ギルド スノープリンセス2星猫編 魔界でも②
「どこかにテトを隠すというのはどうですか?」
「いや無理だ。探す気なら女神は神の加護を使う。近くに居ればバレてしまう」
「では、自分たちがさっさと帰るというのは、いかがでありますか?」
「それもだめなのよ。さっきカモミールへ行って来たけど、誰も居なかったわ。科学班が捕まらないと、帰ることは無理ね」
「ちゃんと話し合うべきかな?」
「たぶん無理だよ。ティナは頑固だからね。パパが言えば別だけど、私達じゃ無理だよ」
ミサキさん、飛鳥さん、私が言うも、テトを取り返されない方法が思いつかない。
「やはり凍らせますか?」
だから、それはダメだって。
「この際アリか?」
「ええ、いっそ腹をくくってアリかもしれないわね」
「うんアリだよ。凍らせてから考えようよ」
誰が凍らせる?後から叩かれるのは誰?私ゃ嫌だからね。
「まぁ確かに女神に渡せば、盗まれる可能性の方が高いよな。だが、お前たちで育てるってのも、相当問題あるぞ」
『テトを何とかして連れ帰る』作戦会議は、お酒を飲みながらだった。
赤い顔になった閻魔様が言う。
「そもそも星猫ってのは、管理できるようなモノじゃねぇんだよ。今は可愛い猫の姿だが、『自分が銀河の卵』だって自覚すると、強い防衛本能が生まれてな、第2形態の『星虎』に変化するんだ。これが凶暴でな」
だ、第2形態!?星虎!?
「今まで可愛がって育てていた女神を噛み殺す。なんて事もザラだって聞いたことがある」
「テトはそんなことしません!テトは良い子です!私を噛んだりはしません!!」
「にゃ?」
ミサキさんがテトを強く抱きしめた。
「噛まれた女神は一人や二人じゃねぇ。おそらくそいつらも、まさか噛まれるとは思ってなかっただろうよ」
防衛本能・・本能だとすると、これは変わりようがない。テトもいずれは・・
「しかも星虎が銀河になる前には、第3形態になる。そうなると、もう1人の女神では対応できなくなり、60人ほどのチームで、専用の惑星を使って
管理するんだ。第3形態の星サ―ペンスになると、体も20mから5000km程まででかくなるしな」
なんで猫から虎で次が蛇なんだ?
「頭を中心にとぐろを巻く。そうすると銀河になるサインだ。女神はとぐろを巻いた星サ―ペンスを宇宙へ解き放ち、任務を終える。銀河が渦を巻いているのはそのせいだ」
壮大な話だが、今はティナさんからテトを、どう守るかだ。
「あっ!私良いことを思いついたよ。ちょっと待っててね」
アリッサさんが立ち上がると、部屋から出て行った。
「テト、あなたは私を噛んだりはしませんよね?大きくなっても、今のテトのままでいてくれますよね?」
ミサキさんは、テトのおでこに自分のおでこを合わせ、祈るように呟いた。
ピョンとミサキさんの手から飛び跳ねたテトは、ミサキさんの前に座る。
後ろ足で座り体を持ち上げ、ミサキさんの目を見た。
そして右手を上げ、招き猫のような恰好をすると『にゃーーーーー』と鳴く。
「こりゃ驚いたな。まるで宣誓しているようだな」
「ええ、テトはミサキさんに誓ってるのよ。『噛みません』『変わりません』ってね」
今度はパルムさんとセシルさんの方を見て、「にゃんにゃん」と首を縦に振った。
星猫って言葉分かってるよね?
「これだよ!良い猫を見つけてきたよ!」
アリッサさんが戻ってきた。手には‥え??え??
「この子を星猫ってことにして渡せばいいんだよ」
いや、流石に無理。それ猫じゃないし。狸だし。
「ナイスだアリッサ!」
え?ナイスなの?狸なのに?
「ティナならバレないわね」
え?ばれないの?狸だよ。
「女神は緩いよ。特にティナはユルユルだよ。4本足で小さければ星猫として通用するよ」
マジかぁ?通用しちゃうんだ?
「まぁティナなら通用するかもな。試してみるか?」
良いのかよ?こんな方法で?
「よし、決まりだ。後はこいつを少し慣らせば完璧だな」
「そうね、余り暴れられると疑われるわ。餌付けして、良い子にした方がいいわね」
「私がやるよ。任せてよ」
アリッサさんがタヌキを抱えて出て行く。
そして、ティナさんが来た7日後まで『宴会』が続いた。昼夜を問わず酒が出てくる。朝食が酒。昼食が酒。夕食が酒の7日間。
これじゃまるでギムだ。私は相当酔っていた。
「うわははは!前に来た時は嗜む程度だったが、浴びるほど飲めるようになったじゃないか!」
「えええ~わたしなんら。まだ・・うぃ!まだまだですよ~~~うぃうぃヒック!」
パルムさんとセシルさんは、向き合ったまま寝てしまった。
ミサキさんとテトは大の字に・・飛鳥さんは2日前から眠ったままだ。
「なぁ、雪姫。ちょっと来いよ」
閻魔大魔王はフラフラっと立ち上がると、窓から遠くを指さした。
「撃て」
え?なにを?うぃ。
「いいから撃て。なるべく遠くだぞ。MAXを見せて見ろ」
良いの?見たいなら、ヒック。撃つけど・・うぃうぃ。
「そうだそうだ、その方角だ。ほれ撃て。すぐに撃て。構わず撃て」
「よし、アブソリューヒック!スノー特上ら!!」
遠隔射撃。体の中で魔力を適度に凝縮し、手の平から打ち出す。そうすると遠くで効果が発動する遠距離攻撃成る。
「凍ったぞ!凍った!お見事だ!」
「えへへへへうぃ!ひっく!」
「飲め飲め!もっと飲め!」
「おうよ!飲ませて・・・いだたきま・・・ヒック!」
そこで私の意識が吹き飛んだ。
「雪姫。起きなさい。雪姫!テトに引っ掻かせますよ」
「あ…寒い。頭が痛い。気持ち悪い・・・」
ミサキさんに起こされ、私は重い体を起こした。
「あれは、あなたの仕業ですよね」
え?何が?私が何を・・っと、ミサキさんが指さす方向・・うえ!!!
凍っているのか?遠くに氷の壁が見える!?
ベルゼブブを凍らせた氷より、遥に近い位置。寒いのはそのせいだ。
「やっちまったな」
「酔った拍子に・・だわね」
「これはやらかしたね」
え!?ええ!?ええええええええええ!!!記憶にないなんだけど!!
「雪姫、ちょっと俺の職場に来るか?」
閻魔様の職場って?
天国or地獄チャレンジの?
えええええええええええええええ!




