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ギルド スノープリンセス2 勇者編  読み違え②

「ようこそ勇者ケインさん。エルゴ世界の王、ルーズ卿です」

思っていたより紳士だった。ソロモンの笛に覚えがあれば、俺たちが来た件の想像はつく。

「どうぞお掛けください」

勧められ、俺たちは高級なソファーに座る。

「ご用件は『ソロモンの笛』ですよね?」

隠す気はないようだ。ルーズ卿は勝手に話を始めた。

「購入しようとしたのは事実です。天界指定の危険アイテムですが、コレクターの血が騒ぎましてね」

購入しようとした?ってことは?

「しかし、連絡をするのが1っ歩遅く、先に契約されてしまいました。この手のアイテムは売買の噂は絶えません。疑ってしまい躊躇したのがダメでした」

スラスラと話すルーズ卿。

「結論を聞くぞ。手に入れたのかだぞ?」

アリスが聞いた。

ルーズ卿は『フフフ』と小さく笑いながら言う。

「流石は勇者ケインのチームの方。誤魔化そうと思いましたが、無理のようですね。先に手に入れられた方から『買い取らないか』と連絡があって、今は私の手元にあります。法外な値段を吹っ掛けられましたが、伝説の魔笛です。手持ちのアイテムを全て売って、購入資金を作りましたよ」

手元にあるだって!?

「売り手はリリスかギルバか?だぞ。この部屋から2人の残り香がするぞ」

ルーズ卿は立ち上がると、部屋の壁にある金庫を開けた。

「リリスとギルバと言う方は存じませんが、レレスとギルペと言う方から買いました。これが私の全財産を投じた『ソロモンの笛』です」

奴ららしい・・深く考えない、分かりやすい偽名だ!

「本物かだぞ?これ?」

「ええ、受け渡し際に、レレスさんが使って見せてくれました。勇者『チャラ男』さんが蘇ったのを、この目で見ています。まさか勇者がポメラニアンだったのには驚きましたがね」

「この笛は、此処から外に出したことはあるかだぞ?」

「まさか。いくらしたと思っているんですか?世界が2つ3つ買える額ですよ。そんなものを…購入した日から『眺めるために部屋の中で』以外には出していません」

ってことは、これは本物?ソロモンの笛は2本ある?

「アリス、ティナを呼んでくれ」

ティナはエルゴの世界を担当する女神『レム』と話に行っていた。



「はい。偽物です。これはソロモンの笛ではありません」

だよな。

「な、なんだと!!!!ばかな!そんなはずはない!!」

立ち上がり叫ぶルーズ卿。

「私たちは魔族がソロモンの笛を持っているのを見たぞ。しかも勇者ケインが操られたぞ。本物はそっちだぞ」

慌てた様子で、ルーズ卿が携帯を取り出し連絡する。そして携帯はルーズ卿の手から零れ落ちた。

『この電話番号は現在使われておりません』と、落ちた電話から声が漏れていた。

「・・・・・」

手に偽の笛を握り、言葉を失い、焦点の合わない目で茫然と宙を見るルーズ卿。

「ばかな・・ばかな・・・そんは・・はずは・・・」

と譫言を繰り返す。

「リリスはルーズ卿に、偽の笛を渡した。たぶん裏でギルバが本物を使って勇者を蘇らせたのだろう。金だけを奪うためにな」

今のルーズ卿に、俺の言葉か聞こえてはいないだろう、と思いながら言う。

「ケインさん、女神レムから聞きました。『高額なアイテムを買うから、手持ちのアイテムを売却する』との報告はあったそうです。ここが平和で豊かな世界だったこともあり、担当女神は危機感を忘れていました。『余ったお金で、女神神殿の拡張工事をする』と言われ、高額な取引の内容を確認せずに許可したそうです」

一応女神にも報告していたのか?

「ケイン、マオから連絡で、ルーズ卿が手にしたお金は、世界が2つ3つ買える額だそうだぞ。それの大半が『レレス』の口座に振り込まれたそうだぞ」

やはりリリスたちか・・・魔族のノールは俺の首に『世界が丸ごと買えるほどの額』と言った。そして『一人一人に高額な』とも。

リリスは手にした金で、世界を弄び、俺たちを殺すために勇者を蘇らせ、魔族まで雇う。

世界を混乱させるのに使った経費、俺たちに賭けられた報酬・・・大体の額は合うし、ルーズ卿の態度は演技ではない。


『星猫のことは聞き逃したが、星猫はリリスたちとは無関係だ。星猫を売買すれば、世界が2つ3つの額ではないし、すでにソロモンの笛で十分な額を手にしている。別件と考えていい』


「言うぞ!リリスとギルバは『星猫』に関して、何か言っていなかったか?だぞ」

それでもアリスが確認しようとした。

「ほ・・し?ね・・こ?・・・そんな・・ものは・・しらない」

良く答えたな。放心状態のルーズ卿は、アリスの問いに答えを返した。

「はい。嘘はありません。『ルーズ卿は星猫を知らない』。彼は嘘は言っていません」

女神のティナは嘘が分かる。確定だ。

「アリス、戻るぞ。ここに必要な情報はない」

「だぞ。一応、リリスの連絡先の番号は貰っていくぞ」

俺たちはカモミールへ戻る。

たいした収穫はなかった。が、魔笛関係の犯人はリリスだ。そしてリリスの狙いは俺たち。

規模は大きくなったが、前の戦いの時と手法は変わらない。対処は十分可能だ。


戻った俺たちに客が待っていた。





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