ギルド スノープリンセス2 勇者編 強敵たち④
次回は月曜になります^ー^
「ケインさん!油断しないでください!見た目はアレですが、実力は私のエレノアを遥に凌ぎます!」
覚悟はしていたが、ついに来たか。神女神ヴィーナスのチーム。歴代勇者ランク1位・・。
「ケイン、気を付けるぞ。腐乱臭が酷いぞ。マスクなしではエチケット袋が必要だぞ」
ああ、凄い臭いだ・・・。
「あら、婿殿!!服が溶けてきましたわ!」
なんだって!!
「私の服もです!女神の衣装を溶かすほど強い腐乱臭です!」
アイリスとティナが言う。
「離れるぞ!マジでヤバイ連中だぞ!この匂いは危険・・だぞ・・」
アリスは言い終わる前に片膝をつく。これは毒魔法だ・・・体に力が入らない・・
みんなが倒れて行く・・毒魔法使いのマオまで倒れている。やばい・・・。
「勇者ケインだったな。なぜかお前を殺したくてしょうがない。恨みはないが死んでもらう」
「私たちの腐乱臭で溶けてなくなりなさい」
イオとエウロパは、動けなくなった俺にゆっくり近寄ってきた。
「ケインを・・殺らさせはしないぞ・・絶対零度だぞ!」
倒れながらもアリスが魔法を放つ。
「ウソ・・・だぞ・・・冷気が臭いに負けたぞ・・」
アリスの放った絶対零度の冷気は、イオとエウロパの近くで蒸気になり消える。
冷気が腐敗臭に消されたんだ。
「無駄よお嬢さん。貴女は坊やの後。私たちは、ここにいる全員を殺したくてしょうがないのよ!」
「そうだ。皆殺しだ!全員溶けてしまうのだ!」
ダメだ。。体が動かない。意識も・・・
薄れる意識の中、俺の頬が風を感じた。
「させませんよ」
声が聞こえると風は強風となり、辺りの腐敗臭を吹き飛ばす。
うつ伏せに倒れたエクセレントの前に、エレノアが浮かび上がるように現れた。
「お前・・死んだはずでは?」
イオがエレノアを見て驚く。
「なのを驚く?互いにとっくに死んでいる身ではないか」
ペヤング顔で割れた顎。マッチョな体の勇者エレノアが言う。
「だが敢えて言葉にするのなら、『恋々の想いを残した女のため、幽霊となって表れた』と言ったところか」
エレノアは倒れるエクセレントを見ながら言う。
「エレノア・・ああ、私の愛おしい1256番目の愛する人よ・・・」
だめだ!番号を間違えたままだ!
「エクセレント様、あなたは死んではいけない。生きて世界を守るのです」
にっこり笑ったエレノアが言う。
「くそめ!タカが幽霊ごときに邪魔はさせぬ!」
「超腐敗臭よ!全員一瞬で溶かしてあげるわ!」
イオとエウロパから黄色の煙が噴き出した。
「させないと言ったはずだ。勇者エレノア!最後の魔法!845ペクトパスカルだ!!」
エレノアは、その場で足踏みを始める。足踏みは次第に速くなり、エレノアから汗が噴き出す。汗は足踏みで温まったエレノアの体温で蒸発。エレノアを中心に上昇気流が生まれる。上昇気流は次第に渦を巻き始め台風となる。
「神の加護!浄化です!更に加護!回復です!」
超腐敗臭が台風に飲まれると、ティナが周囲を浄化、俺たちを回復する。
「エクセレント様、私から生まれた偽りの魂がご迷惑をおかけしました。私に出来る罪滅ぼしはここまでです」
罪滅ぼし?これは本物のエレノアの魂を持った幽霊?
「お別れです。エクセレント様。私の霊力は尽きてしまいました。もう魂を維持することはできません」
エレノアの体が透けて来た。
「エレノア!?」
エクセレントがエレノアを抱きしめようとした。が、抱き付く両手は空を切る。
エレノアはにっこり笑ったまま消えた。
「エレノアぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エクセレント悲痛な叫び。
「あら、エクちゃん。そんなに悲しんじゃって、可愛い」
「ヴィーナスの一族なら、相手は星の数ほどいるだろよ」
エレノアの作った台風の目の中。イオとエウロパは笑いながら言う。
が、虎の尾を踏んだな。
「貴様らぁぁぁぁ!!母のチームだから手は出さなかったが!今の私に言う言葉がそれかぁ!!」
エクセレントの後光が光り輝く。女神が本気になった証だ!
「終わったなだぞ」
お?アリス、今まで静かだったな。
「エレノアがカッコよかったぞ。私がシャシャリ出たら、空気が壊れると思って口をつぐんでいたぞ」
なんて空気の読める嫁だ。流石は俺の嫁だ。
「大女神の加護!!防腐剤だぁぁぁ」
大量の防腐剤がイオとエウロパを襲う。
が、全然効果なし。
「ダメだぞ。すでに腐ってるゾンビに防腐剤は効かないぞ」
「ゾンビが相手なら~火だよね~」
「はい。姉は混乱して選択を間違えました。ここ一番でミスるのが、ヴィーナス家の血族です」
呆れたアリスたち。
「フフフ・・・超腐敗臭は防がれたが、俺たちの力はこんなものではない!」
「ええ、あなた達を殺す手段ぐらい、幾らでもあるの。ちょうど逃げ場もないし、エレノアはいい仕事をしてくれたわ」
周りは風速200mの台風の渦。確かに逃げ場はないな。
「でも私たちの勝ちだぞ。お前たちは攻撃しちゃったぞ」
「勝ち・・だと?」
「攻撃しちゃったって?」
イオとエウロパが、アリスの言葉に首を傾げた瞬間、眩しい光と轟音に包まれる。
「広域に及んだ腐敗臭は、セイレーンにも届いていたぞ。攻撃されたセイレーンは魔道砲が打てるぞ」
セイレーンなら、台風の中に居る敵だけを狙える。
流石のゾンビも、魔道砲に焼かれれば終わりだ。俺たちの勝ちだ。
「1356番目の愛するエレノアよ、その魂は失われてしまったが、私の中に居るエレノアは、永遠に失せることは無い。勇者エレノア、風の妖精よ。安らかに眠れ」
エクセレントが花束を海に投げ、祈りを捧げる。
「男は顔じゃないぞ。エクセレントの男を見る目は確かだぞ」
ああ、流石は恋多き一族、ヴィーナス家の長女だ。蓼食う虫は、ちゃんと中身を見ていたんだな。
「ケインさん、私の担当と母の担当が、お手間をかけました。これはお詫びの品です」
桃饅頭の箱が出て来た。って、やっぱり桃源郷に逃げていたのか?
「詫びの品は貰っておくぞ。それ美味しいぞ」
お気に入りだな?
「ケインも食べておくぞ。桃源郷の桃が入ってるぞ。縁起がいいぞ」
アリスは上機嫌だった。
「これでランク1位を倒したぞ。後は雑魚ばかりだぞ。やっと楽になれるぞ」
機嫌がいい理由はそれか?
「アリスさん、何を言っているのです?勇者ゾンビチームは1位ではありません。1.5位です」
なんだ!その1.5位ってのは?
「はい。母が担当した勇者『オラシオン』がダントツの1位です。イオさん達は後から這い上がって来た勇者で、姉が2位はエレノアさんだと言い張り2位を譲りません。なのでイオさん達は1.5位になりました」
なんていい加減なランキングなんだ!
「ケインさん、オラシオンが出てきたら逃げてください。あれは人の域の者ではありません。王道にして最強。まさにキングオブ勇者です」
エクセレントが真面目な顔で言う。
「逃げたって狙いは私達だぞ。逃げる意味が無いぞ」
そうだな。どうせ逃げても追いかけられるだけだ。向かい撃つしかない。
「あれは・・・母が最強のスキルを授け、最強の武器を与えた男です。ゾンビやエレノアとは格が違います。いくらケインさん達でも、戦えば負けます」
・・・・・俺は少し考えて言葉にした。
「エクセレント、資料だ。なるべく詳しい資料を用意してくれ。俺たちは分析や作戦で戦うチームだ。どんなに強くても、どんな魔法を持っていても、対策さえ立てれば戦える。だから資料をくれ」
「わまりました・・・用意します」
エクセレントは『言ってもだめか』と言う顔だったが納得してくれた。
戦いが終わり、俺たちはカモミールへと戻る。




