猫語り
「にゃ〜ん。」
こんな所に猫がいるだなんて珍しいな。そう思いながら
私は猫に語り掛けていた。
「お前は1人でここに来たの?」
もう一度その猫は悲しそうに鳴いて、こちらに寄ってきた。
「そうか。おいで。」
私はもう帰るところなんてものは無い。
ここがどこなのかすらも私には分からなかった。怖かった。
でもこの子がいるからもう平気だ。
もしかしたら慰めに来てくれたのかな(笑)そんなわけないか
私は優しく頭から背中、尾に向けて撫でた。
猫はすごく良さそうに頭をゴシゴシしていた。
「お前は一生独りなんだな。」
どこからか声が聞こえた。いや、まさか猫なんかが喋るわけが無い。そう思っていたら、
「そのまさかだと言ったら?」
私は大きく目を見開いた。
そこにはもう猫なんて居なかったからだ。いや、私はさっきまで、猫とじゃれあっていたと思うんだけど、
あぁ、そっか。そうだった。
そういえばさっき信号無視した車に引かれたんだったよ。
忘れてた。
あーあ、もう1人か、孤独だな。
鮮明に思い出すのは横断歩道に広がる血痕。
車の小さな凹み。
血まみれの肉体。
あぁ、、
ー私まだ、小学生だよー