第十一話
裕弥は何でだって聞いた。
苦しいなら苦しいって。
生きたいなら生きたいって 言えばいいのにって?
裕弥はまだ、この気持ちが分んないだろーな。
誰かを愛するって 多分こう言うこと。
何かしてやりたいって思うこと。
香澄 いつだって俺は。
お前のヒーローでいたかったんだ。
「本音なんて、あいつには……愛してるから、言ってやらない。」
だから ごめんな。
言えねぇわ、本音なんて。
苦しいなんて。
生きたい なんて。
一緒にいたい なんてさぁ。
「…。」
裕弥、お前はまだ分んないかなぁ。
難しいよな。
俺だって知らなかったよ。
香澄に会うまで こんな気持ちさ。
「…俺らには?」
死ぬときにまで、お前の前ではカッコ良くありたいなんて、貪欲だったかな?
「、じゃあ…俺らには?」
きっと、二人なら。
どんな酷い顔を見せたって、思い出してくれるだろうって。
ずっと一緒に笑ってたこととか。
「お前らは…大好きだから………言っても…い?」
大好きだから 二人には、本音さえ全てブツケテ泣いた。
生きたい。
死にたくない。
怖い。
もっと一緒にいたい。
会いたい。
いやだ。
情けないな。
これがヒーローだってゆう俺の、本音だよ、香澄。
お前の笑った顔。
仏頂面も 泣いた顔も。
照れてるのも怒ってるのも、悲しんでたり怖がってたり。
もう二度と見られないかな。
もう一度見たかったな。
こんな気持ちが恋なんだって 出会って初めて知ったんだ。
耕介。
俺が気付いてないとでも思ってる?
言わないけど、頼むな、香澄のこと。
悔しいから言わないけどな!