ギルド スノープリンセス2星猫編最終章 時の止まった世界 ⑤
「俺が連れてきた。嫁の友人は俺の友人だからな」
ガイ、こいつ何処にでも現れるな。
「この世界は呼び出しがあるから、たまにだが一族が来ることがある」
呼び出すのか?地球人が?魔の一族を?
「ああ、願いと引き換えに魂を貰う」
悪魔って、お前たちだったのかよ!!!!
「雪姫、言いたいことは分かる。俺たちがそうだったからな」
「だから、わらわ達は何も言わぬ」
「何も言いませんが、僕たちは姫についてゆきますよ」
バレてたんだね・・。
「当然でございます。雪姫様らしからぬ、冴えないお返事」
「マスターに、3日休んでと言っても、絶対に休みません」
「あたいらは、雪姫が部屋から出て行ったあと、直ぐに追いかけたんだぜ」
そっか、みんなはよく見てたんだね。
「で、こいつを捕まえて追いかけてきた」
「ギムは真剣にマスターの心配をしていたんですよ」
「みんなごめん。今回はラムタ世界とは無関係で・・・」
私は謝るが・・。
「関係ありません。マスターの大事は私たちの大事です」
リアちゃん・・
「雪姫、そろそろ自覚しなさい。あなたがスノープリンセスなのです。あなたは私に言いましたよね『私と戦っているミサキさんでは、決して私には勝てない』と。私はあなただけを見て、あなたと戦っていました。しかし、実は『スノープリンセス』と戦っていたのです。今ならよくわかります。あなたがスノープリンセスだと」
「にゃーにゃーにゃーーーーーー」
「お前が居る所が俺たちの居場だ!今はここがスノープリンセス本店だ!」
ブルックの言葉にみんなは頷いた。
「さぁ、ギルマスとして命じよ。わらわたちに『力を貸せ』とのぉ」
みんな・・・・・・・
「よし!分かった!私は故郷を守りたい!みんな!私に協力して!」
ギム以外の全員が拍手をしてくれた。
「向こうは大丈夫だ。国王には『もしかすると』を伝えてある」
「2号店には、エンジェルのサポートを継続させておる。心配はいらぬ」
「ブルックと銀姫さんが、ちゃんと仕切りましたよ。僕も頑張ったんですよ」
嬉しかった。みんなが来てくれたこともだが、私を理解してくれていることが。
なんか力が湧いて来た。
「只今であります」
そこに飛鳥さんが戻る。
「方針を変えたでありますか?」
あはははは・・飛鳥さんには、みんなのことを。みんなには今の状況を説明しないとね。
「簡単な仕事だな」
「うむ。女神の術式の妨害をさせた後、守ればよいのじゃな?」
「その上で、偉そうなのを捕まえるであります」
「楽勝だぜ。あたい達なら簡単なことだぜ」
私は皆に説明し、皆はやることを理解した。確かに私達なら、ブルックたちが来てくれた今なら、難しい仕事ではない。
問題は、その先・・・ハイパーブラックホールの消滅にある。
だが、今はどうにもならない。今はケインさんを信じ、私たちがやれることをって・・・おい。
「きゃははははは!あなたの部屋で見つけましたよ。これは日記帳ですね」
「にゃーーーん!」
ミサキさんの手には、見覚えのある、私が付けいていた日記帳。
「それなら別にいいけど、ギャリソンはストップ」
ギャリソンはビクッとした。
「リアちゃん、ギャリソンのポケット、調べてくれるかな?」
「はい。マスター」
まったく、うちの連中はどんだけ余裕なんだか。
「マスター、ギャリソン様のポケットから、マスターの遺伝子の付いた靴下が見つかりました」
靴下かよ!なんか中途半端な小悪党だな!下着とか行けなかったのかよ!
「流石に下着は恐ろしくて、手が出せませんでしたな」
私はブルックの『ちっ!』と言う舌打ちを聞き逃さなかった。計画していやがったのか?
「雪姫、なんですか、この日記は?あなたは日記と家計簿の区別がつかないのですか?」
几帳面な私は、使った金額と、一言を書いた日記をつけていた。
『友人と映画。映画代1800円、お菓子500円。面白かった。帰りの電車賃300円。疲れた』
と、こんな風にだ。
油断のならない連中だから、部屋は落ち着くまで凍らせておこう。
で、もう一人いたな。油断ができない奴が・・・
「リアちゃん、ガイは何処かな?」
「はい。ガイさんはベランダだと思います。1人でベランダに居たのを見ました」
ベランダ?下着は干してないはずだけど。
「ガイ?」
私がベランダに上がると、ガイは遠くの空を見ていた。
「あれは化け物だな」
此処からは見えないはずだが、ガイは感じているのか?
「お前より凶悪なものがあるとは、思っても居なかったぜ」
おい、凍らせるぞ。
「なぁ雪姫、お前は最悪をどう想定している?」
え?最悪は・・・
「考えたくはないけど、ハイパーブラックホールを消滅させられないで、地球が救えない時だよ」
ガイはフッと笑った。
「安心した。お前は冷静だ。だがな、ケインたちはどうかな?」
え?ケインさん達が?
「さっき女神を捕まえて聞いた。奴らはハイパーブラックホールに、虚数世界の攻撃をしようとしたってよ。校庭の二人が止めなければ、今頃世界は終わっていたって話だ」
虚数世界の攻撃はケインさんの必殺技。それで対消滅を狙ったのか?
「奴らは俺の商売敵だが、実力は世界でトップクラスだ。だがな、奴らは『目的のために手段を選ばねぇ』。奴らの目的が『宇宙の救済』なら良いが、『地球の救済』だった場合、奴らは賭けに出てでも無茶をする。雪姫、まだケインたちは信用するな」
信用するなって?言われても・・・
「女神の護衛?そんな取ってつけた理由を信じるのか?女神ってのはな、防壁も張れればゲートも使える。術式の邪魔さえ考えなければ、自分の身ぐらい自分で守れるって話だ」
・・・そういえば。。そうだ。
「お前を呼んだ理由は『アブソリュート』を打たせる為なのかもしれないってな」
それは私も考えた。アブソリュートで何とかならないか?は考えた。
「たぶんアブソリュートでも無理だ。あれは空間を食う化け物だ。アブソリュートも虚数世界の攻撃も、空間の中にある。空間ごと美味しく頂かれちまうよ」
やっぱり駄目なのか・・・?
「奴らの目的が地球の場合、奴らはアブソリュートを使おうとする。だから、奴らが何を目的としているかを見極めろ。それまでは信用するな」
とは言っても、アブソリュートは私の意志で打つ魔法だ。私が拒否れば。
「知っているはずだ。アリスのレア魔法」
あっ!アリスさんの『魔砲』!4式弾は『魔法を封じ込めて』任意の時に使える。自分の魔法以外に、人の魔法も封じ込めらるのか?
「ケインの剣『九重』にも同じような効果がある。お前に撃たせた魔法を取り込んでおく・・ぐらいのことは、やる連中だからな」
・・・・確かに留意する必要がある。ケインさん達が信用できないとは・・。
「お前は、お前の仲間を信じろ。俺たちは、絶対お前を裏切らない!」
ガイ・・・
「と言うことで、信頼できる夫が欲しいだろ?」
いや、いらない。仲間だけで十分だ。
「でもさガイ。私だって地球を見捨てるつもりはないよ。時間凍結した後に、ハイパーブラックホールを何とかする方法を探して、時間凍結を解くんだ。どんなに時間が掛かっても、私は最終的に地球を救うさ」
ガイは笑った。無垢な笑いだった。
「アハハ。それでこそ俺の嫁だ。あきらめる必要なんかねぇよ。道は一つじゃないんだ。…だがケインたちがそう考えているか?」
ガイの言うことは、もっともだった。ケインさん達を全面的に信用するわけにはいかない。
が、ケインさん達無くして地球は救えない。
この戦い、結構気も使う戦いになりそうだ。




