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ギルド スノープリンセス2星猫編最終章  時の止まった世界 ④ 

ラスト3話です。

④は、詰め込むことが多く、上手く纏めきれずに、数回書き直しをしました。

明かすこと、隠すことのバランスが難しく、此処から先の3話は、明かした、でも隠さないとの戦いでしたw


「お久でござるな」「お元気そうで何よりですよ」

私達は挨拶を交わすと、簡潔に状況説明を受けた。

「まったく、とんでも無い事になったでござるよ」

ダイルと似たワニの顔のトーレフさんが言う。

「でも雪姫さんたちが来てくれて、助かったですよ」

私の改名と飛鳥さん変化は説明済み。精神体のマリーさんは、安堵の微笑みを見せた。


トーレフさんの説明によると、ハイパーブラックホールはヨーロッパにある。時間停止魔法の効果をもってしても、活動は極めてゆっくりだが、停止してはいない。今でもほんの少しづつだが、空間を食らい成長しているという。

そしてケインさんだが、私の思った通り『地球の救済放棄』に猛反対だった。

天界の決定に従わず、再三の警告も無視し。さらには危険な賭けに出ようとして『勇者資格のはく奪』と『本件への関与禁止』を受け、現在謹慎中。監視までつけられているという。

「ケイン殿もアリス殿も諦めてはいないでござる」

「地球を救うですよ。犠牲にして良い命など無いのですよ」

飛鳥さんがナイフを仕舞った。って、本当に使うつもりだったのか?


「私たちはケインさん達の代わりに『誰が、どうやって』を調べればいいんだよね?」

トーレフさんは首を左右に振った。

「ちょっと違うでござるな。『誰が』は『誰が』が、教えてくれるでござるよ」

え?どういうこと?

「間もなく空間固定が終わるでござる。その後200人の女神殿が来て、時間凍結処置が始まるでござるが、『誰が』にとっては、時間凍結は困るはずでござる」

そうか!時間凍結されたら、宇宙は安全になる。邪魔をしに来るはずだ!

「そしてですよ。『どうやって』を調べるのは、私たち科学者ですよ」

じゃ私達は?なにを?

「科学的に解析できなければ、対処方はないでござる。闇雲の手段での失敗は、宇宙の最後でござる」

「ハイパーブラックホールは、どうやってできたのか?どの程度のエネルギー量なのか?それが分からなければ、手の打ちようがありませんよ」

私達では科学的は無理だけど・・・

「雪姫殿には、女神殿たちの護衛をお願いしたいでござる」

「女神を守りつつ、敵を捕らえられれば、ですよ」

「捕獲でありますか。任せるであります。口を割らせるのは得意であります」

あははは・・飛鳥さんがやる気を見せちゃったよ。

でもさ、それって・・・


私達で女神を守る→時間凍結成功→さらば地球→私、泣く。

なんか努力したら駄目な気がするんだけど。


「ケイン殿の案では、『ティナ殿が術式団に加わって、ワザと失敗させながら、猶予内の60日を時間稼ぎする』でござる。だから雪姫殿は女神殿の安全を最優先にして欲しい、と言っていたでござる」

「でもアリスさんの案は違いますよ。アリスさんはティナさんを信用していませんよ」

・・・ティナさんは女神だ。評議会の議長だし、ワザと失敗なんて、議長の立場から・・・なのか?

「『ティナはここ一番でやらかすぞ。失敗しようとした事を失敗するぞ。失敗の失敗は成功になるぞ。時間凍結が成功したら目も当てられないぞ。女神達への1撃は貰っておくぞ。妨害させた後に護衛を頼むぞ』ですよ」

そっちの信用が無いのかぁ!!

「ティナ殿に任すより、敵に任せた方が確実で安心でござる。ここはアリス殿の案を採用した方が良いでござるよ」

変だ!『敵に任せた方が確実で安心』ってどんな文なんだ!

「雪姫殿、この戦いは60日守り抜いても負け、60日が過ぎても負けの戦いでござる。拙者たちの勝ち条件は『60日以内にハイパーブラックホールの消滅』だけでござるよ」

そうだ。ケインさん達が作ってくれた60日の猶予。私たちはこの猶予を守り、トーレフさんたちが見つけ出す解決法を実行する。

今の私にできることは、それだけだ。

「大隊長殿、3日では戻れないであります。ここはいったん戻ってから出直すであります」

60日も行方不明では、みんなに心配をかけてしまう。書置きぐらいは残さないと・・かな?

「こっちはまだ大丈夫ですよ。敵が来るのは、早くても女神たちが術式の準備を始めてからですよ」

マリーさんが気を利かせてくれた。



「凍らせる必要は有ったでありますか?」

私は自宅へ戻っていた。ここで手紙を書き、置いてくる。ちゃんと理由を話した方が良いけど、絶対について行くと言い出す。

これは私の個人的な問題。ギルドを巻き込むわけには・・。

「うん。今は冷蔵の中身に構っていられないからね」

冷蔵庫はキンキンに凍らせた。

「よし、後は夜中になるのを待って、ギルドの入り口に、これを挟んでくれば」

私は書き終えた手紙を持つ。

「では出発は6時間後の丑三つ時で良いでありますね。自分は少し出てくるであります」

飛鳥さんにも行きたい場所がある。

6時間は別行動とした。私は、もう一度学校へ戻った。


「あれ、戻らなかったでござるのか?」

科学班の2人は、夜の8時になってもまだ作業を続けていた。

「うん。少し校内を歩いてみようと思ってね」

私は1人、校内へ入って行く。


覚悟はしていたが、時間の止まった校内は、私の心を凍らせた。

登校時間だったのか、廊下には多くの生徒たちが居た。

仲の良かった友人。お世話になった教師。みんな止まっていた・・。

止まっただけで、みんなは生きている。時が止まったことに気が付かないだけで、誰一人として死んだわけではない。

だが、これから行われる時間凍結が成功すれば…2度と動くことは無い『生き人形』と化し、永遠の時を過ごすことになる。

友人を前にした私は・・呼吸が・・・。


「大丈夫なのですよ?顔色が悪いですよ」

外に出た私は息苦しく、汗も描いていた。私を見たマリーさんが心配そうに言う。

「覚悟はしてたんだけどね」

友人の笑顔を思い出した私は、ながくは居られなかった。

「心中お察しするでござるよ」

「助けたい。みんなを・・・」

私の胸は締め付けられるように痛くなる。

「助けるでござるよ」「そうですよ。絶対にですよ」

私は頷き、もう1か所の行きたい場所へと向かう。

私の両親のお墓だ。


「大変なことになっちゃったよ。でも私、頑張るからね」

私は両親のお墓の前に座ると手を合わせた。

それから、今までの事を報告したり、思い出話をしたり。気が付けば午前1時を回り、飛鳥さんと約束した時間が近づいていた。

「次はさ、いつ来れるか分からないけど、必ず来るから」

魂はある。ラムタ世界で私はそれを知った。父と母の魂は、きっと私を見守ってくれていたはず。

私の声は届いている。

私はもう一度お墓に手を合わせると、家へ向かった。



「よお!帰ってきたか」

「遅かったのぉ」

「マスターお帰りなさい」

なんで私の家にブルックたちが居るんだよ・・・。



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