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ギルド スノープリンセス2 勇者編  魔笛① 

2部は『残念世界の残念勇者』の話です。雪姫の世界で事件が起こっていた時、ケインの世界で何が起こっていたかを書いています。


月曜と木曜に、サブタイトルごとのUPをと、考えています。

ナナが居ときは前後半に分け、3~4サブタイトルを予定しています。


今回は「魔笛」1~3までです。木曜に『魔笛』4~6を。


「よく来て下さった」

バーストの国王がケインたちを迎えた。

「私たちは忙しいぞ。挨拶抜き、名刺交換無、追加依頼不可がルールだぞ。居座った魔王をサクッと片付けて帰るぞ」

アリスが俺たちのチームのルールを説明した。

「頂いた依頼書によると、『魔王は50年前に現れ居座った。強固な塔を建て、各階に魔物を配備。魔王は挑戦者を待ちながら、120階から122階の上3フロアで、奥さんと子供2人で暮らしている』で宜しいですか?」

ティナが確認する。

「はい。間違いありません。魔王は「階飛ばし不可」「外壁登り不可」「屋上からの侵入不可」とルールを定め、更には各階の魔物に対応した討伐アイテムを、バーストの森の魔物に守らせております」

1階ずつ登りインチキ不可で、各階の魔物討伐用のアイテムは森の中か…面倒な相手だな。

「森は何処だぞ?私達なら直ぐに探し出せるぞ」

アリスが言うと王はテラスへ出た。

テラスからは、王宮の下にある森と、その先に広がる広大な海が見えた。

「バーストの森は、王宮の真下でございます」

王が下を指さし言う。

「近いのは助かるぞ。で、塔はどのへんだぞ?」

アリスもテラスに出て王と並ぶ。

「塔は王宮の真横。あれでございます」

王宮の横に塔が立っていた。

「この世界マップ狭いぞ!ご町内で完結してるぞ」

アリスがテラスから身を乗り出すと、真横には魔王の建てた塔が見えた。

「直接やっちゃうかだぞ?」

ニヤリとしたアリスが言う。

「ああ、時間が勿体ない。魔道砲で片付けよう」

俺が言うとアリスが叫ぶ。

「出るぞ!セイレーン!話は聞いていたかだぞ?塔を攻撃だぞ!」

沖合の海が盛り上がると、黒い球体が現れた。

「マスター了解しました!ハイドロブラスター発射準備です!」

セイレーン本体の制御装置である機械族のセイレーンが答えると、直径40mの黒い球体は唸りを上げる。

ケインたちのチームが持つ魔道兵器、『海の覇王セイレーン』が攻撃態勢に入った。

「ではこちらを。お振込みはマオ銀行でお願いします」

ティナが『魔王討伐費用』の請求書を王に渡す。


眩しい光が視界を遮り、轟音が鳴り響く。

塔は消滅し、塔の遥か後ろの山の山体には円形の穴が開いていた。

「任務完了だ!撤収する!」

俺が言う。王は無くなった塔の後を、目を丸くして見ていた。


ドザーグ討伐から3年。俺たちは勇者チームとして活躍していた。世界中から舞い込む魔王討伐や魔物駆除依頼、天界から頼まれる仕事、日々を忙しく過ごしていた。



「やっと昼だぞ。午前だけで3つの世界を救ってきたぞ」

そんな忙しい中でも、アリスは俺たちの食べる料理は人任せにはしない。朝昼晩、しっかり手料理を出してくれる。

「先ほどマオさんとレナさんが戻って、同じことを言っていましたわ」

カモミールの女王アイリス。勇者チームの一人で、主に王宮での連絡役をやってくれている。

「ターナさん達は、文句ばかりだったよ。『美しすぎる私は働いたらダメ』とか言ってたね」

もう一人の連絡役、ノスフェラトゥ。

吸血族だが非戦闘員。アイテム関連に詳しく、多様な知識を持つ常識人。

「アリス、夕飯は『パスタ』が食べたいわ」

そしてアイリスたちの護衛を任せるウリエル。

魔族で高い戦闘力を持つ。元々は敵側だったが、アリスの料理の旨さに寝返った美食家。

「わかったぞ。夜はパスタだぞ。でも5件の仕事が入ってるから、戻るのは遅くなるぞ」

午後からも5件の仕事が入っていた。5つの世界を救う仕事だ。


俺はアリスとティナと動く事が多い。

必要に応じてセイレーンや他のメンバーを連れて行くが、マオチーム、ターナチーム、別動隊のパルムチームなど、勇者チームを幾つかに分け、依頼に対応している。



「ケインさん!大変です!大事件です」

昼食が終わり、次の世界『アーゴラ』へ行く準備をしていた俺たちの元に、天界から戻ったティナが駆け込んできた。

「凄くやばいモノが見つかっちゃいました!」

やばい?危険アイテムか?

「はい。『死者を蘇らせる』アイテムです!『ガロの笛』と言う、やばい奴です!」

「あははは。またかね?今までに何度も噂になり、未だ見つかっていない眉唾アイテムさ」

アイテム関連に詳しいノスが、笑いながら言う。

「眉唾かだぞ?」

アリスの問いに、穏やかな口調で答えるノス。

「ああ、『ガロの笛』は、世界により呼び方が異なる『魔笛』と呼ばれる笛だよ。死者を蘇らせるとか、甦らせて操れるとか、昔から噂されるアイテムだが、未だ実物を見た者が居ない架空のアイテムだよ」

「だそうだぞティナ。大騒ぎすることはなさそうだぞ」

とアリスが付け加えたが・・。

「いつもは下界の噂話ですが、今回は直接天界に情報が届きました!天界のアイテム管理課は大騒ぎです!」

となると、無下にはできないか・・。

「わかった。ノス、済まないが調査を頼む。見つかった世界に行って真偽を確かめてくれ。できれば回収もだ」

俺はノスに頼む。

「ああ、そうするよ。シータを連れて行くけど良いかな?」

シータはティナの妹女神で、まだ見習い女神だ。一時カモミールの担当になり、そのまま勇者チーム入りをしている。情報収集や分析が得意な女神だ。

「ノスの代わりにアズサを呼ぶぞ。人員補充しておくぞ」

アズサはカモミールのあるエー大陸の南側を領地とする『魔王軍』の長。魔族とは関係のない魔王なのだ。

ナナと言う機械族と共にアズサチームを組んでいるが、アズサの魔法「時間停止」は、1月に1回しか使えない。今は待機中だった。


「私たちは『アーゴラ』の世界で魔物退治だぞ。予定滞在時間は45分。早く行くぞ」

後の予定が詰まっている。

俺はガロの笛をノスに任せると、ティナの開いたアーゴラへのゲートに入った。



「ここ・・どこだぞ?」

ゲートから出た俺たちは、燃え盛る街を見た。


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