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巫女と剣と魔王の娘  作者: 朱椿姫
ハテの森
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あの人に会いに・・・



僕は自転車をこいでとあるところに向かっていた。


唯一別れをしたい人のところに向かうためだ。


その相手は親でもなく、友達でもない。


その人は親はずっと仕事で忙しくほとんど帰ってくるのが遅かったためずっと僕らの面倒を見てくれた人で、自

分の師匠でもある人だ。


「ふぁー!!は、早いです!」


なぜかオプスキュリテもついてきたけど、まあ大丈夫だよね?


自転車を古いアパートの前で止めてオプスキュリテを降ろした。


その師匠であり世話をしてくれていた人が、このアパートの大家さんだ。


101号室のインターホンを二回連続で押すと、中からすぐに長い黒髪の女性が出てきた。


見た目は二十代に見えるが、本人が言うにはもうすでに70を超えたおばあさんらしいんだけど、絶対に誰が見ようとそうは見えない。


「お久しぶりです師匠」


「え!?ひ、ヒロミ!?いったいどこ行ってたのさ!てっきり神隠しにでもあったのかと思ったよ!」


「まあ、ちょっといろいろありましてね」


「ともかく、いろいろと聞きたいことがあるから中に入りなよ!」


「それじゃあお言葉に甘えて」


そういって僕らは師匠の部屋に入っていった。



コン…



僕は師匠の部屋の地下にある和室で師匠がお茶を入れるのを待っている間にオプスキュリテの髪を櫛でといていた。


オプスキュリテはなんだか落ち着かない様子で周りをきょろきょろと見回している。



「こういうとこは、初めて?」


「は、はい!ヒューマンも魔族も亜人もすべて地上に住んでるものとばかり思ってました!こんな地下住居を作る技術があるなんて・・・イニノアのこといっぱいパパから聞いてましたけどこんなの全く聞いたことないです、世界ってまだまだしらないことっていっぱいあるんですね!」


この世界はこの子たちにとって全く文化も生態系も異なる世界、初めて見るものがあるのも当たり前。


でも、まさかまだここがイニノアだって思ってるのか・・・


「ふふふ、ここは君の世界じゃなく異なる世界の一つ”アース”だよ」


「あーす?いせかい?」


「そう、ここはイニノアとは全く違う空間にある世界。魔法も亜人も間人も生まれることがなかった世界。でも、そのかわり”科学”の一点に進化することができた世界だ。」


「かがく?」


「科学は、魔法に変わる力、たとえば火を起こすのに魔法の術式で火を起こすのをこの世界では物と物がこすれあわすことで起こすとかね」


「そんな事出来るんですか!?」


「ああ、できるさ。」


「へえ・・・あの、さっき一つの異なる世界と言ってましたけどここ以外にも他の世界があるんですか?」


「きっとあるさ。僕は行ったことがないけど存在すると信じてる。君の世界があったようにね」


オプスキュリテの髪を解き終わると、ゴスロリ用の黒いヘッドドレスをつけてあげて手鏡を渡す。


「はい、できたよキュリテ」


「ふわぁー…ありがとうございます」


キュリテは鏡を嬉しそうにみている。


どうやら気に入ってくれたようだ。


「あ、あの…ところで”キュリテ”って…」


「あれ?いやだったかな?」


「い、いえとてもうれしいです!」


「そう、よかった。」


「あ、あの!」


「ん?どうしたの」


「すきなよう呼んでいいって言ってましたのでちょっと考えてみたんですけど…」


昨日?ああ、そんなこといってたね


「それでどんな呼び方にするの?」


「は、はい・・・」



キュリテは一度深呼吸するといつもよりも大きな声で言った。


「”お姉ちゃん”って呼んでいいですか?」


・・・そうくるか


「あはははは!ヒロミはそう見えても男の子だよ、黒髪の子」


師匠はタイミングを見計らったようにお盆に急須と湯呑を載せて持ってきた。


「え!?あ!す、すみません・・・」


キュリテは顔を赤くして縮こまってしまった。


なんだかわいいな。


「まあよく言われるし、気にしてないよ」


「は、はい・・・」


「はい、お茶」


師匠はお茶の入った湯呑を僕らの前に置く。


「ありがとうございます」「ど、どうも・・・」


キュリテはお茶を飲もうとするが熱かったらしくふぅーふぅーと息をかけて冷まそうとしている。


「それで、この三日間ヒロミはどこに行ってたの?」


「はい、じつは・・・」


僕はこの三日間にあったことを一字一句もらさずに話した。


こんな漫画のような話、信じてもらえるかどうかわからなかったが師匠は結構すんなりと信じてくれた。


「なるほど異世界か・・・本当にむこうに戻る気なのかい?」


「はい、姉さんが心配なので」


「そう、ならこれを持っていくといいよ」


師匠は畳を持ち上げてその下から長方形の木箱を出した。


「きっと何かの役に立つと思うよ」


木箱を受け取って横に置く。


「それと、少し言いにくいんだけどさ…」


師匠は僕の前にそっと一万円札を置く。


「ごめんなさい、ご飯作ってください」


「・・・」


師匠、そろそろ自炊できるようになりましょうよ・・・。



―オプスキュリテ―



えっと…なんだかお兄ちゃんが買い物に行ってしまい、シショウさんと二人っきりになってしまいました。


私はどうしたらいいんでしょうか?話でもすればいいんでしょうか?


「さて、二人っきりになっちゃったね”シュバルツ”の人」


「!?」


なんでこの人、私の苗字を!


「ああ、大丈夫大丈夫」


シショウさんは自分の瞳に指を当てると何かをはずし顔を上げた。


「え!?」


私と同じ赤い瞳?


「初めましてだね、私の子孫!」




おばあちゃんと話をしていたらおにーちゃんがリュミエールちゃんを連れて帰ってきた。


リュミエールはなんだか大きな入れ物のようなものを抱えて、中に入ってる何かをポリポリと食べてる。


いったい何を食べてるんだろう…。


「すぐご飯作るから待っててね」


お兄ちゃんはバッグを持ったまま別の部屋に入っていく。


そういえばこの扉紙でできてるけど、でも紙ってすごく高かったはず…


ということはこれってかなり高級品なのかな?


「師匠、できました!」


お兄ちゃんは扉の向こうから何かが乗ったお皿を持ってきた。


見たことのない素材でできたお皿だ、鉄でも木でもない・・・。


そしてお皿の上にある、薄黄色のもこもことした物、たぶん食べ物だけど初めて見る。


「ちょっと!どうやって五分でそんな量の天ぷらあげれるの!?」


「上達すればこれくらい簡単ですよ?パエリアだって三分あれば作れます」


「いやいや!無理だよそんなの!」


「そうですかね?」


そういいながらお兄ちゃんは白い粒を器に入れていく。


そういえばこれもよくわからない。


初めは麦だと思っていたのだけど朝食べて少しべちゃべちゃして少し甘かった。


「それはお米だよ」


「へえ”おこめ”っていうんですか・・・ってえ?」


なんで今私がこれのことについて考えてたのか分かったの?


「まあじっとそれを見ていたらわかるよ」


「はあ・・・」


「ほらさめちゃわないうちに食べちゃいなよ」


おにいちゃんに言われて私達はご飯を食べ始めた。


できればコメントを…

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