夏祭りにいこう
― 広海 ―
「そう言えばヒロミ、今日はこっちにいるんだよね?」
食べ終わった食器をかたずけ手いる途中回覧板を見ていた師匠は回覧板の中で何かを見つけたらしく突然話しかけてきた。
「はい、今日一日はずっとこっちにいますけど?」
「なら、最後の思い出づくりにこれ行こうよ!」
そういって回覧板の中の一枚のチラシを見せてくる。
それは今夜神社の近くで行われるお祭りのチラシだった。
「それいいですね、行きましょう。ですが、先にこの流しの中のものどうにかしましょうか」
僕はカップめんのごみが山積みになった流しをちらっと見る。
一体いつからほおっておいたのやら…
「えー、別にいいじゃん」
「何子供みたいなこと言ってるんですか?しまいには怒りますよ?」
僕は少し殺気を載せて言葉を発した。
「はい、わかりました、ごめんなさい」
師匠は一度土下座してから作業に取り掛かり始めた。
僕はそれを手伝い早く終わり、祭りに早く行けるようにとてきぱきと作業をした。
30分後・・・
「ふはー・・・やっとおわった・・・」
師匠はぐでーんと机に突っ伏していた。
僕はカップラーメンのごみをすべてゴミ袋に入れ終わる。
「師匠、浴衣ってどこにしまってあります?」
「あーそこの箪笥の三段目に全部入ってる…」
師匠が一つの箪笥を指さす。
僕はその中から子供用の着物を二着と男性用の着物一着を取り出した。
「キュリテ、エール、こっちにおいで」
「はい」「…」コクリ
僕は隣の部屋に行き二人にゴスロリを脱がせて着物の着付けをしてあげる。
浴衣の着付けの仕方は師匠からしっかりと教わっていたので案外早くできた。
最後にお花の髪飾りをつけてっと…
「はい、できたよ」
僕は二人を師匠のいる部屋に行かすと今度は自分の着替えを始めた。
この浴衣は師匠の夫の浴衣らしいのだが、実際にその人にあったことは一度もない。
少しサイズが大きくてぶかぶかだけれど大丈夫だろう。
「師匠、着替え終わりました」
「はーい」
師匠は部屋の仕切りを開き、僕をじっくりとみる。
もしかして何か間違ったかな?
「ねえ、二人とも」
師匠は二人を隣の部屋から呼んだ。
「ちょっとヒロミ見てどう思う?」
キュリテとエールもじっくりと僕を観察する。
「な、何?」
「えっと…お兄ちゃん、それまったく似合ってないです」
「変」
え、えー・・・?
「うんうん、やっぱりそう思うか」
「それじゃあお着替えタイムだね♪」
師匠は僕に足払いをすると服を脱がしていく。
「えっちょ、ちょっと!?」
「桃髪の子、そこの服とって」
「・・・」こく
「さーヒロミ、もう逃げられないよ!」
いーにゃー!!
えっと・・・無理やり女性用の浴衣に着替えさせられたのだけど・・・
「あの、これ少し裾短すぎません?・・・」
この浴衣のすその長さが異常に短くて太ももの半分のところまでしかなかった。
あと、なぜか後ろには狐っぽい尻尾がついている。
これって多分コスプレに部類されるものですよね?
「えー、でも似合ってるよ?」パシャパシャ!
師匠はいろんな角度から写真をたくさん取る。
「うーん…あとは下着さえ女物なら完璧なんだけど…」
「・・・」じー・・・
エールはじっとこっちを見つめてくる。
「な、なに?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」スッ!
「え?」
今さっきまで師匠の横にいたエールがものすごいスピードで僕の横を通り抜ける。
それと同時に裾がめくりあがり、裾の中がスース―と・・・
「ふにゃぁぁーー!?」
僕はとっさに裾を抑えた。
ぶふぅ!
「な、ナイスだよ、桃髪の子…」
師匠は鼻血を出しながら僕の後ろにいるエールをほめる。
エールから下着を受け取ると突然その下着を破り捨てた。
「え!?」
「ふっふっふっ、これでもうヒロミはこのパンツははけまい!さあ私が出してきた中から選びたまえ!!」
そういって師匠は三つの下着を箪笥から出す。
ひらり・・・
一つは真っ黒でレースがついた派手なやつ、
二つ目は横で紐をくくる紫色のやつ
三つ目は布の面積が4.5×4.5インチくらいの下着と呼んでいいのかわからないやつ…
どれ選んでもダメなような気しかしないんですけど・・・(特に最後のやつは問題外)
「さあ、選ぶんだヒロミ!」
「・・・」
なんだろ、このどれを選んでもアウトな選択軸…
まあ一番ましなので一番目のかな?
横目でキュリテのほうを見ると何か白い物を持っていた。あ、あれは!
「決まったかい、ヒロミ?」
「ええ、決まりました。キュリテが今持っているやつでお願いします。」
「え!?」
「ふにゃ?」
キュリテはさっき師匠が下着を出す時に一緒に出てきた肉球マークがついてる下着を持っていた。
「ま、まってヒロミあれは選択肢には…」
「師匠、あなたは「私が出してきた中から」といいましたよね?」
「う・・・」
ちゃんと条件は満たしてますよ師匠?
「キュリテ、それかして」
「は、はい」
キュリテはちゃんと僕のいうことを聞いて下着を持ってきてくれる。
本当にこの子はいい子だな。
「させるか!行け、桃髪の子!」
「・・・」コクリ スッ!
エールはキュリテから下着を奪い、折鶴を折って下着の代わりにキュリテに持たせ僕のすそをめくりあげて元の場所に戻る。その時間わずか0.01秒!
エール、君は黄色い触手先生二世になれるよ。
「あ、あれ??」
キュリテにはさっきの工程が見えなかったようだ。
となると「突然下着が折鶴になった」ように見えていただろう。
「よくやった、桃髪の子!」
これはちょっととふざけすぎだね、
「エール、師匠♪」
「ん?なんだい、こっちの三つのパンツのどれかをはく気になったかい?」
「おふざけはそこまでです、死にたくなければそこで正座。」
僕は包丁を手に取ると横にあった机に切り付け真っ二つにした。
「これから楽しい楽しいお説教ですよ♪」
顔はにっこり満面の笑顔で殺気だけはフルで上乗せ。
今なら小動物位なら殺気だけで殺せそうだね♪
「わかったら返事♪」
「ハ、ハイゴメンナサイ・・・」
「・・・」ガタガタ
2人は震えながら正座し、お説教は一時間以上続いた。
後で机の弁償しなくちゃな…
こめんとください