魔王さんたちの報告会と世界の異変
―魔王―
紅茶を少しすする。
あ、どうも私は8代目魔王だ。
一人称は私だが、れっきとした男だぞ?
さて、まあ今日はめんどくさい…じゃなくて大切な予定、四天王を集めて報告会をするはずなのだが・・・。
「なあ、”岩の四天王”カグヤよなぜほかの四天王が来ないのか聞いているか?」
私は今現在出席している獣人系の亜人、妖狐の少女に話しかけた。
見た目は子供のように見えるが実際は一代目魔王の時から魔王の補佐をやっていた人だ。
「うむ、うちも聞いとらん」
「・・・」
「・・・」
「のう、魔王様、前の時の話考え直してくれんのじゃろうか?」
「前々から言っているだろ、私はマリア一筋だ。」
私は私の妻の天使の顔を思い出す。
彼女は三女を生んでそのままいなくなってしまった。
一体お前はどこにいるんだマリア…
「・・・」
「・・・」
「来ないな…」
「暇じゃのお…」
「菓子でも作るか…」
二時間後・・・
やっとのことで四天王が全員集まり報告会が始められる状況になったがその前に…
「一応聞くがなぜ遅れたか聞こうか?集合は二時間前だぞ!!」
割烹着姿の私が言うのもなんだがあまりにも遅すぎる!
「すまない、子供たちに勉強を教えていた」
リザード族のサラマンダーの亜人の女性”氷の四天王”ブレイズは言う。
サラマンダー族は大概武力だけがすべてなのだがこいつは冷静さと知識などがすぐれているうえに氷魔法が魔王軍でトップクラスなため、到底サラマンダーとは思えない女性だ。
「…まあ、お前は仕方がないだろう、次!」
「私は化粧をしていました」
そう言ったのはラミア族の女性”炎の四天王”ミーアだった。
いつも化粧が濃いのに今日は一段濃い!!
「化粧なんて線でもいいだろ!しかも今日は一段とけばい!次!!」
「俺は十時のおやつを食っていた」
そう言ったのは、ワンホールケーキをトースト感覚で食べているオーガ族の赤鬼の大男”風の四天王”セルクだった。
「そんなもん後でいいだろ!というかまだ食うのか!」
なんでこいつらこんなに自由なんだ…
「で、何だったけ?そうだ、報告会だ!報告会!そんじゃまずブレイズから!」
「はい、現在の進行状況はヒューマンに奪われていたすべての首都の奪還に成功、およびヒューマンの侵攻軍13件の壊滅完了です。あの、魔王様」
「ん?なんだ?」
「ヒューマンたちの国を占拠するために出兵してはいけませんか?」
「いかん!そんなことをしたら戦争が長引くだけだ!」
「了解しました」
「次はうちじゃが、食糧問題のほうはやはり悪いほうに進んでおる、最近ずっと不作ばかりじゃ。じゃが首都のほうの作物が取れるようになったからもうちょいましになるじゃろう」
「つぎはわたしですわね、魔族と亜人の統合もいまいち進んでいません、どうしても世界の果てに行くほど強力的じゃありませんわね」
「次は俺だが、国の復旧状態的には大たいの民家はたて終わり、あとは水道の整備だけになった」
「…いつも食ってばかりのお前にしてはよくやったな」
「当然だ、食いながらならずっと仕事をしていても大丈夫だ」
いつもそうすればいいのにと思ったのは私だけか?
「次は魔王様ですが、あの蜘蛛について何かわかりましたか?」
「ああ、あいつらは古代獣”黒蜘蛛”だ」
「黒蜘蛛?名前とかわからないんですか?」
「いや、黒蜘蛛が名前だ」
「黒蜘蛛・・・あ奴らか」
お、さすが最古の四天王知っているのか。
だが、そんな黒蜘蛛はどうでもいい、それよりももっとやばいことが起こった。
「ああ…それでこっちは言いにくいんだが…」
「勇者が五人も現れたらしい」
「「「!?」」」
「まあ、これは世界の果てのほうで娘が聞き出した話らしいから、真偽は分からん。だがそこそこ大きい魔力を六つ突然感じた。」
まあ一つは突然消えたがな。
「それはかなりまずいのでは?確か歴代の四天王が殺されたのですよね、このままじゃ、われらはかなり危ういのでは?」
「ふ、ふ、ふ、そんなこともあるろうかと、打開策を考えてある!」
私は木箱をテーブルの上に置く。
「質素な箱じゃのう…」
「気にするな!で、中身は…」
パカリ!
「こ、これは!」
おお、さすがカグヤこれがわかるのか?
「なんと貧相な指輪じゃ」
「そこじゃなーい!!」
まあ確かにぱっとみたら、指輪に小さな宝石埋め込まれているだけにしか見えないが・・・
「冗談じゃ、にしてもよおこいつを作りおったのお確かこの宝石を作る代償は魂だったはずじゃが・・・まさか魔王、お主…」
そう、今までだったらこれを作るのに何百人の命を使った。しかしこれは・・・
「聞いて驚くがよい!これは魔族や亜人の命を使ったのではなくゴキブリアス百万二千匹分の命で作った!」
「なんと!そんな方法があったか!」
「それだけではない、指輪の裏を見よ!」
カグヤは指輪の裏を見てすぐに納得した。
「なるほどのお、だから質素な素材で作りおったのか」
「そうだ、これがあれば女神も…」
「「く、く、く、く、く!」」
「あの、魔王様話についていけないのですが・・・」
「ああ、これはりょうさんできしだいはっぴょうす・・・・!?」
―――――
突然大きな魔力を感じ始めた。
その魔力は次第に大きくなっていく。
「な!なんじゃこれは!?」
魔力感知をずっと使い続けている私たちでも初めて感じる量の尋常じゃない魔力、しかもまだ魔力は上がり続けている!
こ、これ以上はやばい!早く解除せねば!
―――――!!
魔力が一気に上がった。
「っやばいこれ以上は!」
私は頭が割れそうに痛い中、意識を集中させる。
「ヤヨノクヲオソカクチラシダシチルカヲセ!」
魔法が発動し、魔力が収まった。
「ふう・・・」
ドサ!
何かが倒れた音がして振り向くとミーアが倒れていた。
どうやら魔力に耐えきれなかったようだ。ということは・・・
「ルピシア!いるか!」
私はメイド長の名を呼んだ。
しかし返事がない。
「カグヤ!ブレイズ!セルク!動けるか!?」
「うむ、何とかじゃが…」
「はい、何とか…」
「ぐぉ~…」ZZZ
「って寝とる場合か!!」
私はセルクの頭を殴る。
ガン・・・
「っつー・・・」
こいつなんつー石頭だ、殴った私の手のほうが痛い。
「ふが・・・なんだ魔王?」
「緊急事態だ緊急事態!各地の医療部隊に連絡を取り意識不明者の救助に向かえ!私も城内が終わり次第すぐ行く!」
「了解じゃ!」
「承知」
「それでは行ってこよう」
三人は急いで城を出ていく。
私はミーアを抱え上げると医務室へと向かった。
医務室では何人もの魔族や亜人たちが運び込まれていた。
まあ兵士になる条件として感知魔法及び感知能力があるものという規定があるせいなのだが・・・
「魔王様、医務室と医療室では全員入りきりません!」
「大会議所の使用を許可する!足らなければ小会議所を使え!」
「魔王様!運び手が足りません!」
「一時的にゴーレムの使用を許可する!」
「魔王様、シーツとベッドが足りません!」
「非常用セットを使え!足らなければ宿舎からもってこい!」
「魔王様~お腹すきました…」
「知るか!勝手に食堂に行って来い!」
くそ、ここまで大惨事になるとは…神よ、お前は一体何を呼び出したのだ?
書き終わって思ったんだけど、今回主人公全く出てない…