ギルド スノープリンセス2 勇者編 魔笛②
「間違いありません。ゲートは正しく繋がっています。ここはアーゴラの首都『アーーゴラ』です」
まるで魔王に襲撃されたように燃え盛るアーーゴラの街。
「ティナ!天界に救助要請だ!アリスは炎を消すんだ!」
俺が2人に指示を出した瞬間、足元に剣が突き刺さる。
「この世界は俺たちが破壊する」
「邪魔されると、ムカつくんだよね」
やたらと装飾品をぶら下げた、いかにも軽そうな男女・・男はポメラニアンを抱え、女はネイルを気にしながら、燃え盛る街の煙の中から現れた。
「チャラそうなのが出て来たぞ」
アリスが挑発するように言う。
「腰の剣は聖剣…お前は勇者かよ」
「ヤダもう来たの?早くない?」
アリスは無視か?
「俺は勇者ケインだ。これはお前たちがやったのか?」
男女はニヤニヤするが、何も答えない。
「あーーー!!思い出しました!あなた達は、アーゴラの世界を守っていた『勇者チャラ男』さんのチームですね!」
突然ティナが男を指さし叫んぶ。
「まんまだぞ‥見た目イコール名前ぞ」
アリスが呆れて言うが・・勇者だと!?こいつがか?
俺は1歩前に出ると剣を抜く。
「世界を守る勇者が、なんで世界を破壊した!答えろ!勇者チャラ男!!」
だがチャラ男は何も言わない。ただニヤニヤしているだけだった。
「答えてください!なんでこんなことを?そして、600年前に亡くなったあなた達が、なぜここにいるのです?」
ティナも聞くが・・600年前に亡くなっただと!?
「こいつら、もう死んでいるのかだぞ?」
チャラ男と女は答えないが、ティナは頷いた。
「はい。600年前、玉ねぎと魔物の肉の炒め物を食べたチャラ男さんは、食中毒で死にました。『古今東西、勇者の間抜けな死に方ランキング8位』にランクINされた勇者です」
食中毒だと!?
「そうなのニャー。犬には玉ねぎは毒だったのを忘れてたのニャー」
ポメラニアンが喋っただと!まさか・・・勇者って言うのは?
「ケイン!犬が喋ったぞ!語尾がニャーだぞ!しかもキャンキャン泣くしか能が無いポメラニアンが勇者だぞ!」
流石のアリスも動揺した。
「分からないのニャ。なぜか蘇ってから破壊衝動が押さえきれないのニャ。この世界は、勇者チャラ男と『軽男』『ギャル子』で破壊するのニャ。邪魔するなら、お前たちには死んでもらうのニャ」
ポメラニアンのチャラ男の目が怪しく光る。
「ちょっと待つぞ。ぜひ聞きたいことがあるぞ。私は犬族だぞ。なのでポメラニアンが勇者になった経緯が知りたいぞ。教えて欲しいぞ」
アリスが言うとチャラ男は・・・
「知りたいか?なら教えてやるニャ…あれは遥昔だニャ・・」
チャラ男が攻撃姿勢を解き、遠い目をして話し出す。
「吾輩がまだ子犬だったころニャ・・・」
「絶対零度だぞ!!!」
出た。アリスの得意技『話している最中に必殺技』だ。これを食らうと、まず避けられない。チャラ男たちは凍り付いた。
「相変わらず卑怯ですが、チャラ男さん達は街を破壊しました。天罰と言うことで、女神として攻撃を認めます」
女神としては『卑怯』な部分は認められないが、アリスが良く使う技なので、正当性をでっちあげ、目を瞑ってくれる。
「卑怯じゃないぞ。油断した方が悪いぞ。それに、街の人たちの救助が先だぞ。凍らせて・・・」
アリスが凍らせた軽男とギャル子、チャラ男に近づくが・・3人は凍ったまま、青い炎に包まれ燃え尽きて行く。
「ケイン!これって・・・!?」
アリスが1歩2歩下がる。チャラ男たちは凍ったまま燃え尽きた。
「ガロの笛・・・」
俺は小さく呟いた。
「ケインさん、私は天界でチャオさん達の情報を集めてきます」
ティナは天界へ行く。俺たちは王宮へ戻り、ノスと情報の照らし合わせだ。
「お疲れさん。意外と早かったね」
俺たちが戻ると、ノスたちも戻っていた。
「ノス、ガロの笛はどうなった?」
ノスフェラトゥは、優雅に紅茶を飲んでいた。
「ああ、あれはガセだよ。私達が行くと、多くのハンターたちが入って現場は大混乱だよ。幸い担当の女神と話ができたんだが、逆に僕らが聞かれてね『これは何の騒ぎだ?』とね。担当女神は『ガロの笛なんか聞いたこともない』そうだ。世界を見守る担当女神が知らないのでは、話はガセだよ」
紅茶のカップを口に運び、1口飲む。
「俺たちは今、アーゴンの世界で600年前に死んだ勇者チームと戦ってきた」
俺の言葉にノスの優雅さが消えた。
「それは本当かね?」
「本当だぞ。凍らせたら、青い炎に焼かれて燃え尽きたぞ」
「青い・・ケイン君、青い炎は『偽りの魂を持つ者』の最後だと聞く。魔笛と共に言い伝えられていることだよ」
「ガロの笛は存在している可能性が高い」
俺が言うとノスは立ち上がる。
「もう一度行ってくる。今度はしっかり調査して来よう」
俺が頷き、ノスを送り出そうとした時だった。
「ケインさん!大変です!大事件です!」
天界に行ったティナが戻ってきた。
「今度は『インカの笛』『ソロモンの笛』『青春の甘酸っぱい味のリコーダー』等が、13の世界で見つかったと報告が!」
何だって!?
「全部ガロの笛と同じ『魔笛』と呼ばれる効果を持つアイテムだよ。それが1度に13の世界とは‥驚きだ」
ノスが言うと、アリスが動く。
「ティナ!エクセレントに連絡だぞ!発見された世界を封鎖するぞ。そして女神を部隊で派遣だぞ。すぐ捜査させるぞ!」
エクセレントはティナの姉。ヴィーナス家の長女で天界の各部署のトップだ。部隊の派遣もエクセレントの権限で可能だ。
「アイリス、チームを招集する。緊急事態宣言だ!」
俺は事態を重く見た。




