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キャラ創作用

地下水道は国境をまたぐため、密輸人や違法入国者が多い。その一グループとして隣国のリテラに渡りたい盗賊団は地下水道に詳しい用心棒を雇うことにした。


 私が最初にその男に会った時のことは、結構覚えている。

というのも、一般人男性より頭一つ背が高くて、暗がりで水色の目がやけに目立っていたからだ。

用心棒というからに、体躯に恵まれていて、威圧感がある。

彼は盗賊団と何か話していたが、私には関係のないことだった。だってここにいる事自体が、私には、最初から無関係なことなのだ。盗賊団の企んでることやら、宝探しやら、、

しかし、秘密を知ってしまった私は、捕虜として正直いつ殺されてもおかしくはない人間である。

生殺与奪の権は彼らに握られていると考えて相違ない。

となると、どうやって用済みに思われないか、必死で頭を働かせるしかない。

本の虫であったことを活かし、役に立ちそうな迷信や歴史の知識を提供するんだ…それでいつかは隙を見て逃げ出してやる…

基本私は盗賊団の監視下にあり、言いなりになるだけだった。

夕食になって、配給のパンとスープにありつけた。捕虜だからと言って量が減らされないのだけは、まあありがたいことだった。まああと変なことをしなければ絡まれたりいじめられたりしないのも良かった。

皆意外と自分のことに夢中で、こんな雑魚なんていつでも放り出せるからと特に気にすることもないんだろう。気さくに話しかけてくる人も中にはいた。そういう人は盗賊じゃなければ気のいい人なんだろうな、と思う。酒が入ってたまに喧嘩が起こって物が飛び交う時は、私は一目散に外に逃げていた。


 彼らの邪魔にならないところで大人しくパンをほおばっていたら、さっきの用心棒が私に興味を持ったのか、近づいてきて、隣に腰をおろした。私は反射的に腰を少し浮かした。

「突然悪いな。だがお前が盗賊に見えなくてな。どこからきたんだ?」

単刀直入に聞かれて、私は何かされるのではないかと怯えた。

「盗賊じゃなくて、捕虜です。普通に働いてたんですけど、色々あって、ここまで連れてこられました…」

私は男の目を見ないように喋った。薄氷のような色の目で見られると、なんだか居心地が悪い。この人、肌が白くて髪が真っ暗なので眼の色が余計際立ってるんだ。

「そうか。奴らに捕まるなんて、お前も運が悪いな。」

男は持っていた樽のコップからビールをぐいと飲むと、

「酒はのまないのか?」

と聞いてきた。

「いや、呑むどころじゃないというか…前は、呑んでましたけど」

もごもごと言うと、男は深くうなずいた。

「そりゃそうか。捕虜なら楽しむどころではないか」

共感してくれるとは、意外と悪くない人なのかも。

「俺はジンだ。ここの地下水道を通る間、用心棒として雇われた。困ったことがあったら力になれるかもしれないから、気軽に声をかけてくれ」

「よろしくお願いします。私はウミっていいます」

力になる?それは盗賊団の用心棒としてなのか、個人的に力になってくれるのか、、

流石にそれを聞くことはできなかった。

「ウミか、いい名前だな」

この人の言葉は、すっと自然にはいってくる。なぜか、照れる必要がないのだ。

きっとさっきの「力になる」も、用心棒としての言葉でそれ以上でもそれ以下でもないんだろう。

私は、彼は結論悪い人ではなさそうだがまだ警戒するに越したことはないと考えた。


その夜、夢を見た。

いままで一度も海を見たことがないのを、必死に盗賊団に弁明していた。

彼らは聞く耳を持たず、私を海に放り込んだ。

「泳げるなら泳いでみろ」

私はもがいたが、体が重くて徐々に沈んでいく。

ジンが、船から海に飛び込んで、私に近づいてきた。

そのまま私を引っ張って、船から離れていく。島にたどり着いて、私は自由の身になった嬉しさで周りを見回した。そしたらジンが次はこん棒を持って私を見ていた。そのまま私に向かってくる。

私は必至で逃げるけど、なかなか前に進めない。ジンがこん棒で殴り掛かってくる…


目がぱちっと開いて、自分が寝袋にくるまっていることに気付いた。一瞬自分がどこにいるのか思案して、地下水道の入り口であることに思い至った。

なんだ、悪夢の続きじゃないか……

逃げたいなあ。






































































































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