3話 もっと労ってくれても
僕がママになるの。
しかも、僕の最推しの『白雪ミロ』が所属している事務所だ。
白雪ミロちゃんはねとにかく可愛い。
まず見た目が最高。名前の通り、髪は綺麗な白髪のショート。顔は、可愛いというよりもかっこいいに近いけど、しっかりと可愛さもある。体はスラっとしていて、理想のお姉さんみたい。どことは言わないが、控えめである。
毎回配信をリアタイするくらい大好きなミロちゃんと同じ事務所のママをやれるなんて、願ったり叶ったりだ。
「僕、ママになろうと思います」
「「は?」」
2人の声がダイニングに響き渡る。
僕は、ある程度、2人がご飯を食べてから話を切り出した。
「まあ、落ち着きたまえ」
「いや、落ち着くもなにも、なに言ってんの?」
華って、僕のこと頭おかしいと思っているよね。
「華、聞いて」
この僕の一言でいつも聞く体勢になってくれる。
「実は、Vtuber事務所のグレースフルというとこからイラストの依頼が来たんだよね」
「えっ、グレースフルって、凪の推しのミロちゃんが所属しているところだよね」
「そうだよ」
「イラストの依頼、兄さん、新人さんのイラストを?」
「いいね。視野の広さは伸ばしていこう」
「くだらないこと言ってないで質問に答えて」
「はいはい、わかったよ姉さん。華の言った通り、近頃デビューさせる予定のライバーのイラストを依頼された。モデリングまで」
「すごいじゃん」
「そうやっていうのなら、普段から兄のことをもっと敬ってくれていいんだよ」
「姉さん、あとでゲームしよ」
「いいよ華」
明日の夜ご飯は何にしようかな。ピーマンの肉詰めと、生のレバーにしようかな。
とりあえずはそれでいこう。
「話を戻すけど、ママになるから、今まで以上に外出が増えるかもしれない」
「「はーい」」
ちなみに、現時点でも、2回も事務所に行かないと行けない。大変だ。
『完成しましたので、データを送りました。確認をお願いします。』
依頼を受けて3週間。僕は3週間で全てを終わらせたのだ。
夏休み前だから、学校は午前授業。放課後は部活以外では、部屋に篭り依頼を遂行していたのだ。
ちなみに普通だと、1〜3ヶ月掛かるらしいからね。
そう考えると、僕頑張りすぎてない。
何回もグレースフルの事務所に行ってはリテイクを要求される。
リテイクは地味に辛いんですよね。結構精神的に来るというか、なんというか。
まあ、そんな辛いことがあったけれど、後は結果を待つのみ。
「やっと終わったよ。ザラメも僕のこと労ってくれていいんだよ」
「兄さんザラメに余計なことを言わないで」
全く失礼だな。華は僕のことをなんと思っているのだろう。でも、僕はこんなことでは怒らない。
「そう言えば姉さんは」
首を傾げて華に聞いた。
「兄さん、首を傾げないで。気持ち悪い。姉さんは遊びに行った」
「最近僕への当たり強くない。反抗期?それともツンデレ?」
「姉さんに何か用があるの?」
「買い物を頼みたいのだけど、いないから自分で行くしかないのか」
面倒だな。姉さんに連絡でもしておくか。
「私行こうか?」
「えっ、いいの?」
「うん。何買えばいい?」
お兄ちゃん嬉しい。さっきまでの態度があれだったから余計にかも。
「今日の夜ご飯は、秋元さんに貰った牡蠣を牡蠣フライにして、それに千切りキャベツを付け合わせる予定」
「なるほどね。で、私は何を買えばいいの」
「千切りキャベツを買ってきて欲しい。あるでしょ、あの、元から千切りされているやつが」
「あー、あれね。わかった」
「じゃあ、よろしく」
『確認しました。問題ないです。来週の水曜日の17時から初配信をする予定です。よろしければ、配信を見てくださると嬉しいです。』
寝る前にメールを確認していたら、事務所の方から連絡があった。
僕の仕事は無事達成できたのだ。
長かった。3週間毎日この仕事をしていたから、父の会社の方のもやらなくてはいけない。
やるべきことは沢山あるけど、今日はもう寝よう。
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