ギルド スノープリンセス2 勇者編 蘇る勇者たち①
0:00時は間に合いませんでした。今回は①~④までUPします。
「勇者ランク5位の『勇者、氷結のカエン』さんです!8000年ほど前の勇者で、過去に居たアブソリュート使いの1人です!」
ティナの言葉に、俺たちに緊張が走った。
魔笛が存在することが確実となり、しかもアブソリュート使い。
「やばいぞケイン。私の絶対零度なんか、そよ風だぞ。一撃で星が凍るぞ」
柊さんのアブソリュートスノーで、この星が凍り付きそうになったことを思い出す。
「カエンさんは今『@』の世界で暴れています」
例え最強魔法の打ち手でも、俺は勇者だ。最善を尽くす義務がある。
「アブソリュートの弱点は『発動までに時間が掛かること』と『撃つ方向以外には効果が無い』点だぞ。いきなり後ろから強襲すれば勝てるぞ」
良し、ゲートでレナとセレスを先発させ、前に気を取られた隙に、後ろ側にゲートを開き、俺たちで強襲だ!
「待ってください!アブソリュートスノーは、そんなに簡単に攻略できる魔法ではありません。発動時間はかかりますが、発動時には絶対零度の冷気が噴き出し、術者を防御します」
ティナに言われ思い出す。
「そうだったぞ。柊さんと打ち比べをした時に、柊さんから絶対零度の冷気が出て、私がギブアップしたぞ」
となると、離れた位置から虚数世界の攻撃・・・『ケインスペシャル』を打つしかないのか?
「婿殿のケインスペシャルは直撃が条件ですわ」
そうなんだ。ケインスペシャル略して『ケスペ』は、当たれば無敵も、当てなければ効果が無い。
「近づけば気づかれアブソリュートの餌食だぞ。遠ければケスペを躱され打つ手なしになるぞ」
俺はティナにカエンの詳しい情報を求めた。
ティナが天界から情報を持って来るまで、作戦会議だ。
「ケインさん!カエンさんの資料です!集めてきました!」
この資料で有効な作戦が見つけられなければ、場当たり的に戦うしかない。
「カエンさんは8000年前の@世界を守っていた勇者です。チームは持たず、単独で勇者ランク5位に入っている優秀な方です。属性は『氷』で、今も@世界を凍り漬にして暴れています」
くそ!早く倒さなければ、@世界が滅んでしまう。
「アブソリュートスノーは、お亡くなる直前に習得しています。使った記録は1回だけです」
星を丸ごと凍らせるような魔法だ。余程のことが無ければ使わないだろう。おそらく強い魔王との戦いに使ったはずだ。
「備考ですが、カエンさんは、『古今東西、勇者の間抜けな死に方ランキング』5位にもランクINしています」
・・・・
「なんか、放っておいても良い気がしてきたぞ」
「ああ、俺もだ。こいつに手出しは不要だと思う」
ティナの話を聞いた俺たちは、ある推論をした。
「婿殿!いかに強力な魔法を持つ相手でも、世界を脅かしているのです!婿殿が放っておくなど、酷いですわ!」
アイリスは言うが違うんだ。
「そだね~ケインらしくないよね~」
「ケイン、怖気づいた」
「勇者とやらもその程度か?なんなら魔獣王の私が代わりに倒してきてやるぞ」
皆、勘違いしるな。
「違うぞ。ケインは怖気づいてなんかいないぞ。ティナの話をよく聞くぞ。カエンは『死ぬ直前にアブソリュートを習得』したぞ。そして『使ったのは1回』だけだぞ」
「つまりだ。『カエンはアブソリュートスノーを使って死んだ』って可能性が高い。自分の撃った魔法でやられたんだ。だから間抜けな死に方にランクIN している」
資料を読んでいたティナも含め、全員が納得した。
「どうするぞ?チャラ男と同じなら破壊衝動が押さえきれず、いずれはアブソリュートスノーを使って自滅するぞ」
・・・・俺は少し考えた。
「いや、自滅させるのなら早い方が良い。みんなで行って煽れば、アブソリュートスノーを使うかもしれない」
「勇者チーム出撃だぞ!」
アリスが俺の言葉を聞いて決断した。
「ゲートは任せてください!」
「バカにするんだよね~ターナが得意かな~」
「任せる。バカにして見下すの得意」
「妻なら適任だ。俺はいつも冷たく見下され、新たな属性が芽生えいたからな」
良し、皆は作戦を理解している。
「行くぞ!@の世界でカエンを倒すぞ!」
勇者カエンは容赦なく魔法を放ち、凍り付いた@世界。
「そこまでだぞ!氷結勇者カエン!」
ひときわ高いビルの屋上からアリスがカエンを指さし言う。
「誰だ!貴様たちは?」
勇者カエンは俺たちを見上げ、睨みつける。
「私たちは世界を守る、ケインの勇者チームだぞ!これ以上の破壊行為は、勇者ケインが許さないぞ!」
ビルの屋上で並ぶ俺、アリス、アイリス、マオ、ターナ、ハウル、レナとセレス。そして女神ティナ。
「貴様がこの時代の勇者か?ならば死ねぇ!!!」
カエンの目は逝っていた。見るからに冷静さを失い、操られている目。
カエンの手から放たれたブリザードが俺たちに襲い掛かる。
「神の加護!防壁です!」
ティナが防壁を張りブリザードを止める。
「アリス、私に任せる」
ターナが前に出る。そして見下すように言う。
「くそ魔法。チョロすぎ」
そしてハウルが追い打ち。
「美しすぎる妻からの過大な評価。ありがたく受け取るがいい。ひょろっけつ勇者カエンよ」
明らかにイラっとしたカエン。
「ブリザード!インフェルノ!アイスハリケーン!!!」
魔法を打ちまくった。
「神の加護、防壁です!防壁です!防壁です!」
全てティナが受け止めるが、本来ティナのレベルでは、完全に防げる防壁は作れない。女神の防御力を上回る防壁の正体は、ターナが隠れて使ったパフのおかげ。ターナは能力上昇系の支援魔法が得意。軽く躱しているように見せる為、内緒でティナを大幅に強化していた。
「くっくくくくだぞ。うちの女神に防壁を張らせるとは、中々の氷魔法だぞ。流石は勇者ランク5位ってところだぞ。その勇者に1つだけ聞きたいことがあるぞ」
アリスは少し相手を認めたように言う。
「1つだけ?俺に聞きたいこと?なんだ?8000年前の勇者の俺に、何が聞きたい?」
カエンは肩で息をしていた。そして、操られてるとはいえ、勇者の経験がケインたちを強い・・・と感じていた。
「お前のかぁさんデベソかだぞ?うぷぷぷぷだぞ」
「き、貴様ぁぁぁ!!!聞きたいというから聞いてやったのに!馬鹿にしたかっただけか!これを食らっても馬鹿に出来ると言うのなら、食らうがいい!!」
切れた。まぁアリスのあの態度と言葉じゃ切れない方がどうかしている。
「アブソリュート!!スノー――だ!!」
カエンの体から冷気が噴き出す。
そして凍り付いた。カエンは自ら放ったアブソリュートの冷気で凍り、青い炎に焼かれ燃え尽きた。
アブソリュートスノーは、ただの魔法ではない。魔法に認められた者にしか習得できず、更にその威力から身を守る力のある者だけが使える魔法。
防御力が足らないまま使えば、何が起こったのかも分からず凍り付く。
「自分が氷結しちゃったぞ。氷結の二つ名は、死んでから付いた名前だぞ」
俺たちの勝ちだ。
だが、勇者が蘇り操られた。魔笛の存在は確実なものとなった。
誰が?何のために?そして各地で見つかる魔笛の情報の真意は?
霧の中に居る俺は、この快勝を素直には喜べなかった。




