ギルド スノープリンセス2星猫編 魔界でも①
「よく来たな・・と言うべきところだが」
閻魔城まで来た。天守閣に登り、閻魔大魔王は遠く私たちが来た方角を見た。
「まぁ派手にやってくれたな」
アブソリュートで凍らせた大地のことを言う。
「相当な数の部族が下敷きになったし、あの氷も特殊だから300年は解けんだろうな。気温に影響が出ないと良いんだが」
苦虫を嚙み潰した顔に、私は不安を覚えた。
「何ケチ臭いこと言っていやがる。氷なんぞ局地に行けばいくらでもあるだろ。少し寒くなったぐらいで大騒ぎするな」
パルムさんがフォロー?
「そうよ。氷の下敷きぐらいで魔族が死んだりしないでしょ。300年冬眠してると思えば、起きた時に元気になれるわ」
「閻魔ジイ、前に言ってたよね『あいつら一掃できねーか?目障りでしょうがねぇ』って。一掃してくれた雪姫さんに感謝だよ」
何とも大胆なフォロー!?
「お気になさらなくて大丈夫ですよ」
そこに来たのは色黒のティナさん?
「お父様が気晴らしに閻魔砲を打つ方角です。辺境域より外側には友好的な魔族は居ませんから」
お父様!?この人が閻魔大王の娘さん?ティナさんと同じ顔で?
「まぁ、そうだな。特に問題はないか」
『まぁそうだな』で片づけられた!?
「お風呂の用意ができていますので、とりあえず温まってください」
ティナさんに似た女性から、ありがたいお言葉。
「話は後だ。風呂に入ってこい」
閻魔様も言う。私たち女性陣はお風呂を貰うことに。
みんなクソでけぇな。
何がとは言わないが、お風呂シーンはコレでお終いだ。
「お風呂頂きました」「気持ちよかったであります」「いいお風呂ですね」「にゃ~~ん」「貰ったわよ閻魔」「いい湯だったね。血の池お風呂」
私達が戻ると、パルムさんと話をしていた閻魔大魔王。
「よし、俺もひとっ風呂貰ってくるか」
パルムさんが立ち上がり、そのまま出て行く。
「今、ケインたちに連絡した。忙しい奴らだから、少しは待つかもしれんが、そのうちにティナが来るだろう。まぁゆっくりして行け」
忙しい・・か。やはりケインさんたちに、何かあったのか?
閻魔大王は、それ以上のことを言わなかった。私から聞くのは失礼だよね?
「ケイン殿たちに何かあったでありますか?」
って聞くんだ?飛鳥さんは?
「あ?ん――――。まぁ有ったと言えば有ったんだがな」
言葉を濁す閻魔大魔王。言い難いことなのか?なら突っ込まない方がいいよね?
「何よ、はっきりしなさいよ、でかい図体して!男でしょ。ゴニョゴニョしないの!」
って言っちゃうんだ?セシルさんは?
「こっちの世界の問題だしな。余計なことを言うとアリスが怖いからな」
閻魔大王も恐れるアリスさん?
「ママに切れられるのと、私に嫌われるのどっちがいい?」
アリッサさんの、容赦のない一言もあり、閻魔大王が口を開く。
「俺も詳しくは聞いていないが、『忙しすぎるから、ドザーグの相手をしてる暇がない。地獄の穴を塞いでくれ』って言われてる」
アリスさん達から聞いた話だと、ドザーグはチート級の化け物だが、ケインさんの虚数世界の攻撃で倒せるって言っていた。地獄の穴は、魔界にあり、ドザーグが出てくる場所の事だったような?
だが、これなら言い難い話ではないよね?
「坊やが忙しい?毎度の事よ。って言うか、ドザーグは坊やにしか倒せないし、いい稼ぎになるからって、敢えて穴は塞いでなかったじゃない」
いい稼ぎ?敢えて塞いでない?なんか聞いてはいけない単語が聞こえたような。
「あー分かった分かった。言うよ言う。あのな、ここ数週間で星猫が4匹も連れ去られた。女神が保護しているのが5匹だったので、女神は何としても、こいつを守ろうとするって話だ」
4匹?テトと同じ星猫が?連れ去られたって誘拐?
「渡しませんよ!テトは私が育てます!」
ミサキさんがテトを抱きかかえた。
「俺に言われてもな。俺には何の権限もないからな」
私がお風呂で、クソでっけぇ物を見せつけられている間に、閻魔様とパルムさんは話をしていた。たぶんテトのことも伝えたのだろう。
言い難そうにしてた理由は、これだったのか?
「なんだよ、言っちまったのかよ。口、軽りぃな」
パルムさんがお風呂から戻り、閻魔様の横で胡坐をかいた。
「坊主たちが居ながら、4匹も盗まれるってのは、何か理由があったはずだ。これは戻ってから聞かないことには分からねーが、言えることは、女神としては、テトは譲れなくなった。と言うことだ」
「そうね。5匹中5匹が居ないとなれば、これは大問題だわ。ここでティナを拉致しても逆効果になるし、困ったわね」
「うん。ティナを拉致したら、閻魔じぃが捕まるかもだよね」
ごもっともだ。ラムタ世界で拉致するのと、繋がりのある魔界でするのでは訳が違う。
「雪姫!ここを凍らせなさい!こいつらを凍らせて、魔界を氷で埋め尽くすのです」
はいはい。冷静になろうね。ケインさんたちの協力なしに、どうやって帰るのさ?
「一ついいでありますか?」
飛鳥さんが口を開いた。
「テトは成長すると銀河になると聞いているであります。しかしながら、銀河に成ったら目立つであります。盗んだことが、ばれるだけではないでありますか?」
ああ、ごもっとも。価値は高いってサーヤさんが言っていたけど、使えない価値じゃね?
「銀河になるのは数億年先の話だ。まぁ、星猫に使い道は無いが、アイテム収集家のコレクターからすると、希少性の高さから、めっちゃ良い値で取引されている」
閻魔様が言う。
「テトを狙ったのはベルゼブブ一族よ。その後ろには、リリスとギルバが居た。おそらく他の星猫もリリスたちが狙ったとすると・・・」
「1匹で、とんでもないお金になるよ。5匹全部狙う必要はないよ。リスクが大きすぎるよ」
「だな。となると、何か目的があって星猫を・・って話だな」
リリスとギルバは世界征服を企む連中だ。お金目的ではない可能性が高い。
「やはり女神にテトを預けるのは危険だな。あいつらじゃ守り切れないぞ」
え?ええ?それって?
「女神は全てが甘いのよ。危機感が無いせいか、何かにつけボロが目立つの。リリスたちも、せっかく坊やが捕まえたのに、護送中に逃げられるぐらいよ」
「うん。ティナも相当のドジっ子だしね。女神に渡すぐらいなら、ミサキさんがラムタ世界で管理してた方が安心だよ」
女神って、ダメな子なの?
「ティナにテトを渡さない方法を考えるべきだな」
「そうね。でもあの子も頑固よ」
「ティナも言い出すと聞かないからね」
女神の拉致などと言い出すから、ぶっ飛んでる人たちだと思ったが、テトの安全を考えていたわけか?
「雪姫!この方たちをスノープリンセスの幹部に登用です。何ならギルマスでも構いません」
さっき凍らせろって言ってなかったっけ?ってギルマスにかよ!?
私達は考えた。




