋愛映画みたいだな。
本気で恋したら、こんなバカみたいなこと思うんだって知った。
何か笑えるなあ。
俺ってこんなのかっこわるいと思ってたから。
なぁ?
どこにでもある、こんなありふれた愛情だけど。
いつでも笑ってるよ。
いつでも笑っててよ。