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ギルド スノープリンセス2 勇者編 反逆③ 

反逆④~⑥は、木曜日に更新します。

「ケ!ケイン!!」

俺が戻ると、オラシオンが王宮へ来ていた。

「婿殿、お帰りなさいですわ」

アイリスと話していたようだ。

「オラシオン、借金だぞ。言った事は守るぞ」

立ち上がって俺を睨むオラシオンは、悔しそうに座った。


「アリス、ヘーゼルさんの体調が、思わしくないそうですわ」

アリスの策。日々過重労働を強いて、食事は豪華だが塩分、脂分多めの不健康食。10日で体調が崩れると予想していたのが的中した。

「疲れが取れない様だ。私も同様に体が重い。こんなことは初めてだ・・」

オラシオンの顔色も良くない。

「それは大変だぞ。たぶん過労だぞ。いいぞ、休みを取るぞ。王宮に部屋を用意するぞ。栄養のあるものを食べて、休養すると良いぞ」

アリスは優しく言う。

「だが・・借金と連勤手当が・・」

オラシオンは、連勤手当のからくりに、まだ気が付いてないようだ。

「休養中の『庭の借地料』は無料にするぞ。今は体を大事にするぞ。栄養のあるものを無料で出すぞ。すぐに2人で休むと良いぞ」

心配そうな顔つきで言うアリス。だが、アリスは、俺を殺そうとしている奴らに、そんなに甘い女ではない。

基本カモミールの住人は嘘が付けない。嘘は魔獣落ちの呪いが発動する。人を騙そうとする嘘をつけば、アリスとて魔獣になってしまう。

だから、カモミールの住人は絶対に『嘘』は言わない。

「早くヘーゼルを呼んでくるぞ。すぐ休むぞ。ママ、王宮医療団を呼ぶぞ。すぐ診察を受けるぞ」

アリスは親切そうに言うが、ちゃんと裏がある。

『庭の借地料』は無料。だが、王宮の使用料や医療費は無料とは言っていない。

そして、カモミールでも嘘が付ける連中がいる。機械族だ。

レナとセレスが白衣に着替え、王宮機械族メイドを数人連れてくると、王宮医療団を名乗る。



「過労だな。蘇ってすぐに働き過ぎたようだ」

「ええ、過労ね。栄養のあるものをたくさん食べて、ゆっくり休んでいれば良くなるわ」

レナとセレスもアリスの策は知っている。

王宮の中でも豪華な部屋で、とても値段の高そうなベットに寝るオラシオンとヘーゼルに言う。

「お昼はステーキと焼き肉を届けるぞ。おやつにポテチとコーラを置いておくぞ。ピザやハンバーガーも用意するから軽食にすると良いぞ。一杯食べて早くよくなるぞ」

『早くよくなるぞ』は社交辞令。アリスは嘘は言わない。

「ケイン、俺は貴様を殺したくてしょうがない。だが、このような手厚い待遇には感謝する」

「私もお礼を言うわ。自分を殺しに来た刺客に対しても、あなた達は礼を逸しないのね」

王道勇者チームだけあって、俺を殺すことを隠さずに、受けた恩には礼を言う。できた連中だ。だが、出来ているからこそ、アリスの策にずっぽり嵌る。

「ああ、医者の言うことを聞いて、早くよくなって、俺と戦おう」

俺は嘘が付ける。カモミールの住人だが、カモミール生まれじゃないからな。

「後でスイカを持ってこさせるぞ。キンキンに冷やして、塩かけて食べるとおいしいぞ」

スイカは栄養価が低いからな。ビタミン系が無いフルーツはOKだ。

「助かる。本当にありがとう」

「嬉しいわ。感謝するわね」

部屋を出た俺たちは、笑いをこらえながら部屋から遠ざかる。



「天界に動きがありました」

ティナが話し出す。

『地球に対して出されていた『入国禁止』『報道禁止』が緩和されました。許可を取れば、報道が自由に行えます。ただし女神だけです。下界での報道は禁止されたままです」

やはり16評議会が裏で動いている。民意を味方につけ、こっちの動きを牽制しているんだ。

「更にケインさん達には、行動規制が命じられました」

それも来ると予想済みだ。

「1つ、地球への関与の禁止。2つ、魔道兵器セイレーンの封印。3つ、天界への往来禁止。これらが議会で決定しました」

セイレーンの封印は意外だが、1と3は妥当なところだ。

「違反した場合は『勇者資格停止』、または『勇者資格剥奪』の処分が下されます」

勇者的には重い罪になる。

「わかったぞ。で?ケイン、どれから破るかだぞ?」

全部だ。

「まずは天界に行き、女神が地球の救済を放棄したことに対する異議を唱える。その上でセイレーンと地球へ行き、閻魔も呼んで『ハドロンブラスター』『閻魔砲』『ケインスペシャル』の同時攻撃を行い、ハイパーブラックホールを消滅させる」

天界の決定を無視することになるが、地球の救済放棄は勇者として認める訳には行かない。

「坊主、良い覚悟だ」

「面白そうじゃない」

「パパ、私たちも同罪になるよ」

エルゴ世界へ潜入させていたパルム達が戻ってきた。



「観光客に成りすまして潜入していたんだが、女神に見つかってな」

「女神レムって、結構真面目な女神だったわ」

「色々聞けたし、裏も取ってきたよ」

流石はパルム達だ。短い時間で仕事を済ませてきてくれた。

パルム達が得た情報は・・・


エルゴ世界とパラダイス世界に直接の繋がりはない。あったのはルーズと、パラダイスの裏にいる連中だった。パラダイス世界は、金の動きを仲介し、裏取引やマネーロンダリングの場に使われていた。

ルーズからパラダイスに『カジノでの負け』と言う形で振り込まれ、パラダイスから、ルーズの相手に『カジノで勝たせる』と言う形で渡る。金の動きに目を配っていた女神たちを欺いていた。


「ルーズの金は『フォボス』へ渡っていた」

「フォボスは科学施設衛星よ。だいぶ前に稼働を止めて、今は無人のはずだわ」

「女神レムに調ベて貰ったら、エルゴのレアメタルも、フォボスへ大量に送られてたよ」

そのフォボスってところが怪しいな。

「フォボスは、だいぶ昔に栄えていた『アトラン帝国』が作った科学施設です。アトラン帝国が滅んだ後、稼働は停止、女神による『立ち入り禁止制限』が施されています」

ティナが言う。

「立ち入りかだぞ?封印じゃないのかだぞ?」

「はい。黄色の『立入禁止 STOP! KEEP OUT』が貼られているだけです」

じゃ、誰でも入ろうと思えば入れるわけだ。

「ティナ、フォボスに関して詳しく聞かせてくれ」

俺が頼むとティナは話し出す。




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