表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/143

ギルド スノープリンセス2 勇者編  強敵たち③

「・・エクセレント様」

エレノアの前に降臨したエクセレント。

「勇者エレノアよ、大女神エクセレントとして再度命じる!攻撃を止めるんだ!」

エレノアは訴えるような目で答える。

「私は勇者です!破壊などしたくない!でも‥でも駄目なんです!破壊衝動が・・抑えきれない!・・エクセレント様、離れてください!あなたを傷つけたくない!」

ウナと同じだった。ウナも同じことを言っていた。エレノアには過去の記憶があり、エクセレントとの絆も覚えている。だが操られた魂は、意志さえも奪い取る。

「もう・・だめだ!抑えきれない!エクセレント様!早く・・早く・・この場から・・」

エレノアが悲痛の叫びをあげた。

だがエクセレントは、そのエレノアに近寄り、抱き付き抱きしめる。

「もういい。もう苦しむな。・・・・・愛おしのエレノアよ・・共に死のう。その魂を私が解放しよう」

抱き付くエクセレントの手に剣が現れた。

「この剣で私達を貫く。永遠に2人は1つだ」

「・・はい・・エクセレント様・・・どうか神の御慈悲を」

エレノアは目を瞑る。エクセレントは握る剣に力を籠める。


「今だぞレナ!!」

アリスが叫んだ。

「御免!」

エレノアの後ろにいたレナがエレノアを両断。エレノアは青い炎に包まれた。

「エ、エレノ・ア・・・」

呆然とエレノアを見るエクセレント。

「これで・・これでいいのです・・・エクセレント様・・」

エレノアは燃え尽きた。

「女神殿の手に剣は似合いません」

レナがエクセレントの手から剣を取った。


「良しだぞ!上手くいったぞ!」

「はい!作戦通りです!」

お前ら・・もしかすると最初からか?

「当然だぞ。無警戒の状態で近寄ればチャンスもあるぞ。それに私なら、ケインと共に死ぬぞ」

「はい。姉がエレノアと共に死を選ぶのは、流れ的に王道です。エレノアには必ず隙が生まれます」

アリスの怖さの1つに『俺のためなら躊躇わず死ねる』ことがある。

自ら死を選んだ者には、蘇生魔法や神の加護が効かないケースが多い。

もし俺とアリスが、エクセレントとエレノアのケースと同じ場合、自ら死を選んだアリスは蘇生できず、同意したとはいえ、アリスの剣で死んだ俺だけが生き返ることになる。

そして・・・アリスは、その覚悟が出来ている。

それが俺には怖いことでもある。



「ケインさん!酷いではありませんか!」

ティナにより戻されたエクセレントが叫ぶ。

「姉様、ケインさんは関係ありません。『愛に生き愛に死ぬ同盟』の、私たちが決めた作戦です」

そんな同盟を作ったのか?ますますアリスがやばい。

「そうだぞ。こんなところでエクセレントを失う訳には行かないぞ。あれはエレノアの記憶を持つ、偽りの魂だぞ」

偽りとはいえ、記憶を持つ。それを偽りと言ってよいモノか?

「しかし!あれはエレノアでした!間違いなく私のエレノアです!」

『パチン!!』アリスがエクセレントの頬を平手打ち。

「冷静になるぞ。自分の立場と役目を忘れるなだぞ。ヴィーナス家の長女の地位は、天界にとって重いぞ」

平手打ちされたエクセレントは、頬を手で押さえ呆然とする。

「カモミールと違って、男は星の数ほどいるぞ。早く忘れて次の恋をするぞ。きっとエレノアもエクセレントの幸せを望んでいるぞ」

エレノアは本来すでに死んでいる。過去に縛られることは無い。

「・・・その通りです。私は少し冷静さを欠いていました」

エクセレントも分かったようだ。

「そうだぞ。エレノアに祈りを捧げるといいぞ」

エクセレントは頷く。

「1256番目の愛人エレノアの魂よ、私はその魂に永遠の愛を誓おう」

1256番目だと?

「姉様、エレノアさんは1356番目だったはずです」

「ああ、そうだっか。1356番目のエレノアよ。以下同文だ」

エクセレントは祈りを捧げたようだった。


「マスター!お話は終わりましたか?皆さん出られて戦闘中です!」

セイレーンの言葉。え?そう言えばみんなが居ない。

「エレノア飛行隊か!?」

エクセレントが言う。

「ケインさん、勇者エレノアには強力な仲間たちが居ます。エレノアの作る台風の中を飛行しながら、巻き込んだ敵を倒す部隊。エレノア飛行隊です」

飛ぶ相手は不味い。俺たちの苦手とするタイプだ。

「ケイン、私たちも出るぞ!」

俺たちはセイレーン本体から飛び降りる。


ムササビのような姿で空を飛び回る『エレノア飛行隊』は7人いた。上空から地面に居る仲間たちを攻撃していた。

「婿殿!圧倒的不利ですわ!」

「ケイン~ピーちゃんしか戦えないよ~」

下からの攻撃と上からの攻撃では、圧倒的に上からが有利だ。

鳥のピーだけが戦えるが、7対1では不利。

魔法で狙うことはできるが、逃げ場所の多い空中だと当たり難い。

「飛ぶ相手はセイレーンの担当だぞ」

とは言うが、セイレーンは攻撃を受けていない。撃ち返せないし、魔道砲は素早い飛行隊を狙うにはデカすぎる。

こんな時は…

「ティナ!神の加護だ!」

便利魔法の女神に頼む。

「はい!任せてください!『神の加護!飛行禁止空域です!』」

あっ・・落ちて来た。

「寄って集ってタコ殴りにするぞ!!」

アリスの掛け声で、落ちてきた飛行隊をタコ殴り。

7人も青い炎に焼かれた。



「ふはははは!中々やるではないか」

「ええ、エレノアのチームを倒すなんて、今の勇者チームは優秀なのね」

声が聞こえた。だが姿が見えない。

「こ、この声は・・・『イオ』と『エウロパ』!?」

エクセレントが周囲の地面を見渡しながら言う。

「ケインさん!気を付けてください!イオとエウロパは地面の・・うわ!!」

地面から出た手がエクセレントの脚を掴む。倒れたエクセレントの顔の横の地面からも顔が出る。

「お久しぶり♪エクちゃん」

「うわぁぁぁぁ!!お久しぶりですエウロパさん!!」

エクセレントは慌てて起き上がると、挨拶だけ残して逃げた。


地面から現れたのは『骨を剥き出しにし、内臓が腹から飛び出た、死後10日ほどたっているような腐乱死体』だった。

「ケインさん!あれは母のチーム『勇者ゾンビチーム』です!」


「もう何でもアリだぞ・・・・」

アリスがまた横を向いてボソッと呟く。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ