僕らの夏祭りの夜
ゲームセンターでアーケードゲーム機待ちしているときに頑張って完成させました
まあいろいろとありましたが何とか夏祭りの会場につきました。
まさか用意に三時間もかかるとは…。
当然だけれどちゃんとまともなやつに着替えてきましたよ?
瑠璃色がメインの記事に紫陽花模様の女性用浴衣、あとは旅と下駄をはいて巾着袋を下げれば完成。
うん、完全に女装だね!
「ふわー…ヒューマンがいっぱいです…」
キュリテは不思議なものを見るような目でお祭りの人込みを見回す。
ちなみにエールには師匠と一緒にお祭りを回らせている。
エールと一緒にお祭りを回るとすごくお金を削られてしまいそうだったからだ。
だってあの子、どこに入るの?と聞きたくなるくらい食べるんだよね…。
「お祭りってのはこんな感じだと思うんだけど?」
「はぁ、そもそもお祭りって私の世界ではないんでよくわかりません」
へぇ、イニノアではお祭りがないのか、これは意外だ。
「まあ、お祭りによって少しずつ内容は違ってくるけど、このお祭りは新しい季節を祝い、前の季節にあったことを神様に伝えるお祭りかな?」
「神に・・・伝える?そんな事出来るんですか?」
「さあ?」
そういえば神といえばあの二人(?)の神様は何神なのだろう?
名前からすれば多分月神だと思うんだけど・・・
「お兄ちゃん、あれなんですか?」
キュリテが指を指したのは綿あめだ。
「これは、綿あめ、甘いお菓子だよ」
綿あめは三つの大きさで値段に分かれて売られていた。
僕はいちばん小さいピンク色の綿あめを買う。
多分いくつか買うだろうからこの大きさを選んだ。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
キュリテはハムハムと綿あめを食べ始めた。
「ふぁ~、甘くてふわふわしてます~♪あ!あれはなんですか?」
次にキュリテが目をつけたのはヨーヨー釣りだ。
「あれはヨーヨー釣りっていうのだけど…やってみる?」
「はい!」
「すみませーんヨーヨー釣り一回で」
「はーい・・・あ!」
「あ・・・」
「朝倉君じゃない!久しぶり!」
屋台で店番をしていたのは中学の時の保健の先生だった。
中学の時はよく姉を保健室に引き取りに行っていたのですっかり覚えられてしまっていた。
確かこの人はこの祭りの取締役の神社の跡取りだったような気がしたけどなんでここにいるんだろ?
「お久しぶりです先生、お元気そうで」
先生から水風船を釣る金具をもらうとキュリテに渡した。
「その子はどこの子なの?」
先生は頑張ってヨーヨーを釣ろうとしているキュリテをさして言う。
「その子はえっと・・・師匠の親戚の子供?」
「あーなるほど、ところでさ朝倉君、十時からって大丈夫?」
「えっと大丈夫だと思いますけど…」
「そう、ならあれ頼めない?」
先生は足につけている包帯を僕に見せる。
あ、なるほどだからここにいるのか。
「はい、わかりました。終わり次第行きます」
僕とキュリテは一通り夜店を回り終わり神社にあるベンチ(石でできた)に座って二人を待っていた。
ここが山の近くにある神社ということもあり、街灯が少ないため空を見上げるとプラネタリウムのような星空が空に広がっている。
「はふはふはぐはぐ・・・」
横を見るとキュリテはアツアツのたこ焼きをがんばって食べている。
「遅いな師匠…」
「ニャー」
「・・・」
「「ニャーオ」」
「「・・・」」
「「「「ニャーオ」」」」
「あの、何かかわいいのが集まってきてるんですけど・・・」
「「「「「「ニャーオ!」」」」」」
数えてみると猫は三十匹くらい猫が集まっていた。
膝の上に一匹猫が乗っかってきた
「ゴロゴロゴロ」
撫でてあげると喉を鳴らす。
しばらく猫たちと遊んでいると師匠たちがやっとやってきた。
「やあ、おまたせ」
「・・・」
「「「「「「「フ―!!」」」」」」」
師匠が来ると猫たちは一斉に威嚇し始めた。
「えー!?なんで私が来たらこんなに威嚇されるの!?」
「いつものことでしょ?」
ヒュードォォン!!
「ふぇ!?」
「!?」
「お、始まった始まった」
真っ暗な星空に大きな光の花が咲いた。
光の花はどんどん咲き乱れていく。
「きれー・・・」
「・・・」
どうやら二人も気に入ったようだ。
花火を見れるのがこれで最後だと思うとなんだかさみしい気がするな・・・
「たーまやー!」
「かーぎやー!」
「「「「「「「ミャーオ!!」」」」」」」
ヒュゥードォォン!!
光の花がいくつもいくつも咲き乱れていく。
光の花の種は一瞬で大きな花を咲かし、一瞬で散って行ってしまう。
でもその一瞬一瞬でとても美しく咲き、美しく散っていく。
「ねえ、ひろみ」
「なんですか、師匠」
「去年もこうしてみんなで花火見たよね」
「ですね」
確かに去年おねえちゃんと妹と師匠と先生とでここにきて花火を見たのを覚えている。
「また一緒に花火見に来ようね」
「私は何百年でもヒロミを待つからさ」
そう言った師匠の横顔と声はとても寂しそうだった。
師匠がこんな表情を見せるのは初めてだ。
反則ですよ師匠・・・これじゃああなたに最後の別れの挨拶いえないじゃないですか
ヒュードドドドドーン!!
今年最後の、そしておそらく師匠とみる最後になると思う光の大輪花の花束が空を埋め尽くした。
-オプスキュリテ-
空を照らす火の光を見終わって私たちは何かの舞台の前に座っていた。
それにしてもさっきのは綺麗でした。
あれは光の魔法に見えたけど、確かここは魔法がないってお兄ちゃんが言っていた。
ということはあれはどうやって光を出していたんだろう…。
「おばあちゃん、これから何があるんですか?」
「これから神にささげるダンスがあるんだよ」
「ダンスですか?」
「そうダンス」
さっきからお兄ちゃんの姿が見えないけどそれも関係あるのかな?
♪~
どこからか笛の音が鳴りだし舞台に明かりがついて舞台の上に赤と白の色の服を着た人が出てきた。
あれってお兄ちゃんじゃ…
「お、そろそろ始まるね」
笛の音が一度止まるとお兄ちゃんが何かを片手で広げる。
それに合わせてさっきとは別の音楽が鳴りだし、お兄ちゃんはダンスを始めた。
そのダンスはゆっくりで静かでダンスというよりも何かの儀式のようにも見えた。
でも一個一個の動きはとてもきれいに見える。
――――
一瞬神社のほうに何か大きな魔力のようなものを感じて振り向いたけどすぐに消えてしまった。
今のは一体なんだろう?
「どうかしたのかい?」
「い、いえ、特に何でもないです…」
「?」
こうして私のナツマツリの夜は終わった。
―広海―
朝六時、転移能力回復まで残り一時間、僕はシャワーを浴びていた。
こっちでゆっくりとお風呂に入れるのは最後かもしれないからだ。
がらがら・・・
「おう朝倉広海、はい・・・・」
「・・・」
「ぐほ!」ブフ!
スサノオさんは鼻血を噴いて倒れた。
…またこの展開ですか。
「いやーわりいわりい、まさかシャワー中とは思ってなくてな」
僕はシャワーを浴び終わり髪を乾かしながらスサノオさんに向き合っていた。
「というか男の裸を見て鼻血を出すってあなたは変態ですか?馬鹿ですか?」
「っ違う!俺は妹以外は好きにならん!!」
「なるほどシスコンですか」
「ぐ…改めて言われるときつい…」
ワーオ見た目によらずすごく打たれ弱い
「ところで結果出ましたか?」
「そうそうそれを言いに来たんだ」
スサノオさんはポケットからポケットゲーム機のようなものを出す。
「まあ能力的に破壊、空間作成能力、回復能力だが詳しくは分からないらしい。」
「らしいって…」
「仕方ねえだろ!レアケースが二つも出るなんてあんまねえんだからよ!」
スサノオさんはポリポリと頭をかく。
「まあ上から聞いてんのはこんなとこだ。あとは何かあったらメールするわ」
そういってスサノオさんは窓から外に出ていこうと…て
「ギャーーー!!」バリバリバリ!
「・・・」
学習能力ないですね…
外でハンモックを張ってスサノオさんを寝かせると二人を起こしに行った。
―???―
「行ったか」
3つの魂が消えるのを感じ空を見上げた。
「これを見ているとお前がこっちに来た時のことを思い出す。そこにいるんだろ?イリス」
木の後ろからイリスが姿を現す。
「そうだね、それにしてもまさか本当にあの子が神おろしに成功してしまうとはね」
「ああそうだな、お前の弟子ということでずっと見ていたがまさかここまで成長するとは」
「ふふふ、あの子には私の知っているすべてを教えたからね、たぶん天魔の力がなくてもドラゴンと一騎打ちになっても帰ってこれるよ」
「魔法の世界で魔法を使えないのに最強と呼ばれたお前の弟子だからな」
「ええ、ところで明日は何の日かわかってるよね」
「ああ、忘れることはない、明日はお前と人間として式を挙げてからちょうど100年目だからなまだ贈り物を用意できてないが・・・」
「ううん、別にいいよ」
「今度こそあなたのすべてをもらうから」
「のわ!?」
突然イリスに地面にたたきつけられ、イリスが上からのしかかる。
「っつー…いきなり何をするんだお前は」
「そろそろ月夜見との子供がほしくてね!」
ビリビリビリ!
イリスはおもいっきり俺の服を破く。
「ま、待ておま、んぐ!?」
俺はそのまま唇を唇でふさがれた。
さて次から異世界のほうに戻ります。
それではゴールデンウィークの宿題やってきます…